交響曲の「世界遺産ディスク」~「レコード芸術」誌から
「レコード芸術」の今月号(2008年8月号)の特集は「世界遺産ディスク」。これはなかなか面白い企画である。曰く・・・
「レコード芸術選定 世界遺産ディスク 歴史に刻まれた記念碑的名盤」
「『世界遺産ディスク』とは、“顕著な普遍的価値を有する録音物”。本誌では独自の選定基準を設定し、交響曲、管弦楽曲、協奏曲、室内楽曲、器楽曲・・・・の各ジャンルごとに“世界遺産”と呼ぶにふさわしいディスクを選定しました。ここに登場する録音の数々は、深く記憶に刻まれ、永く聴き続けられるべき、クラシック音楽の記念碑というべきものばかり。・・・これらのディスクの不変の価値はいつまでも輝き続けることでしょう。」
ちなみに一番分かりやすい「交響曲」では、下記の盤が選定されていた。
「交響曲」~諸石幸生氏選
①ベートーヴェン:交響曲第9番「合唱」
フルトヴェングラー指揮 バイロイト祝祭O.(1951)
②ベートーヴェン:交響曲第6番「田園」
ワルター指揮 コロンビアso.(1958)
③ベートーヴェン:交響曲第3番「英雄」
トスカニーニ指揮 NBCso.(1953)
④マーラー:交響曲第9番
バーンスタイン指揮 ベルリンpo.(1979)
⑤モーツアルト:交響曲第39~41番
ベーム指揮 ベルリンpo.(1961~66)
⑥チャイコフスキー:交響曲第6番「悲愴」
ムラヴィンスキー:レニングラードpo.(1960)
⑦ブラームス:交響曲全集
カラヤン指揮 ベルリンpo.(1977,78)
<他に候補になったディスク>
(1)ベルリオーズ:幻想交響曲
シャルル・ミュンシュ指揮 パリo(1967年10月)
(2)サン=サーンス:交響曲第3番「オルガン付き」
シャルル・ミュンシュ指揮 ボストンso.(1959年4月)
(3)シューマン/交響曲全集(第1番~第4番)
ジョージ・セル指揮 クリーブランドo.(1958年10月~60年10月)
(4)ブラームス/交響曲全集
ジョージ・セル指揮 クリーブランドo.(1964年10月~67年10月)
(5)ドヴォルザーク:交響曲第9番「新世界より」
フリッツ・ライナー指揮 シカゴ交響楽団(1957年11月)
(6)ブラームス/交響曲全集
カルロ・マリア・ジュリーニ指揮 ウィーンpo.(1989年5月~91年4月)
(7)マーラー:交響曲第5番
ゲオルグ・ショルティ指揮 シカゴ交響楽団(1970年3月)
(8)ブラームス:交響曲第4番
カルロス・クライバー指揮 ウィーンpo.(1980年4月)
(9)シューマン:交響曲第2番
ジュゼッペ・シノポーリ指揮 ウィーンpo.(1983年6月)
選定の方法は、当然、人によって評価が違うため、各ジャンル毎に別の人があたっていた。交響曲は諸石幸生氏である。
①のフルトヴェングラーの第九は当然として、1947年5月の「運命」が挙がっていないのが不思議だったが「1巨匠1点」という枠を設けて選定したというので、仕方がない・・・
この候補の16枚を作曲家別に数えると、ブラームス:4、ベートーヴェン:3、マーラー:2、シューマン:2だ。ブラームスがベートーヴェンを越えた・・・。
しかし、つくづく“音楽は人の好み”だと思った。これらの交響曲はたぶん誰もが納得するような気がするが、例えば協奏曲では、(ここ)に書いたように、メンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲は、自分はサラ・チャンが好き。でもこの「世界遺産ディスク」では、ハイフェッツが5位に入っていた。
それにオペラでは、英デッカのジョン・カルショーのプロデュースによるショルティ/ウィーン・フィルの「ニーベルンクの指環」は当然入っていると思っていたが、入っていない。(参考ここ)
まあ、「レコード芸術」誌に載ったからといって、ユネスコに登録される訳でもないので、あまり気にすることは無いか・・・・。
でも学生時代に、なけなしの小遣いで買った盤が「歴史的名盤」と聞くと、今でも嬉しいものである。
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