川畠成道氏の心に滲みるバイオリンの音・・・
いやはや「心に滲み込む音」というものはあるものだ。
NHKラジオ深夜便「人生私流 病をこえた魂の音色 バイオリニスト 川畠成道(37)」(2009/5/23放送)を聞いた。まったく知らなかったが、かなり有名なバイオリニストらしい。(だいたい最近の演奏家はほとんど知らないが・・・)
8歳の時、祖父母にアメリカのディズニーランドに連れて行ってもらったとき、風邪をひいて、その時に飲んだかぜ薬で生存率5%というスティーブンス・ジョンソン症候群という重症のアレルギーになり、生死をさ迷った挙句に失明したという。(この病気については、前に(ここ)で書いた事がある)
その後、川畠さんはバイオリン教師であった父親の指導で10歳からバイオリンを勉強し始め、3年後の中学3年の時にアイザック・スターンに認められてから本格的に勉強を開始。高校から桐朋学園に入学して江藤俊哉に師事。その後、英国王立音楽院に留学、同大学院を首席で卒業したという。
やはり「蛙の子は蛙」だな・・と、何となく聞いていたが、(演奏会で必ず演奏するという)グノーのアヴェ・マリアの音が流れた時、ハッとした。このショックは、前に、サラ・チャンのメンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲を聴いた時(これ)と似ている。
ラジオがAM放送なので音は悪いが、少し聴いてみよう・・。もちろんモノラルである。
<川畠成道のグノーの「アヴェ・マリア」>
この心に滲みて来る演奏は何だろう・・・。
なるほど。番組のタイトルが「病をこえた魂の音色」というだけのことはある・・・。
川畠さんがこの話の中で、「江藤俊哉さんから(高校・大学の7年間指導を頂いたが)、高校2年の時、“バイオリンを上手に弾ける人はバイオリニスト。それに音楽的な表情・表現を加えて演奏できる人は音楽家。それに更に自分の魂を吹き込んで、魂を込めて演奏できる人、それが芸術家である。だから我々は芸術家を目指さなければいけない”と言われた」と言っていた。
この言葉は重たい。なるほど・・・・
当たり前の事だが、人類の共通語である音楽。それは人種を超え、時代を超えて心に届くもの。しかしそれを実現出来る人は数少ない。
目が不自由な音楽家では、梯剛之というピアニスト(これ)が有名だが、川畠さんの音は、眼が不自由だから出る音ではない。そんな事とは関係のない“音楽”である。
(この話とは関係ないが、梯剛之さんは、ウチの息子と同じ保育園卒であり、たまたま卒園式で撮ったビデオに、先生に手を引かれて卒園証書を受け取る梯さんの姿や、歌の伴奏をしている梯さんの姿が映っていたっけ・・。まさかあの子供が・・・(失礼!))
これを機に、Netで見ると川畠さんのDVDが出ているのが分かったのでつい注文してしまった。期間限定版なので手に入るかどうか分からないが、これを機に、川畠成道さんについて少し勉強してみようかな・・・と思った。
●メモ:カウント~43万
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コメント
川端さん、素晴らしい人間ですね。
4年ほど前に当県のホールで演奏会がありました。@師の江藤さんンも素晴らしいですね。
彼の運命がオーバーラップして涙が止まりませんでした。案内もつけずステージに立つ姿に感銘したものです。(晴眼者さながらでした)
空席が目立ったのが残念でなりませんでした。
投稿: りんご | 2016年5月18日 (水) 20:10