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2009年1月27日 (火)

「冬の星座」と「冬の夜」~冬の唱歌

いよいよ朝の「日の出」の時刻が“折り返して”日ごとに早くなってきている。今朝は東京で6:45だと、朝のテレビで言っていた。東京の一番遅い「日の出」は、1月7日頃の6:51なので、それよりも6分ほど早くなっている(ここ)。通勤には“明るい朝”が待ち遠しい・・・。

カミさんが「冬の夜の星座がキレイ・・・」と言う。空なんて、あまりゆっくりと見たことは無いが、庭に出て見ると確かに澄んでいてきれいだ。もっともウチの庭からは“空の一部”しか見えないが・・・。
そう言えば、先日ラジオで、日本で天文学があまり発達しなかったのは、唱歌「朧月夜」でも歌われているように、日本は気候的に星が良く見えなかったことが原因だったとか・・・。

カミさんと「冬の星といえば“冬の星座”という歌があったっけ・・・」ナンテいう話になった。この歌は、色々な歌手のものを持っているが、自分が一番気に入っている土居裕子の歌で聞いてみよう。

<土居裕子の「冬の星座」>


「冬の星座」
  作曲:ヘイス
  訳詩:堀内敬三

1)木枯らしとだえて さゆる空より
 地上に降りしく 奇(くす)しき光よ
 ものみな憩える しじまの中に
 きらめき揺れつつ 星座はめぐる

2)ほのぼの明かりて 流るる銀河
 オリオン舞い立ち スバルはさざめく
 無窮をゆびさす 北斗の針と
 きらめき揺れつつ 星座はめぐる

この歌は、1947年(昭和22年)7月「中等音楽(1)」に掲載された文部省唱歌で、原曲は、19世紀に活躍したアメリカの作曲家ウィリアム・へイス(William Shakespeare Hays/1837-1907)の、1871年の歌曲『Mollie Darling(Molly Darling)』。この原曲の内容は、モリーという女性に対して、「僕の事好きだって言ってくれ!」と悶々とする男の心境を歌ったラブソングだそうだ。(出典はここ
また、“訳詩:堀内敬三”となっているが、本当は翻訳ではなく、科学者を目指していた堀内の創作、とのこと。

一緒に思い出したのが「冬の夜」という歌・・・。1912年(明治45年)に「尋常小学唱歌(三)」として発表されたというこの文部省唱歌は、まさに日本の歌だ。この歌は、NHK東京放送児童合唱団の歌が清々しくて好きだ。

<NHK東京放送児童合唱団「冬の夜」>


「冬の夜」
  作詞/作曲:文部省唱歌

1)燈火ちかく 衣縫う母は
 春の遊びの 楽しさ語る
 居並ぶ子どもは 指を折りつつ
 日数かぞえて 喜び勇む
 囲炉裏火は とろとろ
 外は吹雪

2)囲炉裏の端に 縄なう父は
 過ぎしいくさの 手柄を語る
 居並ぶ子どもは ねむさ忘れて
 耳を傾け こぶしを握る
 囲炉裏火は とろとろ
 外は吹雪

この「冬の夜」という歌については、(ここ)に詳しい解説がある。
「歌詞は、時代を反映しており、「過ぎしいくさの手柄を語る」と歌われている“いくさ”、つまり戦争は、日露戦争の事でしょう。
 父は、縄をないながら、戦場での様子を子供たちに話しています。それは、勝ち戦の自慢話だったので、子供たちは眠いのも忘れて拳を握りしめて、聞き入っています。この歌を歌った男の子たちは、大きくなったら僕たちも父親のようにりっぱな兵隊さんになって戦場で戦おうと夢をふくらませたことでしょう。
 文部省は、このように時代に合った歌を作り、子供たちに歌わせて教育の一環としました。 戦後は「過ぎし昔の思い出語る」に変えて歌われました。変えてしまうと、なぜ、子供たちは聞きながら「拳を握る」のかが意味不明となります。
 戦意昂揚の意味を含んだ歌詞であるにもかかわらず、太平洋戦争勃発直後の昭和十七年の『初等科音楽一』国民学校初等科第三学年用には掲載されませんでした。戦時下の音楽教科書に掲載されなかったのは、戦闘開始の時期に、「過ぎし戦」の歌詞では、混乱をまねくと判断されたのでしょう。・・・・・」(池田小百合著『童謡・唱歌 風だより』春陽堂 2004年)

