« 脚本家・早坂暁の話(2/2)~死の宣告から生き返って | トップページ | 宗教者へ「職 失った人に寝食施すべきだ」 »

2009年4月12日 (日)

映画「レッドクリフ Part2」を見る

ウチのカミさんが待ちに待っていた映画「レッドクリフ PartⅡ」(これ)を見に行った。話題性が大きいだけに、場内は今までに無い人の数・・・。

Image02691 「レッドクリフ PartⅠ」については、当blogでも前に書いた(ここ)。その時の印象から、今度もかなり過大な期待を持って見た。でもその自分の過大な期待に対しては“ウーン・・”である。(写真はクリックで拡大)

まず、せっかくの“大人のドラマ”に、“可愛いお話”が入ってきて、残念。
①孫権の妹・尚香が男装して敵軍に乗り込み、スパイ活動をする。そして敵陣の将と友情・・・。ウーン・・ ②劉備軍が孔明を孫権軍にひとり残して撤退するが、本当か・・? 幾ら同盟を結んだといっても、敵陣になぜ1人残る? ③曹操が自分を得ることも戦いの理由と知った周瑜の妻・小喬が、風向きが変るまで開戦を遅らせるために単身曹操軍に乗り込む。そして曹操がお茶を飲んでいて開戦が遅れる・・・。そんなバカな・・?
これだけの本格的な映画なので、自分は大部分が史実に基づいていると思い込んでいるだけに、何か違和感・・・・
家に帰って、NETで調べてみると、確かに大きなストーリーは『三国志演義』には則っているらしい。しかしこの映画ならではの創作もあるらしい。自分が違和感を持った3点も、映画の創作かも・・・?
よって、骨太のドラマ展開を期待している自分には、少し??であった。

Image027212 Image02701

しかし相当に力が入った映画であることは確か。まず2時間余があっという間に経ってしまう。それだけ観客を集中させてしまう映画だ。不足の矢を曹操軍から調達するという有名なエピソードを含め、最後の決戦に向けて着々とドラマは進む。そして圧倒的な戦いの場面。これは「PartⅠ」で体験済み。

しかし相変わらず役者に品位があって良い。曹操も悪役とはいえ風格があり、最高なのが孔明役の金城 武。理知的で品位があり、素晴らしい。カミさんが言うに、金城 武は父が日本人で母が台湾人だという。自分は知らなかったが・・・

中で、「風林火山」が出てきた。言うまでもなく「孫子」だが、プログラムによると、「・・現在我々が読むことができる「孫子の兵法」は曹操が注釈をつけてまとめたもので、風林火山の後に「陰」と「雷」が続いている。「風」/ 疾(はや)きこと風の如く、「林」/徐(しず)かなること林の如く、「火」/侵掠(しんりゃく)すること火の如く、「山」/動かざること山の如く、「陰]/知り難きこと陰(いん)の如く、「雷」/動くこと雷の震うがごとし」。
だが、日本人にとっては、あまりにも武田信玄の印象が強いので、三国志の中国の映画に「風林火山」は、何かヘンな印象・・・
また「乃(なんじの)子(この名は)平安」という場面(字)が出てきた。「乃」と「子」をくっつけると「孕(はらむ)」という字になるとか・・

ともあれ、あまり深く考えないと、充分に楽しめる映画ではある。音も映像も・・・
そしてこの映画の一番のメッセージが冒頭に出てきた、この文言。

「私たちが暮らしている今は、過去に生きた人々の勇気ある行動が積み重なってできてきました。
世界的不況・不信の時代だからこそ、一人一人の決断で今を変えて新しい未来を作りましょう。
みなさんがそれぞれの「奇跡」を起こす時です。
未来に勇気を。」(ジョン・ウー)

たまたま今(2009/4/12夜9時)、テレビ朝日で「レッドクリフ PartⅠ」を放送している。劇場での上映から、まだ半年しか経たないのに地上波放送とは早いが、どうもテレビ朝日もこの映画制作に参加しているらしい。確かにこれからの狙いは、「PartⅡ」に観客を動員すること。それには地上波で「PartⅠ」を放送し、「PartⅠ」を見ていない人も含めて「PartⅡ」に観客を動員する作戦らしい。
これからもこのような本格的な次々に映画が作られると、楽しみだ。

付録:今回は吹き替え版を見た。中国語の勉強をしているカミさんを考えると原語版が良かったが、後の祭り・・。しかし吹き替え版はスーパーされる文字をいちいち読まなくて良いので、絵に集中できて良い。しかし、映画の製作者は声も含めて作品を作っている、と考えると原語版を見るのが良いわけだ。でも今回は声優も素晴らしかったので、自分は吹き替え版の方が好きだな・・・

(2009/4/13追)
一日遅れでこの映画のプログラムを読んだ。なかなか良く出来たプログラムで、歴史的な背景や、3世紀に陳寿(ちんじゅ)が著した正史「三国志」、及び「三国志演義」とこの映画との関連が記されており、後で読むと勉強になる。とともに、昨日書いた自分の疑問の解が、ほとんどここに書かれている。つまり、何が創作かの回答が・・・。先手を取られたようでニクイ・・・・。
つまり、この映画は視聴者の反応の全てをお見通しのようで、「コメントする前に先ずこのプログラムを読め」と言う事かも・・・。しかし豪勢な印刷のプログラムが600円とは安い・・・・

(関連記事)
映画「レッドクリフPart1」を見る

|

« 脚本家・早坂暁の話(2/2)~死の宣告から生き返って | トップページ | 宗教者へ「職 失った人に寝食施すべきだ」 »

コメント

こんばんは

はい、私も夫に誘われて上映してすぐに行きました。
誰もが知っている話を 誰もが知っているとおりに展開する 安心してみられる 娯楽大作という感じで面白かったです。
赤壁の戦いの一因が (考えようによっては純情そのものの)横恋慕だとか いやいや そういう手当のやり方はご主人の傷がかえって開いてしまいませんか とか 非力な女性が単身乗り込んでスパイ活動やら 敵将と対峙するなど 話がややこしくなるだけで実りはないでしょう と思うのにちゃんと成果をあげるなんて ありえんよねえ~などと いろいろつっこみながら見るのも 物見遊山的には面白かったです。
私は 切った張ったのシーンは苦手で そう言うのが始まると目をつむってしまいますが そうすると大抵寝てしまうのに 特に第2部は スゴイ迫力でとても寝るどころではありませんでした。
ああいう映画は 気楽で良いですね。

投稿: 見切り | 2009年4月19日 (日) 21:54

見切りさん

確かに、歴史的なことは置いておいて、単なるドラマとして見ると面白いですよね。

投稿: エムズの片割れ | 2009年4月21日 (火) 21:24

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« 脚本家・早坂暁の話(2/2)~死の宣告から生き返って | トップページ | 宗教者へ「職 失った人に寝食施すべきだ」 »