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2008年11月 6日 (木)

NHKラジオ深夜便「こころのエッセー」賞から

NHKと雑誌「ラジオ深夜便」が創刊100号を記念して「こころのエッセー」を募集し、その入選作の朗読が放送された。(2008/10/27~29)
番組によると、全部で746編の応募があり、「こころのエッセー」賞2編、佳作7編を決めたとか。そして応募者は27歳から100歳まで、平均年齢は72歳だったという。
その中で「こころのエッセー」賞を取ったのが、「折れた三味線」というエッセー。村上清さんという92歳の方の作品だ。少し聞いてみよう・・・

特別審査員の漫画家・やなせたかし氏は、この作品を、「この話は、あまりにも出来過ぎている。一番最後に若い芸者さんが盲目になっていて三味線のお師匠になっているなど、まるで小説のようで、迷った。でも92歳の方の作品と聞いて、許せるかなと思った。もし70歳だったら、ちょっと作り過ぎだと言っていたと思う」と評している。

同じく、脚本家の内館牧子氏は、「この作品は、ダントツで最高点を付けた」と言っており、「うそ臭いとか、作った物語とか思う方も居られるだろうが、一服のエッセーとして、また物語として抜群に良く出来ている。これだけのものを書く人は、ただ者ではない。どうしたらこのような人になれるんでしょう?」と絶賛していた。
ちなみに、NHKの方が村上さんを訪ねて、「すごいお話ですね」と言ったら、「もちろん全て事実です」と話されていたとか・・・
それほど、この作品は素晴らしい出来なのである。つまり情景が目に浮かぶのである。村上さんは戦争体験を同人誌に寄せたりしている方だそうだ。それに、佳作の作品も大変な文章力なのである。

自分はこの放送(作品)を聞いて、実は「これはエッセーというより“短編小説”ではないか?」と思った。
そして、広辞苑を引いてみた。そしたら「エッセー=①随筆。自由な形式で書かれた思索的色彩の濃い散文。 ②試論。小論」とあった。
そして「随筆=見聞・経験・感想などを気の向くままに記した文章。漫筆。随想。エッセー」とある。
なるほど・・・。「見聞」、「経験」か・・・・。

しかし、深夜の番組だというのに、元気に(?)ラジオ深夜便を聞いている人たちが多い。そしてその視聴者は、人生の大先輩であると同時に、何と博学の方が多いことか・・・。まあ還暦一年生の自分など、その先輩に比べると、まだまだ「初心者」「洟垂れ小僧」・・・ということか・・・・・。

(関連記事)
第4回NHKラジオ深夜便「こころのエッセー」賞から(2010年3月放送)

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