明治時代の農村の冬景色・・・。フト思い出すのはNHKの朝ドラ「おしん」の貧しい囲炉裏の風景だが、一方ではこんなのどかな風景もあったのだろう。
自分はコタツに、犬と一緒に“首まで”入って、うたた寝をするのが大好きだが、もしかするとこんな囲炉裏端での生活のDNAが、自分の遺伝子に組み込まれているのかもね・・。
テレビもラジオも無い家族の話が中心の囲炉裏端・・・。何となく家族の暖かさが伝わってくる歌ではある。

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コメント

大好きな歌である。土井さんファンでもある。あの透きとーったくせのない素敵な声で
文部省唱歌・童謡をもっともっと聞かせてもらいたいものだ。
 私の臨終時には葬儀を省略して”冬の星座””浜辺の歌””われは海の子”の3曲をかけてもらえればそれで満足だと家内に依頼している。

投稿: 中村 衛 | 2009年9月25日 (金) 15:30

中村衛さん

コメントありがとうございます。しかし気の早い・・・
昔、自分も同じように“自分の葬式にはエロイカの葬送行進曲を・・”と言った事はありますが、土居裕子さんの歌とは・・・・
でも、彼女の歌は透き通っていて素晴らしい。CDが少ないので惜しいですよね。

投稿: エムズの片割れ | 2009年9月25日 (金) 21:36

はじめまして
冬景色・冬の星座・冬の夜を聞いていると、小学生の頃に戻ります。土居裕子さんの声・とても、すてきです。
もう一曲、星の世界:私が習った時は、(かーがやく みそらーに)だったような気がします。どなたか、よろしくお願い致します。
ちなみに、私はS21年生まれです。

【エムズの片割れより】
旋律は同じですが、”月無きみそらに”が「星の界」で、“かがやく夜空の”が「星の世界」のようですね。今度取り上げましょうかね。1年先輩さん!

投稿: ドキンちゃん | 2011年6月24日 (金) 20:45

ドキンちゃん様
題名は星の世界ではなく星の界(よ)です。「二木絋三のうた物語」というプログの星の界を開いてみてください。昭和20年代から30年代の音楽の教科書に載っていたのです。私は「秋のおとずれ」という題名でならいました。60年以上昔の記憶を何人かの人でたどりました。参考になるかもしれません。

投稿: 白萩 | 2011年6月26日 (日) 23:18

みなさま ありがとうございます。
もやもやが、取れて、とても、嬉しいです。
唱歌を聴いていると懐かしさで眼が潤んできます(ρ_;) 又、S40年代の頃の曲を聴いて心が、ウキウキしています。
この頃は、唱歌を 習わないのでしょうか?
難しい言葉もありますが、きれいな日本語だと思っています。年を取ってきたからでしょうね
幼児と一緒に、唄っています(これからも唱歌が、後世に残りますように

投稿: ドキンちゃん | 2011年6月28日 (火) 16:52

この「冬の星座」の訳詞は堀内敬三ですね。この作詞者の名前を聞くと、子供のころ毎日曜午前中にNHKラジオから流れていたクラシック音楽番組「音楽の泉」のテーマミュージック、シューベルトの「楽興の時作品94-3、へ短調」(↓)

http://www.geocities.co.jp/mani359/meigakkyounotoki.html

をこの番組の司会者堀内敬三さんの優しい声とともに思い出します。堀内さんは実にたくさんの外国の歌に美しい日本語の歌詞をつけているんですね。この歌のほかに、堀内さんが訳詞をつけた歌で私の好きな曲は「春の日の花と輝く」ですが、これも私が好きな歌手島田祐子が歌う「春の日・・・」(↓)

http://www.youtube.com/watch?v=umXoQIl70xM

を見つけました。実に格調高い歌詞ですね!

【エムズの片割れより】
どちらの曲も良く知っています。堀内敬三の番組は、子どもの時に、ラジオで良く聞きました。

投稿: KeiichiKoda | 2013年2月24日 (日) 07:15

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