「間違えやすい敬語」ベスト10
昨日の日経朝刊に「間違えやすい敬語~「いただく」乱用に注意」という記事が載っていた。これは4月上旬、新宿駅西口で、全25問をビジネスマンに○×で答えてもらい、そのうち間違い率の高かったワースト10を挙げたもの。平均点は25問中15問、最高は24問正解の20歳台の電機会社受付の女性だったという。(2009/4/18 日経新聞より)
<間違えやすい敬語 ベスト10>
①「ご拝読いただきありがとうございます」(商談で資料を示して)間違い率67%
「拝」は「謹んで」という意味の謙譲語で自らの行為をへりくだる際に使う。尊敬語と取り違えて使用している。正しくは「ご覧いただき」「お読みいただき」
⇒まあこれは分かるな・・・
②「○○は本日休みをいただいております」(社外からの電話に)61%
休みを与えているのは本人の所属する会社。「いただく」が自社に対してへりくだる形になっている。正しくは「休みをとっております」
⇒これは多い。自分は使ったことが無いが、電話で良く言われる。
③「○○様でございますね」(来客に)58%
「ございます」は「ある」の丁寧語。「かばん」「コート」など物には使うが、敬意を示す相手には使わない。正しくは「いらっしゃいますね」
⇒「いらっしゃる」という言葉はなかなか使わないな・・。
④「コーヒーと紅茶どちらにいたしますか」(商談で)54%
謙譲語と尊敬語を取り違えている。正しくは「どちらになさいますか」
⇒これは自分でも分かる。
⑤「お子様に差しあげてください」(目上の人に贈り物を託して)51%
「差し上げる」は謙譲語。相手を経由する場合は不適切。正しくは「差し上げます」「お渡しいただけますか」
⇒これは難しい。自分でも使いそう・・・
⑤「お求めやすい」(接客の場で)51%
「求める」の尊敬語は「お求めになる」。正しくは「お求めになりやすい」
⇒この言葉はどこでも使われている。「お求めやすいお値段・・」とか。言われてみると、そうか・・・
⑦「ご注意してください」(接客・公共の場で)45%
「お(ご)~する」という謙譲表現を取り違えて使ってる。正しくは「ご注意ください」
⇒たしかにそうだ。でも良く聞くのでは?
⑧「おわかりいただけたでしょうか」(商談で)44%
目上の能力を試したり評価したりしている印象を与えてしまう。正しくは「ご理解いただけたでしょうか」
⇒そりゃそうだ・・・。
⑨「ご助言参考になりました」(上司に対して)43%
相手の好意への感謝としては不十分。「参考程度」とみなされる。正しくは「勉強になりました」
⇒これは間違えないぞ。
⑩「上司にも申し上げておきます」(商談で)39%
社外の人の前で上司を高める形になっている。正しくは「伝えておきます」「申し伝えておきます」
⇒これも間違えないぞ。
10位には入らなかったが、職場でよく問題になるのが、部下が上司に使う「ご苦労さま」。上司にはNGで、状況に応じ「お疲れさま」「ありがとうございます」を使う。
⇒これは非常に多い。メールで「ご苦労さま」の何と多いことか・・・
敬語も時代に合わせて変化する。誤用と考えられてきた言葉が、そうでなくなりつつある例もある。典型が「とんでもございません」。以前は「とんでもない」で一つの形容詞「とんでもないことでございます」が正しいとの解釈だった。しかし2007年の文化庁指針でOKとなった。
⇒これは自分も良く使う。昔は誤用だったとは・・・
“このトシになってそんなこと100%さ・・・”、なんてこの記事を読み始めたら、結果はボロボロ・・・
幾ら日本人でも、そして幾ら自称“超ベテランのビジネスマン”でも、意外と正しい日本語の使い方が出来ていない。
自分も、こんな調子ではとうてい“サラリーマンの卒業(定年=現役引退)”は出来ないので、もう少し頑張るしかないか・・!?
