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2008年9月30日 (火)

藤山一郎が歌う「千曲川旅情のうた(小諸なる古城のほとり)」

今日はなぜか「千曲川旅情のうた(小諸なる古城のほとり)」である。
自分がこの歌を知ったのは、藤山一郎のLPを買ったとき。ピアノとチェロとフルートの簡素な伴奏で歌う藤山一郎の歌唱に、聞き入ったものだ。この日本の代表的な名歌曲は、色々な歌手が歌っているが、自分はやはり(初めて聞いた)藤山一郎のこの録音が一番好きだ。

<藤山一郎の「千曲川旅情のうた(小諸なる古城のほとり)」>


「千曲川旅情のうた」
  作詞:島崎藤村
  作曲:弘田龍太郎
  歌  :藤山一郎

小諸なる古城のほとり
雲白く遊子(ゆうし)悲しむ
緑なすはこべは萌えず
若草も籍(し)くによしなし
しろがねの衾(ふすま)の岡辺(おかべ)
日に溶けて淡雪流る

あたゝかき光はあれど
野に満つる香(かおり)も知らず
浅くのみ春は霞みて
麦の色わずかに青し
旅人の群はいくつか
畠中の道を急ぎぬ

暮行けば浅間も見えず
歌哀し佐久の草笛(歌哀し)
千曲川いざよう波の
岸近き宿にのぼりつ
濁(にご)り酒濁れる飲みて
草枕しばし慰む

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弘田龍太郎の作曲になるこの歌曲は、題が二つあるようだ。「小諸なる古城のほとり」と「千曲川旅情の歌」。JASRACのデータベースにも両方載っている。ただし、藤山一郎の歌は「小諸なる古城のほとり」で登録されている。
Netで調べてみると、初めて出た島崎藤村の詩集「落梅集」(明治34年)には、「小諸なる古城のほとり」と「千曲川旅情の歌」は別々の詩であり、それを後に、藤村自身が自選藤村詩抄で「千曲川旅情の歌 一、二」と改題したもの。このために二つの題があるらしい。

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藤村は27歳の時(明治32年)に、信州小諸義塾の創立者木村熊二の招きで、国語と英語の教師として赴任してきたが、塾の経営は苦しく、給料は減額されたが、土地の豪農神津家の援助のもとで詩集や小説「破戒」などを書き続けたという。
Chikumagawa この詩もその頃作られたという。その後、藤村自身が軽井沢の星野温泉に投宿していた弘田龍太郎(1892-1952)を訪ね、直接作曲を依頼したという。そしてこの歌曲は大正14年8月31日に作曲されたという。信州小諸の懐古園に歌碑がある。

Kaikoen 思い出すと、小諸の懐古園には今までに2回行った事がある。学生の時と、10年位前に家族で行った。メモを見ると、1999年11月27日とある。中央道須玉インターで降りて、清里から小諸に行き、軽井沢の会社の保養所で泊まったっけ。

話は変わるが、クラシックの世界には、同じ曲を演奏しても、歴史に残る「名演奏」というものが残っている。フルトヴェングラー/ベルリン・フィルの「運命」の1947年5月27日の歴史的ライブ録音(これ)などは、これに該当するだろう。
藤山一郎のこの歌唱もそれと同じ・・と言ったら、言い過ぎだろうか??

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コメント

随分久しぶりにこの歌を聞かせていただきました。有り難うございます。藤村のこの詩にはいろいろな人が曲をつけています。私が聞いた事があるのは、このほかには岡本敦郎が作曲して歌っているものだけですが、これもなかなかいいと思います。

投稿: かえるのうた | 2008年10月 1日 (水) 17:24

かえるのうた さん

そうですか。自分はこれしか聞いたことがありません。そのうち取材してみます。

投稿: エムズの片割れ | 2008年10月 1日 (水) 22:59

50年も前の高校1年時に、現代文の授業で鑑賞したことを今懐かしく思い出しています。アララギの歌人でもあった教科担当の先生の詩歌の鑑賞の仕方を通じて、日本人としての自然と人間社会に対する心の持ち様の大切さを学びました。藤山一郎氏の正確な歌唱力によってこそ、日本歌曲の真髄が伝承可能であるのだと思います。2011.2.26.

【エムズの片割れより】
コメントありがとうございます。
この記事にもあるように、小諸の懐古園で歌碑をながめながら、この詩を口ずさむのもなかなか良いものです。

投稿: エントロピー | 2011年2月26日 (土) 12:13

長野県佐久を故郷とする者です。50~60年前木造校舎での小中学生時代、この「小諸なる古城のほとり」は、お昼の時間になると毎日各教室のスピーカーから流されておりました。。お名前は忘れましたが、湯川??さんという女性の方が歌っておられたように記憶しております。故郷を遠く離れ年月は流れても、その当時アルミのお弁当を広げて食事をしながら、何時しか全校生徒が諳んじて、県歌「信濃の國」と共に、忘れ得ぬ曲となっております。

【エムズの片割れより】
佐久が故郷とは、何と羨ましい・・・
「詩情」という言葉がピッタリの信州ですね。

投稿: 侘助 | 2011年2月27日 (日) 16:00

Piano伴奏付きの楽譜をさがしています。

投稿: H.Nakajima | 2012年10月26日 (金) 17:45

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