横浜YMCA山根誠之氏が紹介する「詩」の世界
先日のNHKラジオ深夜便「こころの時代」で「私の好きな詩~横浜YMCA顧問 山根誠之」(08/9/9~10放送)を聞いて、詩の素晴らしさを「知った」。「知った」という“初々しい”表現を使ったのは、実は自分は詩の世界では全くの素人なので・・・
昔、高校の頃、高村光太郎の「千恵子抄」という詩集を買ったことがある。それから島崎藤村も、それから啄木の「一握の砂」・・・・。これは詩ではないな・・
まあ正直、“自分の詩の世界”はこんな程度だ。それが、この番組で紹介してくれた色々な詩が、なかなか良いのである。 (このところ、金子みすゞなど、当blogも詩に凝っている?)
山根氏は、YMCAの世界では相当なやり手さんらしい。その山根さんが、YMCAの機関紙に、毎回好きな詩を取り上げたエッセーを書き続けていて、その世界からの詩の紹介であった。紹介された詩を幾つか文字にしてみると・・・
星野富弘さんの「風の旅」より(中学の体育の先生で、クラブ活動中に脊柱損傷で手足が動かなくなった方)
喜びが集まったよりも 悲しみが集まった方が
幸せに近いような気がする
強いものが集まったよりも 弱いものが集まった方が
真実に近いような気がする
幸せが集まったよりも 不幸せが集まった方が
愛に近いような気がする
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「あいたくて」~工藤直子
だれかに あいたくて
なにかに あいたくて
生まれてきた ――
そんな気がするのだけれど
それが だれなのか なになのか
あえるのは いつなのか ――
おつかいの とちゅうで
迷ってしまった子どもみたい
とほうに くれている
それでも 手のなかに
みえないことづけを
にぎりしめているような気がするから
それを手わたさなくちゃ
だから
あいたくて
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「命一式」 (星野富弘全詩集Ⅱ)
新しい命一式 ありがとうございます。
大切に使わしていただいておりますが
大切なあまり仕舞いこんでしまうこともあり
申し訳なく思っています。
いつもあなたが 見ていてくださるのですし
使いこめば良い味もでて来ることでしょうから
安心して思い切り 使っていきたいと思っております。
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「幸せ」~いちはらめぐみ(NHKみんなのうた)
おばあちゃん
もしかして
おとうさんは
おばあちゃんから
生まれたの
ありがとねぇ
(障害児)
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読売新聞の子供の詩から(川崎洋 選)
あのねママ
ボクどうして生まれてきたのか知ってる?
ボクね
ママに会いたくて生まれてきたんだよ
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「無題」~佐藤 智子(広島市南観音小5年)
よしこちゃんが やけどで ねていて
とまとが たべたいと いうので
お母ちゃんが かい出しに いってる間に
よしこちゃんは 死んでいた
いもばっかしたべさせて ころしちゃったねと
お母ちゃんは ないた
わたしも ないた
みんなも ないた
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「弟」~栗栖英雄(広島市舟入小学校5年)
いたといたの中に はさまっている弟、
うなっている。
弟は、僕に 水 水といった。
僕は、くずれている家の中に、
はいるのは、いやといった。
弟は、だまって そのまま死んでいった。
あの時 僕は 水をくんでやればよかった。
(この2編の原爆詩については、前に吉永小百合さんの詩の朗読を聞いたことがあった・・・)
歌について、(このblogで何度か書いたが)自分は歌のメロディーは頭に入るが、歌詞がなかなか頭に入ってこない。この原因は良く分からない。しかし、この番組で紹介されたような「短い詩」は自分の頭に入るようだ。
話は変わるが、自分が昔から聞いているクラシック音楽の世界では、いわゆる「名曲」というのがあり、誰が聞いても「良い曲」は良いのである。
しかし詩の世界ではどうだろう? 確かに詩人一人ひとりの詩集はある。しかし、詩の世界全体を通して「名詩集」というのはあるのかな? それは、人によって感性が違うので難しいかも知れない・・・。
しかし、今日の山根さんの好きな詩というのは、自分にはフィットしたようだ。山根さん選の「詩集」が出来ると面白いかも・・
まあこれを機に、少し詩の世界も覗いてみようか・・・
しかし、NHKがどんな基準で、「こころの時代」に出演する人を見付けて来るのか分からないが、良くもまあ・・と思うこの頃ではある。(一度NHKから、出演者の選定基準、人選びの苦労話を聞いてみたいもの)
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