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2008年12月 6日 (土)

フランク永井の「おまえに」

今日の朝日新聞の「天声人語」が愉快だ。最後のひと言にグッ!曰く・・・

「10月に亡くなったフランク永井さんの名曲に「おまえに」がある。<……僕のほころびぬえるのは/おなじ心の傷をもつ/おまえのほかにだれもない/そばにいてくれるだけでいい>。固い契りを、ささやくように歌い上げた。夫婦か、恋仲か。おまえと呼ばれて、女性側に何の違和感も生じない関係であろう。主従ではなく、絶対的な信頼で結ばれた男女が浮かぶ。<そばにいてくれるだけでいい>人など、そういない。朝日新聞の会員サービス、アスパラクラブが「おまえ」という呼び方への反応を約2万人に聞いた。配偶者や恋人にそう呼ばれたら「腹立たしい」「なんとなく不快」との回答が、男女とも8割あった。「新婚当初、それでよくけんかした」女性もいる。職場でも、女性のほぼ9割、男性の7割が不快に感じていた。「おまえ呼ばわりは一種のパワハラ」(30代女性)「尊敬できない上司から言われるのは抵抗がある」(30代男性)等々。ここまでの不人気、ほかならぬ「御前(おまえ)」が首をひねるに違いない。もとは目上に使う呼称で、おんまえ、ごぜんと読めば察しがつく。それが江戸期から同等や目下にも使われるようになり、戦後は「おれ」と対をなす、男臭くて荒っぽい語感を帯びた。相手が男でも女でも、信頼関係に余程の自信がなければ控えるのが賢明だ。当方、家族を「おまえ」と呼んだこと数知れない。それでモメた覚えもないのだが、先の調査結果を知って不安がよぎった。もしや先方が耐え忍んできたのではないか。聞いたら、その通りだった。 」(2008/12/6朝日新聞「天声人語」より)

フランク永井も亡くなってから、もう一ヶ月になる(2008年10月27日死去)。(そして今日は、「からたち日記」「高校三年生」等の作曲家・遠藤実氏が亡くなったという報道があった)
・・・という訳で、今日はフランク永井の「お前に」。

<フランク永井の「おまえに」>


「おまえに」
  作詞:岩谷時子
  作曲:吉田 正
  歌 :フランク永井

1)そばにいてくれる だけでいい
 黙っていても いいんだよ
 僕のほころび ぬえるのは
 おなじ心の 傷をもつ
 おまえのほかに だれもない
 そばにいてくれる だけでいい

2)そばにいてくれる だけでいい
 泣きたい時も ここで泣け
 涙をふくのは 僕だから
 おなじ喜び 知るものは
 おまえのほかに だれもない
 そばにいてくれる だけでいい

3)そばにいてくれる だけでいい
 約束をした あの日から
 遠くここまで 来た二人
 おなじ調べを 唄うのは
 おまえのほかに だれもない
 そばにいてくれる だけでいい

今、改めてこの詩を読むと、何とも言葉が無い・・・。(むず痒くなってくる・・)
天声人語にも「おまえと呼ばれて、女性側に何の違和感も生じない関係であろう。主従ではなく、絶対的な信頼で結ばれた男女が浮かぶ。」とあるが、それは殆どの場合勘違いで、「もしや先方が耐え忍んできたのではないか」と気が付くのが正解だろう。その点、「天声人語」の筆者は、“さすが”にそれに気が付いただけ偉い!

でも、この歌の姿は夫婦の理想の姿なのかも・・・? そう言えば、同じ夫婦の姿を謳った歌に「喜びも悲しみも幾歳月」という歌があったっけ・・(ここ)。この歌詞も、同じように夫婦の絆が謳われていて心に響く。
まあ自分も還暦の身だが、残された時間、少しでもそれに近付くように“チョットだけ”頑張ってみるとしようか・・・?(直ぐに忘れると思うけど・・・)

(2013/09/07追)
今朝のNHKラジオ深夜便で、フランク永井の特集があったが、その中で、この「おまえに」について、こんな解説があった。
「これは岩谷時子さんが、吉田正夫妻のさりげない日常を描いて作詞した。昭和41年、「大阪ロマン」のB面に吹き込まれたこの歌は、ほとんど注目されませんでしたが、フランクさんはステージで歌い続け、昭和47年、A面にして2度目の発売をしたもののヒットせず、その5年後(1977年)に再録音で再々発売して、カラオケブームに乗って大ヒットした。最初の吹き込みから11年経っていた。それだけ思い入れの強い歌です。」

<フランク永井「おまえに」~昭和41年版>

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