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2008年11月23日 (日)

社保審 障害者部会が論点整理~障害者自立支援法を考える(5)

昨日の朝日新聞に「障害者支援~「1割負担」なじむか」という記事があり、障害者自立支援法の問題点が整理されていて分かりやすかった。(2008/11/22朝日新聞 P3) 曰く・・・

「社会保障審議会 廃止か存続か方向性出せず」
来春の障害者自立支援法見直しに向けて、社会保障審議会(厚生労働相の諮問機関)の障害者部会は21日、論点を整理した(ここ)。「抜本的見直し」の行方が注目されたが、当事者から批判が強いサービス費用の原則1割自己負担については両論併記にとどまった。サービス量に応じて負担するしくみは障害者支援に合うのだろうか。(森本美紀、中村靖三郎)

・・・自立支援法は06年4月施行。別々だった身体・知的・精神各障害の福祉サービスを一本化し、利用者負担のしくみを、それまでの所得に応じた「応能負担」から、サービス利用量に応じて原則1割を支払う「応益負担」に転換した。利用量の増加に対応した「安定的な財源確保」や、「利用者が負担することで事業者と対等の関係を築ける」が理由だ。
しかし、応能負担だと、ほとんどの障害者は収入が低く自己負担がほとんどなかったのに、応益負担でサービスを利用する障害者の約9割に負担が生じた(08年1月、厚労省調べ)。導入後、サービス利用の抑制や中止が相次ぎ、障害者や家族は反発した。
「抜本的見直し」は自民党の主導だ。公明党との政権合意に盛り込まれ、昨年12月の与党プロジェクトチーム報告書は、低所得者の負担軽減や、自己負担分を払えるよう障害基礎年金の引き上げの検討を明記。軽減措置の結果、サービス料に対する自己負担率は、全体平均で2.86%まで抑えられた。しかし、厚労相には「定率負担の廃止は制度の否定に等しい」(幹部)との考えが強い。
社保審障害者部会は21、日最終報告に向けた論点整理で、1割負担のしくみを維持するか廃止するかは方向を出さず、負担軽減措置については来年度以降も「継続実施すべきだ」とした。
この日も利用者負担のあり方などについて、委員会から「『さらに検討すべきだ』ばかり。問題を先送りするということではないか」との疑問が出た。会合はあと数回を残すのみ。厚労省は法改正が必要な部分について、来年の通常国会に法案を提出する方針だ。
・・・・

「健常者と平等」探る
日本障害者協議会(東京)の藤井克徳常務理事は、「応益負担の最大の問題点は、障害者の生命維持に必要な支援を私的な利益とみなしたことだ。障害が重く支援が必要な人ほど、負担が増えるというおかしな現象も生む」と批判する。
藤井さんは、障害は▽自分では避けられない▽自分で前もって知り得ない▽誰にでも生じる可能性があると指摘。「障害ゆえに必要な支援の費用を本人に課すのは、障害を自己責任とする考えにつながる」と言う。
では、どういう負担の仕方があるのか。障害者インターナショナル日本会議(東京)は今年3月、障害があっても地域で暮らせることを目指す「障害者総合福祉サービス法」(仮称)を提案した。国連の障害者権利条約にうたわれている「他の(障害のない)者との平等」という考えをふまえたものだ。
利用者負担については、食費や光熱水費、住居費など障害がない人が負担するものは、障害者も収入に応じて負担する。健常者は支払う必要がないのに障害に伴い負担が生じるもの、例えば食事やトイレの介助、道を歩くためのガイドヘルプ、作業所の利用料など自己負担なしという仕分けだ。日本会議によると、スウェーデンやデンマークでは障害者へのサービスは原則自己負担がない。英国では収入に応じる「応能負担」が中心だという。障害者に一般市民としての生活を保障しようという社会的な合意に基づく。
尾上浩二事務局長は「知る限りでは応益負担を原則とする国は無い」としたうえで、「障害者の権利条約の批准に向けた国内法の整備という視点からも、どの部分の費用をだれがどの程度負担するのか、一から議論し、支援法の枠組み自体を変える必要があるのではないか」と話す。」(2008/11/22朝日新聞 P3)

この記事で、日本障害者協議会の藤井理事の指摘が実に分かり易い。現在の支援法は、社会全体が負担する、というより、「障害は自己責任!?」なので「受益者負担」という考え方であり、世界的にも“信じられない”法律なのだ。
しかも、改正作業が進まない原因は、“厚労相には「定率負担の廃止は制度の否定に等しい」(幹部)との考えが強い。”からも分かるように、「一旦制定した法律を、誤りだと認めたくない」という「役人のメンツ」が背景にあるようで、許し難い。

次の選挙で、少しでもこれが論点になって「障害者自立支援法の改定」が進む事を期待していたが、その根が「官僚」にあるとすると、進みようが無いではないか・・・と、ゾッとした。
国民の為に「官僚」を捻じ伏せる事のできる強い政権の誕生は、今の日本では無理なのだろうか?

(関連記事)
第45回社会保障審議会障害者部会資料(平成20年11月21日開催)

家庭での障害者の率~障害者自立支援法を考える(1)
障害者自立支援法を考える(2)~その問題点と顛末
障害者自立支援法を考える(3)~各党の主張 
障害者自立支援法を考える(4)~いよいよ抜本見直しか?
障害者自立支援法を考える(6)~作った側の論理

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