レスピーギの「リュートのための古風な舞曲とアリア」と“還暦”
「生演奏を聞いて“惚れた”曲」いうのは自分でも少ないが、その一曲が実はこのレスピーギの「リュートのための古風な舞曲とアリア」の第3組曲なのである。今日はその思い出話である・・・。
学生の頃、ある企業城下町に住んでいた事があった。その町には、その企業が作ったホール(会館)があり、定期的にプロの演奏家を招いて演奏会が行われていた。自分も安いチケットを買って、初めて聞くナマの演奏に胸を躍らせたものだった。
演奏の楽団はまったく覚えていないが、そのホールで、小さなオーケストラによるこのレスピーギの「リュートのための古風な舞曲とアリア」を聞いた時に、一目(一聞き)惚れ・・・。この曲名は何だ・・?と、曲名を頭に叩き込み、直ぐにレコードを買いに行ったのは言うまでもない。今、レコードを探してみたら、アンタル・ドラティ指揮のフィルハモニア・フンガリアのLPが見つかった。昭和44年6月29日とメモしてある。大学4年のときだ。
そのうち、第4楽章の「シチリアーナ」を少し聞いてみよう。これはローザンヌ室内管弦楽団の演奏である。
<レスピーギ:「リュートのための古風な舞曲とアリア第3組曲~シチリアーナ」>:ローザンヌ室内管弦楽団(CDはこれ)
今改めて調べてみると、この曲は1931年の作曲であり、レスピーギ(1879年~1936年)は、かのリムスキー=コルサコフに学んだ作曲家であるという。年代的にはラヴェルと同年代。
実はこれを書くまで、自分は勘違いしていた。バロックの作曲家かと・・・? でも「ローマの松」などの楽風からいうと、そんなわけないよな・・
ちなみに先のLPの「解説」によると、こうある。
「・・「リュート」とは大型のマンドリンのような楽器で、13~14世紀にヨーロッパ各地に広まり、18世紀頃までのヨーロッパ音楽を形成する土台となった重要な楽器。
レスピーギはこのリュートの為に書かれた15~16世紀頃の作品を、サンタ・チェチリア音楽院の図書館で調べるのを楽しみにすると同時に、自分の気に入った作品を、彼得意の弦楽楽法のテクニックを使って、現代的なオーケストラに編曲した。その種のものの一つがここの録音されたリュートの為の(正確には“リュートの為に書かれた作品による”)三つの組曲というわけである。・・・」
なるほど。やはり原曲は15~16世紀頃の曲。だから自分の勘違いも、あながちピント外れではないな・・。
音楽を聞くと昔の情景を思い出すが、この曲で思い出すのは、学生時代のあの街・・・。まさに「振り返りのblogではある。(←自分以外は全く興味が無い話だよね・・)
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この音楽と、全く関係の無い話だが、「還暦」の話を付録に・・・。
当blogのサブタイトルを「とうとう還暦になっちゃったオジサンのエッセイ」から「とうとう還暦を“過ぎちゃった”オジサンのエッセイ」に改定しようかな、と思って、もう一度正確な「還暦」の定義を調べてみた。
すると、広辞苑では「還暦=(60年で再び生れた年の干支に還るからいう)数え年61歳の称。華甲。本卦還:ほんけがえり。」とある。同じく「数え年=生れた年を1歳とし、以後正月になると一歳を加えて数える年齢」なので、自分の還暦は、誕生日に関係なく(ここまでワープロを打ったらキーのミスタッチで“誕生日”が“退場日”と出て、ドキッとした。←益々関係ないが・・)、満60歳になった昨年の“正月から年末”までが自分の「還暦」という事になる・・・。今の今まで、勘違い・・・ ああ・・・
やはり自分は“トシ”だ・・・・・
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コメント
レスピーギの「リュートのための古風な舞曲とアリア」ですが
私が最初に演奏した合奏曲でありそのLPは私が最初に買ったものでした。1964年のことでした。
最初のものはイ・ムジチの演奏でした。
(その後多くのものを入手していますが)
最初に演奏したのは
第三組曲第二曲の
「宮廷のアリア」でした。小学校4年生でした。今でも年に一度は聞きます。
投稿: ampouie | 2008年10月11日 (土) 04:46
ampouie さん
コメントありがとうございます。
しかし自分で演奏されるとは羨ましい・・。
第三組曲は、いわゆる弦楽四重奏曲なので、少なくとも4人集まれば演奏可能ですよね。
そんなCDも探せばあるのかも?
投稿: エムズの片割れ | 2008年10月11日 (土) 13:13
当時各地の学校で
「リード合奏」が盛んで
全国コンクールもやってました。
当地の小学校の音楽クラブ
でやったもので、
私が在学中の3年間で
「宮廷のアリア」
「シチリアーナ」
「パッサカリア」
をやりました。
投稿: ampouie | 2008年10月13日 (月) 04:50
私が始めて聞いたレスピーギの曲は、第1曲のイタリアーナでした。私をクラシックファンにさせてくれた曲のひとつです。こういう曲は、心が安らいでいいですね。
投稿: かえるのうた | 2008年10月14日 (火) 09:22
この「リュートのための・・・」を聴くと、荻野昌彦(だったかな?)が登場していた頃の「FM fan」誌を思い出します。TDK提供のクラッシク番組のテーマ曲「ローマの松」と共にイタリア音楽の代表格じゃないかと思っとります。
・・・そうそう、還暦の話、参考になりました。正しく今年が私の還暦年です。
投稿: 耳鳴りオーディオマニア | 2009年7月26日 (日) 10:57
耳鳴りオーディオマニアさん
「FM fan」とは懐かしい・・。自分も創刊号からとっていました。共同通信でしたよね。レコードを買えない分、オープンリールのデッキでFMを録音していました。
投稿: エムズの片割れ | 2009年7月27日 (月) 21:56