痴漢冤罪から身を守る「理論武装」
夜家に帰ると、珍しく週刊誌を買ったカミさんが“面白い!”と記事を示す・・・。(写真はクリックで拡大) それは、今発売中の週刊朝日の最新号(2009年6月12日号)(これ)の“有罪率99.9% 司法の闇 法律家が指南! 痴漢冤罪から身を守る「理論武装」~「その場から立ち去ってかまいません」”という記事。(当blogは、電車内での痴漢冤罪について何かと話題にしている。なにせ「明日はわが身・・・」なので・・・!?)
曰く・・・
「痴漢だと起訴された防衛医科大教授に最高裁が4月、逆転無罪を言い渡した。だが、これは奇跡的な出来事だ。なにせ、日本の裁判の有罪率は99.9%。いったん起訴されてしまうと、被害者の供述しか証拠がなくても、冤罪を晴らすのは極めて難しい。では、痴漢に間違えられたら、どう振舞えばいいのか。法律家(元判事の井上薫弁護士)に聞いた。
①「痴漢!」と叫ばれても落ち着いて否認する
・・やっていないのであれば、落ち着いて堂々と「やっていない」と否認することが大切です。ここで、「話せば分かってもらえる」と、のこのこ女性と駅事務所に行ったりすると、そのまま痴漢にされる可能性が高いという。
②否認した後は、その場を立ち去ってかまわない
・・・名指しされたからといって、立ち去ってはいけないという法律はありません。だが、腕などをつかまれるとそうもいかない。・・・「私人による現行犯逮捕」になってしまう。・・・刑事訴訟法213条が「現行犯人は、何人でも、逮捕状なくしてこれを逮捕することができる」と定義しているから。逮捕は身柄が拘束された状態を言う。・・・だから女性に腕をつかまれても、その手をふりほどき、その場を立ち去ってかまわない。
③立ち去れない状況になったら、逃げるのではないと説明する
・・・周囲の人が出てきたなかで無理に立ち去ろうとすると、殴り合いの騒動に発展する場合があります。この場合は、住所氏名を明かし、持っていれば名刺を渡して、逃げるのではないという姿を見せて立ち去るのが良いでしょう。・・・
④駅員に指示されても立ち去ってかまわない
・・後日、警察から呼び出しがあったら応じる。応じても現行犯ではないので逮捕されることはまずない。とにかく現行犯逮捕は避ける。現行犯でないならば、証拠がなければ逮捕は難しい。
⑤駅員に強制力はないので従わなくてもいい
駅員の仕事は早く警察官を呼んで引き渡すことです。・・もし無理やり連れていかれたり引き留められたりしたら、「暴行罪で訴える」と言っても良い。・・・
⑥警察官が任意同行を求めても、応じてはいけない
警察に行って説明をすれば疑いが晴れるだろう――。そう考えるのは大きな間違い。ろくに弁解も聞かれないうちに、いつの間にか起訴されてしまう。そのためには、警察官にパトカーに乗るよう促されても「行かない」「帰る」の一点張りで通すこと。それでも身柄を拘束しようとすれば「公務員職権濫用罪だ!」と言えばいい。ただ無理に帰ろうとして、立ち上がった拍子に警察官の体にぶつかったりすると、公務執行妨害罪で逮捕される恐れがあるので冷静に対応すること。・・・
何より、誠意を込めて話せばわかってもらえるという甘い考えは捨てましょう。」(「週刊朝日」2009/6/12号p104から)
これは実に“痛快な”方法である。日本は法治国家である・・・ナンテ言っても、法を知らないと不利になるばかり。だからこの弁護士さんは「法を知って冷静に対処を!」と言っているわけだ。
痴漢冤罪で一番怖いのが私人(女性)による現行犯逮捕。それを避けるには、名刺のような証拠を置いてでも、“その場”から離れる事だという。最悪、運転免許証を渡してでも、その場から立ち去れば、現行犯ではないので逮捕はされない。そうすれば、それ以上は話が進まない・・・、という事らしい。
先日書いた映画「ポチの告白」(ここ)でもあったように、警察などの公権は乱暴な一面も持ち合わせている。素人がそれに対抗するのは無理だ。よって痴漢冤罪の対応策は、「現行犯逮捕を避ける」の一つしか無いらしい。
なるほど、分かり易い・・・。(詳細を知りたい方は、駅の売店で「週間朝日」をどうぞ・・・)
それにしても元判事さんの「何より、誠意を込めて話せばわかってもらえるという甘い考えは捨てましょう」という言葉で記事が終っているのが、何とも面白かった。(・・・と同時に、ゾッとした)
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コメント
逆に「痴漢してもこうすれば逮捕から逃れられますよ」
というハウツー本になる気がしますが・・・。
投稿: 若 | 2009年6月 3日 (水) 23:09
若さんのおっしゃるとおりですね。警察は、昔スリの摘発のときそうしたように私服で張り込んだり、婦人警官を囮に使うなどの地道な捜査をしてもらいたいと思います。
投稿: 周坊 | 2009年6月 4日 (木) 17:53
若さん、周坊さん
確かにそうですね。視点を変えると全く逆の結果になりますよね。
でも“プロ”は用意周到で、捕まらないのでは?簡単に捕まる人は素人の可能性が高いのでは?
想像するに、現在捕まっている人の中で、(面倒なので金で解決している人を含めて)冤罪の率がどのくらいか?ですね。
もちろん統計など無いので、自分達は弱者の立場で考えており、例え真犯人が逃げたとしても、冤罪者が少しでも減る方が重要だと思っています。
投稿: エムズの片割れ | 2009年6月 4日 (木) 22:49
「何より、誠意を込めて話せばわかってもらえるという甘い考えは捨てましょう」
この言葉、絶対に忘れないようにしましょう。
最近話題の足利事件にしても、最高裁での審理で再度DNA鑑定をやっていれば、このような過ちは起こらなかった。1審から最高裁までに確か7年かかっている。この7年間にDNA鑑定に関する技術は格段に進歩している。最高裁は科学の進歩を無視し、再鑑定を行わなかった。
なぜか?「DNA鑑定技術は進歩している」といくら話しても、わかってはもらえない。
「話せばわかる」なんて思うこと無かれ。
投稿: 恐ろしいことだ | 2009年6月 6日 (土) 17:18