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2008年9月13日 (土)

横浜YMCA山根誠之氏が紹介する「詩」の世界

先日のNHKラジオ深夜便「こころの時代」で「私の好きな詩~横浜YMCA顧問 山根誠之」(08/9/9~10放送)を聞いて、詩の素晴らしさを「知った」。「知った」という“初々しい”表現を使ったのは、実は自分は詩の世界では全くの素人なので・・・

昔、高校の頃、高村光太郎の「千恵子抄」という詩集を買ったことがある。それから島崎藤村も、それから啄木の「一握の砂」・・・・。これは詩ではないな・・
まあ正直、“自分の詩の世界”はこんな程度だ。それが、この番組で紹介してくれた色々な詩が、なかなか良いのである。 (このところ、金子みすゞなど、当blogも詩に凝っている?)
山根氏は、YMCAの世界では相当なやり手さんらしい。その山根さんが、YMCAの機関紙に、毎回好きな詩を取り上げたエッセーを書き続けていて、その世界からの詩の紹介であった。紹介された詩を幾つか文字にしてみると・・・

星野富弘さんの「風の旅」より(中学の体育の先生で、クラブ活動中に脊柱損傷で手足が動かなくなった方)

喜びが集まったよりも 悲しみが集まった方が
 幸せに近いような気がする
強いものが集まったよりも 弱いものが集まった方が
 真実に近いような気がする
幸せが集まったよりも 不幸せが集まった方が
 愛に近いような気がする

===============
「あいたくて」~工藤直子
 だれかに あいたくて
 なにかに あいたくて
 生まれてきた ――
 そんな気がするのだけれど

 それが だれなのか なになのか
 あえるのは いつなのか ――
 おつかいの とちゅうで
 迷ってしまった子どもみたい
 とほうに くれている

 それでも 手のなかに
 みえないことづけを
 にぎりしめているような気がするから
 それを手わたさなくちゃ
 だから

 あいたくて

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「命一式」 (星野富弘全詩集Ⅱ)
 新しい命一式 ありがとうございます。
 大切に使わしていただいておりますが
 大切なあまり仕舞いこんでしまうこともあり
 申し訳なく思っています。
 いつもあなたが 見ていてくださるのですし
 使いこめば良い味もでて来ることでしょうから
 安心して思い切り 使っていきたいと思っております。

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「幸せ」~いちはらめぐみ(NHKみんなのうた)
 おばあちゃん
 もしかして
 おとうさんは
 おばあちゃんから
 生まれたの
 ありがとねぇ
 (障害児)

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読売新聞の子供の詩から(川崎洋 選)

あのねママ
ボクどうして生まれてきたのか知ってる?
ボクね
ママに会いたくて生まれてきたんだよ

==========
「無題」~佐藤 智子(広島市南観音小5年)
 よしこちゃんが やけどで ねていて
 とまとが たべたいと いうので
 お母ちゃんが かい出しに いってる間に
 よしこちゃんは 死んでいた
 いもばっかしたべさせて ころしちゃったねと
 お母ちゃんは ないた
 わたしも ないた
 みんなも ないた

==========
「弟」~栗栖英雄(広島市舟入小学校5年)
 いたといたの中に はさまっている弟、
 うなっている。
 弟は、僕に 水 水といった。
 僕は、くずれている家の中に、
 はいるのは、いやといった。
 弟は、だまって そのまま死んでいった。
 あの時 僕は 水をくんでやればよかった。

(この2編の原爆詩については、前に吉永小百合さんの詩の朗読を聞いたことがあった・・・)

歌について、(このblogで何度か書いたが)自分は歌のメロディーは頭に入るが、歌詞がなかなか頭に入ってこない。この原因は良く分からない。しかし、この番組で紹介されたような「短い詩」は自分の頭に入るようだ。

話は変わるが、自分が昔から聞いているクラシック音楽の世界では、いわゆる「名曲」というのがあり、誰が聞いても「良い曲」は良いのである。
しかし詩の世界ではどうだろう? 確かに詩人一人ひとりの詩集はある。しかし、詩の世界全体を通して「名詩集」というのはあるのかな? それは、人によって感性が違うので難しいかも知れない・・・。
しかし、今日の山根さんの好きな詩というのは、自分にはフィットしたようだ。山根さん選の「詩集」が出来ると面白いかも・・
まあこれを機に、少し詩の世界も覗いてみようか・・・

しかし、NHKがどんな基準で、「こころの時代」に出演する人を見付けて来るのか分からないが、良くもまあ・・と思うこの頃ではある。(一度NHKから、出演者の選定基準、人選びの苦労話を聞いてみたいもの)

(関係記事)
純白なこころ・・・「金子みすゞ」の世界
「かけがえのない大切なもの」
吉永小百合が朗読する「人間をかえせ」

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