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2009年5月24日 (日)

ウィーン・フィルのコンサートマスターに女性?

昨日の朝日新聞夕刊に「名門の花形に初の女性」と題して、ウィーン国立歌劇場管弦楽団のコンサートマスターに女性が就任するという話題が載っていた。曰く・・・

「名門の花形に初の女性
世界的指揮者の小沢征爾さんが音楽監督を務めるウィーン国立歌劇場に新風が吹いている。かつて「メンバーは地元出身の男性」の不文律があり、保守的で排他的と見られていた同歌劇場管弦楽団に昨年、初の女性コンサートマスターが誕生、今シーズンから活躍している。
Image02781 ブルガリアの首都ソフィア出身のアルベナ・ダナイローバさん(33)。昨年のコンマス試験には6人が挑戦、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団の有力メンバーらを抑えて選ばれた。
父の影響で5歳でバイオリンを始めた。ドイツで学び01年、ミュンヘンのバイエルン州立歌劇場管弦楽団メンバー、06年同管弦楽団コンマスと順調に経験を積んだ。
「ウィーン・フィルは夢だった」と言う。今年元旦、そのニューイヤーコンサートの舞台に立った。ベテランのコンマスの隣だったが、「のびのびと演奏できた」。
2年の試用期間を乗り切れば、同歌劇場管弦楽団とほぼ同じメンバーで構成される同フィル初の女性コンマスになる。「いつも自分の演奏をするだけ」と気負いはない。
来年秋にはど、同歌劇場は新体制になる。小澤さんの後任の音楽監督には、地元出身の指揮者フランツ・ヴェルザーメストさんが就任するが、総監督とバレエ監督はフランス人となる。伝統を重んじる「音楽の都」にも、新しい動きがかいま見える。(関本誠)」(2009/5/23朝日新聞夕刊p10より)

これは知る人ぞ知る“大事件”なのである。かのウィーン・フィルに女性がいること自体が事件なのに、こともあろうに、コンサートマスターがブルガリア出身の女性とは・・・・
決して女性を差別しているのではない。“伝統”なのである。楽器は楽団所有のものを使い、音を守る。そして楽員はウィーン出身の男性。もちろんチケットは世襲のため一般ではなかなか手に入らないという伝統の塊。それが・・・

世の中は時代と共に変わって行く。これは当然。しかしクラシック音楽の世界は、200年前とそう変らない。同じ楽譜で、同じ楽器で演奏する。もちろん200年前の録音は無いが、あのベートーベンの第九の初演でも、その会場にいた人は、ナマの音を聞いたわけで、想像するだけで楽しい。

話は飛ぶが、仏教などの宗教の世界も1000年の単位で、昔と変らない。それは人の“こころ”を扱うからだろうか? 確かに、考える対象・問題は時代とともに変っても、それを考える人間の心の動きはそう変わるものではない。同様に、音楽を聴く人の心もそうそう変わるものではない。

何か“変らなければ悪・・・”という風潮も感じられる昨今だが、“変らないことが価値”という世界も存在するような気がする。
今回のウィーン・フィルの動きも、事の良し悪しは別にして、何か“伝統の重み”がまたひとつ失われたようで寂しい気もする。
ともあれ、これが“単に時代に引きずられた結果”ではなく、後世に評価される結果が出ることを祈りたいものだ。

(関連記事)
ウィーン・フィルに女性が居た
ウィーン楽友協会大ホールに行った

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コメント

ウィーンフィルかあ

わたしはウィーンでウィーンフィルを聞くことはほとんどありませんでした。
いつもシュターツオパーとして
オペラばっかりきいてました。
確か100Sで天井桟敷で聞いていたと
記憶してます。
VPOとして聞くのはザルツブルグ音楽祭の
時くらいで
それもほとんど切符がとれないので
楽屋裏の小部屋でライブ中継される
ラジオ放送で聞いてたことがほとんどでした。

BPOとVPOを交互に
カラヤン、ベーム、バーンスタインの棒で
よく聞いてましたよ。

40年以上前の話。

投稿: ampouie | 2009年5月25日 (月) 14:06

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