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コメント
1996年 アトランタ・オリンピック女子マラソンの実況放送で、ロバ、エゴロワに続いて第3位入賞を果たした有森裕子選手が、ゴールした直後、差し出されたマイクに 「メダルの色は銅でも 自分をほめてやりたい…」 と 正しい日本語で答えていたのに、その夜 7時のNHKニュースのアナウンサーが、「有森選手は 自分をほめてあげたい…といいました」 と原稿を読み、唖然としたことを想いだします。
このごろは、NHKアナだけでなく、大学教授と呼ばれる人の中にも “飼い犬に餌をあげる” 的話法をよく使っていますネ。
毎日のご健筆と アクセス数に感嘆している 奥山和 です。ご無沙汰しています。
投稿: 奥山 和 | 2009年4月20日 (月) 17:00
奥山さん
確かに、良く聞くと日本語が相当乱れていますよね。実は自分も冷や汗・・・
幾らトシを取っても、勉強は必要ですね。
投稿: エムズの片割れ | 2009年4月21日 (火) 21:27
要するに、尊敬語と謙遜(謙譲)語の使い方の間違いですね!このほかにもよくあるのは「(お心当たりのあるかたは)お申し出てください。」これなども相手に謙遜させてしまっている。一方で、万事がばかていねいになっているのも事実です。最近、気になっているのは、ATMで現金を出し入れするとき、「お手続きをしてください」というのが音声ガイドに出てきますが、非常に違和感があります!ばかていねいすぎる感じがするのです。会社名に、たとえば東芝さんとか、パナソニックさんとか、さん付けで呼ぶ慣習はいつごろからはじまったのでしょうか?インターネットのOKwaveというところで質問・回答を読んでいると、「・・・という質問者様(回答者様)の云々」というふうに質問者、回答者が様付けで呼ばれている。これなども私にはばかていねいすぎて違和感があるのですが、ほかの皆さんには違和感はないのでしょうか?
投稿: KeiichiKoda | 2012年10月20日 (土) 10:02
間違いやすい「敬語」ではなく、間違いやすい「日本語」の話ですが、「的を射る」と「的を得る」はどちらが正しい日本語だと思いますか?後者を使う人もたくさんいますが、「教養ある?」日本人に聞くと、後者は間違い、前者が正しいと答えるでしょう。私も、「教養ある」日本人の端くれ(?)として、そう思っていました。将棋の天才藤井聡太が快進撃をつづけていた昨年のはじめのころの、NHKが師匠である杉本7段にインタビューしたとき、杉本7段は、まだ小学生低学年だった藤井聡太の感想戦でのコメントが非常に「的を得た」コメントだったので、印象に残っていた云々と語っていたのですが、TVの下に出る(聴覚障害者用の)「字幕」では、杉本7段の言葉は「的を射た」と、訂正されていました。しかし、辞書編纂者の飯間浩明氏によると、「的を得た」という言い方は江戸時代(幕末)に書かれた文書にも登場しており、決して昨今の用法ではないという(6/11のNHKの「プロフェッショナル仕事の流儀」、私はこの番組を昨日8/19の再放送で視聴)。「的を射る」、「的を得る」という言葉はとくに戦後広まった言葉の由。ちなみに、我が家にある岩波の「広辞苑」第2版(昭和44年5月第1刷)には「的を射る」も、「的を得る」も収録されていません。
【エムズの片割れより】
当PCにインストールしてある「広辞苑第5版」では、「まとをえる」を入れると「的を射る」が出て来ます。
若い人の「ヤバイ」が、「素晴らしい」という意味に変化したように、言葉は生き物なので、そのうちに「的を得る」も広辞苑に載るかも・・・
何せ、現に世の中で多く使われているものを否定は出来ない・・・
ATOKでは「まとをえる」を入れても「的を得る」とは出て来ませんが。
投稿: KeiichiKoda | 2018年8月20日 (月) 06:52
追記です。この欄のタイトルは「間違えやすい敬語」ですが、私のコメントは「間違いやすい」と書いています。これは変換ミスではなく、私は「間違い」→「間違いやすい」だと思っていましたが、「間違える」→「間違えやすい」なんですね。家内に確かめたら、「間違えやすい」が正しく、「間違いやすい」とは決していわない由。そういえば、「食べやすい」「読みやすい」など、「やすい」の前は動詞の連用形がきて、名詞はきませんね。この言葉は私にとっては「間違えやすい」形容詞でした(笑)。
【エムズの片割れより】
確かに「間違いやすい」は使いますね。文語体では「間違えやすい」でも、口語体では「間違いやすい」は現に使っており、アリかも。
ATOKでもすんなりと「間違いやすい」と変換しています。
投稿: KeiichiKoda | 2018年8月20日 (月) 09:40