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2008年12月20日 (土)

将棋・大山康晴名人の講演会を聞く

先日のNHKラジオ深夜便アーカイブス「文化講演会から「勝負と人生」将棋15世名人 大山康晴」を聞いた。(2008/12/14放送)
この番組は、NHKに残っている録音から名講演を再放送するのもで、今回の大山さんの講演は、1980年4月5日に放送されたもの。さすがに将棋の世界を極めた人だけあって、その言葉一つひとつに含蓄があり、その言葉一つひとつは、どのような道にも応用がきく話だったような気がする。曰く・・・

「・将棋は3手先を読むとはいうが、最大1手で539の手がある。それを3回繰り返すだけで1億になってしまう。それには“捨てる”ことをどうするか・・・
・若い時に天才と言われた人は大成が難しい。むしろ若い時に鈍(どん)と言われた人が伸びる。
・将棋は400年の歴史があるが、芸である以上、体で覚えることが大事。その点、内弟子は師匠から一切将棋を教えてもらえないが、体で覚えることと如何に意欲を持たせるかで、自分は役に立った。
・あせって肩書きを早く持つと損。まず信頼を得ること。
・目標を持つ。自分が努力して達成できそうな3年後の目標を持ち、頑張って達成したら、また3年後の目標を持つことを繰り返す。
・周りの人から「他の棋士がまね出来ない何かを持ちなさい。それがいつか生きる」と言われ、自分ができることは行儀良く座って将棋を指すこと位しか出来ないので、姿勢正しく指すことにした。良くも悪くも心の姿勢、体の姿勢が崩れないように。そうしたら、ポーカーフェースとか精密機械とか言われもした。
・5年に一度位はスランプがある。それは勝ち負けというより、指す内容が悪くなった時。それを越えるのは、良かった時のメンツを捨てることが立ち直るキッカケを与える。例えば、倒産した元社長は、良かった社長時代を忘れること。今日の立場が当たり前・・・と。
・どうしたら強くなるか? まず勉強すること。新しいものをいかに取り入れるか。そして贅沢にならない範囲で良い道具を使う。良い道具は良い緊張を生む。そして健康が大事。
・人生は、一に健康、二に勉強。人生は運もあればチャンスもある。健康と勉強さえあれば、チャンスにも恵まれるし、運も寄ってくる。」

大山さんの声は、その風貌から想像していたよりも、よほど流暢な話し方であり、弁舌さわやかだった。その重鎮大山さんの声を聴いてみよう。

<将棋・大山康晴氏の講演から~1980年4月放送>

そういえば、昔、田舎の家に「**さんへ」と書いた大山さんの“書”が床の間に飾ってあったっけ。これは亡くなった親父が、会社の将棋同好会で、大山さんに指導に来て頂いた時に書いてもらったものらしい。親父が亡くなってから10年以上経つので、それがどこに行ったかは分からないが、今度帰省した時に探してみよう。

先日の新聞に、「将棋の羽生善治4冠の永世7冠が来年以降に持ち越された。第21期竜王戦7番勝負第7局で18日、140手で後手の渡辺明竜王に敗れた。・・・3連勝4連敗という将棋のタイトル戦史上初大逆転劇を許した。・・・」という記事があった。
羽生さんも大山さんに匹敵する将棋界の巨星。このスランプ(?)にめげずに、また前人未到の記録を極めて欲しいもの。
どの世界でも、その道を極めた人の言葉は重たい・・・。

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コメント

この大山先生の講演会を父に連れられて聴きに行きました。遡ること35年前、小学4年生の時でした。当時は大山先生のことは知らず、講演にも耳を傾けず寝てしまいました。その日のNHKローカルニュースで会場内の私が映り、翌日学校で友人達にからかわれたことが思い出されます。今回、他の場所で大山先生の記事に触れ、当時のことを思い出し、検索していてこちらに辿り着きました。懐かしい記録ありがとうございました。

【エムズの片割れより】
それはそれは不思議なご縁で・・・

投稿: 名無しさん | 2015年6月10日 (水) 02:40

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