鉛筆画家・木下晋氏と話した・・・
1年ほど前に、NHKラジオ深夜便で聞いて「画家 木下晋氏の母親との凄まじい葛藤」という記事を書いたことがある(ここ)。 その木下晋氏の新作展が南青山で、2月28日まで開催中であると朝日新聞(2009/2/11)に載っていたのを見つけ、ぜひ“ホンモノ”を見たいと、今日、表参道駅近くにある始弘画廊(ここ)にカミさんと一緒に行って来た。(写真はクリックで拡大します)
元ハンセン病患者をモデルにした絵は、予想通り物凄い迫力・・・・。この大きな1.9m×1mの大作「光の合掌」は1日に15~16時間もケント紙に向かい、約1カ月掛けて仕上げたという。会場には全部で12作品があったが、猫が寝ている絵などは目がランランと光っていて、今にも動き出しそう・・・・。10万円と書いてある。カミさんが「買おうよ」と言う。冗談だとばかり思っていたが、後で聞いたら半分は正気だったとか・・・。
一回りしたら、何と本人が画廊に入って来た。あの姿・・・・。 画廊の入り口に木下さんの写真集「生の深い淵から(これ)」が置いてあったので手に取って見ていたら、ここにもその本が置いてあると受付の人が言うので、買うことにした。直ぐ近くに木下さんが居られたので、声を掛けてみた。そしたら本にサインしてくれると言うのでお願いした。左手でサインしてくれた。「ラジオで聞きました。ぜひホンモノの絵を見たいと思って・・」と言うと、「どの放送ですか?」というので「昨年のラジオ深夜便で・・・」と。そしてずうずうしく「写真を撮らせて頂けますか?」とミーハーなことを言ったら、「どうぞどうぞ」と直ぐにOK。それで撮らせて頂いたのがこの写真。
だいたい、自分は“有名人と一緒”に写真を撮らせて頂いたのも初めてだし、サインをもらったのも初めて・・・。それだけ、著者と出会ったことがないのである。 作品はどれも「命」を感じる。“無難な題材”などはどこにも無い。ハンセン病で、目も鼻も手も無くなったすさまじい“生きる”姿をとらえる木下氏。そこには、前の記事で書いた家出を繰り返す母親との葛藤、貧困の極みの子供時代の体験が深く刻まれているようで、ノー天気な自分など到底近付けない世界・・・・。
そして、買った写真集「生の深い淵から」の中で、自分が一番気になったのが、この「祈心」という作品。あるのは「手」だけ。でも画面から何かが伝わって来る。
木下さんの作品は、居間に掛けて楽しむという作品ではないが、何かオーラを発する不思議な絵の世界である。また今日は、ひょんなことで本人にも会えるとは・・・。自分もあまり体験をしたことが無い、貴重なひと時であった。
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