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2008年12月28日 (日)

中村元の「観音経」(12/13)

この連続記事は、1985年4月から9月まで、NHKラジオ第二放送で行われた全26回の連Image01271_3 続講義「こころをよむ/仏典」(CDはこれ)の「第18回 願望をかなえる-観音経」の部分を、『中村先生の声』と『原文』『読み下し文』、そして『中村先生の説明』を、この放送を活字化した、前田専学先生監修の「仏典をよむ3 大乗の教え(上)」(これ)を元に味わっていくもので、今日はその第12回目である。

<こころをよむ/仏典「観音経」~その12CDはこれ

しゅじょうび-こんやく むりょうく-ひっしん かんのんみょうち-りき のうく-せ-けんく-
衆生被困厄 無量苦逼身 観音妙智力 能救世間苦

ぐ-そくじんづうりき こうしゅうち-ほうべん じっぽうしょこくど  むせつふ-げんしん
具足神通力 廣修智方便 十方諸国土 無刹不現身

しゅうじゅうしょ-あくしゅ- じ-ごくき-ちくしょう しょうろうびょうし-く- い-ぜんしつりょうめつ
種種諸悪趣 地獄鬼畜生 生老病死苦 以漸悉令滅

しんかんしょうじょうかん こうだいち-え-かん ひ-かんぎゅうじ-かん じょうがんじょうせんごう
真観清浄観 廣大智慧観 悲観及慈観 浄願常譫仰

む-く-しょうじょうこう  え-にちは-しょあん のうぶくさいふうか- ふみょうしょうせ-けん
無垢清浄光 慧日破諸闇 能伏災風火 普明照世間

ひ-たいかいらいしん じ-い-みょうだいうん じゅ-かんろ-ほうう- めつじょ-ぼんのうえん
悲體戒雷震 慈意妙大雲 濡甘露法雨 滅除煩悩焔

じょうじゅ-きょうかんじょ - ふ-い-ぐんじんちゅう ねんぴ-かんのんりき しゅうおんしったいさん
諍訟経官処 怖畏軍陣中 念彼観音力 衆怨悉退散

衆生、困厄(わざわい)を被(こうむ)りて 無量の苦、身に逼(せま)らんに
観音の妙なる智力は 能く世間の苦を救わん。
神通力を具足し 広く智の方便を修(しゅ)して
十方の諸の国土に 刹(くに)として身を現(あら)わさざること無けん。
種種の諸(おおく)の悪趣(あくしゅ)と 地獄・鬼・畜生と
生老病死との苦も 以って漸く悉く滅せしめん。
真(まこと)の観・清浄の観 広大なる知慧の観
悲の観及び慈の観あり 常に願い常に譫仰(あおぎみ)るべし。
無垢清浄の光ある 彗日は諸の暗を被り
能く災の風と火を伏して 譜(あま)ねく明かに世間を照らすなり。
悲(あわれみ)の体(すがた)たる戒は雷(いかずち)の震(ふる)うがごとく 慈みの意(こころ)は妙えなる大雲のごとし
甘露の法雨を濡(そそ)ぎて 煩悩の焔(ほのお)を滅除す。
諍訟(あらそい)して官処(やくしょ)を経 軍陣(たたかい)の中に怖畏(おそ)れんに
彼の観音の力を念ぜば 衆(もろもろ)の怨(あた)は悉(ことごと)く退散せん。

「生きとし生けるものたちはそのほかいろいろな困難やわざわいをこうむって、はかりしれないほどの苦悩がせまってきたとしても、観音さまの素晴らしい智慧の力が、世の人々の苦しみ悩みをことごとく救ってくださるであろう」
前回までは「念彼観音力(=彼の観音の力)」が12回も繰り返し出てきたが、今度は「観音妙智力(=観音の妙なる智力)」である。「ねんぴーかんのんりき」よりも「かんのんみょうちーりき」の方がよほど響きが良い。

「観音さまは神通力を完全に会得して、広大な智慧と巧みな方便とを修めて、十方にあるすべての国土に、どこの国にでも現れないことはない」
「十方」とは、東西南北(四方)と、東南・西南・西北・北東(四惟=しゆい)と上下の十をいう。つまりあらゆる方向。
十一面観音の「十一面」とは、正面に置かれる菩薩相の三面(慈悲を表し楽を与える)、左側の忿怒相(ふんぬそう)の三面(悪人をこらし善道に導く)、右側の白牙(びゃくげ)を出す三面(善行者を賞賛し仏道をさらに勧める)、後頭部の暴悪相(ぼうあくそう)一面(品性いやしき者を善に向かわせる)、それに頭頂部の如来相一面の計十一面をいいます。

「悪業(あくごう)の結果として受けるべき生存の状態に、種種もろもろがある。たとえば、地獄と餓鬼と畜生の三つの苦しみの世界があげられる。また、人間界の苦しみとして、生・老・病・死の四苦がよくいわれるが、それらの苦しみのなかにあえいでいる人々を観音さまはことごとく救ってくださる。すなわち、観世音菩薩の智慧の力つまり、「観音妙智力」のおかげで、もろもろの苦しみはやがてはことごとく消滅するのである。」

「私たちの観音さまは、真実の眼(まなこ)のある方であり、清らかな眼のある方であり、広大な智慧の眼のある方です。加えて、哀れみの眼を持ち、慈しみの眼を持つ、そういうお方を、我々は常に心の願い、常に仰ぎみることにしましょう。」

「汚れのない無垢清浄の光を持つところの太陽のごとき智慧を備えた観世音菩薩は、もろもろの暗闇を破って光明をもたらし、災いを引き起こす風と火とをよくコントロールして、自ら輝きながら、あまねく世界を照らしだすのである。」

「哀れみからなる戒律は雷雨を轟かせるごとくである。つまり、観世音菩薩の説く戒は、あくまでも人々を哀れみいとしむ情の強き発露である。また、観音が衆生を慈しみ、思いやる心はすばらしい大きな雲に例えられる。そうして、仏の教えという甘露の雨を降らせて、生命あるものの煩悩の炎を鎮めてくれるのである。」

「訴訟のために裁判所に呼び出されたとしても、あるいは戦陣のなかで恐怖におびえることがあったとしても、かの観音さまの力を念じたならば、もろもろの怨(あだ)なす敵はことごとく退散してしまうであろう。」(中村元監修「あなただけの観音経」より)

長くなるので、通訳のみ記した。
話は変わるが、今日の日経新聞に棟方志功の記事が載っていた。そこに妻チヤについてこんな記述があった。

「晩年の棟方が肝臓がんで倒れた時もチヤは「生かしてみせる」という信念で看護した。西洋医学に見放された棟方を、病院に泊まり込んで指圧や漢方などあらゆる手当てを試みた。「年を越すのもおぼつかない」という医師の見立てをよそに、正月をこえて棟方は、再び絵筆を執れるほどに回復した。ムナカタには終生「妙智力」の観音さまがそばにいたのだ。・・・」(日経08/12/28p15)

観音さまは意外と身近に居るのかも知れない・・・・

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