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2008年10月21日 (火)

「省令は無用の長物」~三木谷浩史氏の主張

先日(08/10/20)の日経朝刊(P5)に「省令は無用の長物~重要事項、官僚が決めるな」というコラムがあり、“なるほど・・・”と思った。
ここで、楽天社長の三木谷浩史氏はこう主張されている。

「省令は無用の長物~重要事項、官僚が決めるな」(08/10/20「日経」朝刊より)
           楽天会長兼社長 三木谷浩史氏

――霞ヶ関の官僚自らが決定権を握るルール体系に違和感をお持ちだそうですね。
「一国の法体系の土台である法律を制定したり改正したりするには、国会の決議を経なければなりません。その審議過程は透明です。結果はその時々の主権者つまり国民の意思を映しているともいえます。しかし法律を肉付けする省令や通達などの『装置』を操作する権限を官僚が握っているのは問題です」
――どういう弊害ですか?
「記憶に新しいところでは2007年の改正建築基準法の施行があります。国土交通省が定めた審査のやり方が実務とかけ離れて厳しく、周知徹底も遅れたため、建物の建設が遅れるなどして経済成長を阻む実害が出ました。同省は後に省令を改めています」
「・・・・国交省はタクシーの需給調整を省令さえ定めずに通達でやっています。いずれも消費者への影響が大きい問題です」
・・・
「消費者が便利になる規制改革は歓迎です。その傍らで厚労省の官僚、なかでも薬剤師の資格を持つ技官が中心になり、医薬品は対面販売が原則という規制を設けようとしています。対面販売とは売り手が買い手に商品を手渡すやり方を指すのでしょうが、いまや商品名を指定して風邪薬を買う人も多い。手渡ししろというのは時代錯誤です」
「パブリックコメントを通じ意見を広く聞くと言っていますが、結論ありきのようにみえます。消費者よりも薬剤師業界の利権を守ろうとしているのでは。法律で定めるならまだしも、大切なことが国会審議を経ずに役人の胸三寸で決まるのはおかしい。与党も野党も官僚支配からの脱却を唱えています。その早道は省令というわかりにくい制度をやめることです。国民生活への影響が多大なルールづくりを官僚任せにする国会議員も、職務放棄に等しいのでは」

なるほど・・・。この事実は重い。一般国民に影響が大きい事項を、主権者(国会議員)に審議の機会を与えず、官僚が勝手に決めているという事実・・・。
しかし、主権のある国民が、それらの決定権を官僚に任せたという事実はあるのだろうか?

例として、先の「改正建築基準法」を調べてみたら、「省令で定める」という文言が何と153箇所もあった。
・・・という事は、(三木谷氏も指摘しているように)国会議員は“「省令で定める」という文言が沢山ある法律を成立させた”という「事実」により、その部分の決定権を官僚に委ねた、とも言える。
そして、国民がそれによって困っているとしたら、国会議員は市民の声を国の施策に活かすという職務を放棄した事になる。

衆議院議員選挙も近い。国会議員は、いちおう我々が選挙で国に送り込んだ「代表」という事になっている。そして、それを選ぶ基準は候補者が掲げる「公約」。しかし、当選した後に、その公約をどこまで実行したかの説明は無い。

今度の選挙で、どこかのNPOが、再出馬した候補の“前回選挙のときの公約の実行度”を○×で調べてくれたら、「この候補は、その時に言うだけで、当選したら何もしない」とか、「この候補は、言う事は少ないが、確実に実行してくれる」とかが分かって、次の投票の時に役立つと思うが、どうだろう。

どうも世の国会議員が、(建前とは別に)“我々が選んだ我々の代表”と感じないのは、自分だけではあるまい。まあ鉄壁の守りの日本の官僚なので、これらは簡単には変わらないだろうが、このコラムのような視点も大切だな・・・と思うこの頃ではある。

●メモ:カウント~21万

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