伊藤久男の「山のけむり」~懐かしのメロディーの色々
今日は「懐かしのメロディー」の話・・・・
自分が伊藤久男や藤山一郎といった「戦後歌手」の大御所たちを知ったのは、中学生の頃(昭和30年代後半)だっただろうか。そのとき既に、彼らは「懐かしのメロディー」だった。(死んだ親父は、東海林太郎の大ファンだった。「とうかいりんたろう」と読んだら、バカと言われた・・・←これ蛇足)
伊藤久男の歌は、「イオマンテの夜」「オロチョンの火祭り」等に代表されるダイナミックな男らしい歌と、この「山のけむり」や「あざみの歌」に代表される叙情歌に分けられる。
自分はどちらも大好きだが、その中でもこの「山のけむり」は、自分が最初に伊藤久男と出合った曲のひとつだ。ステレオの新録音ももちろんあるが、今日は昭和27年(1952年)発売のオリジナルの音源で聞いてみよう。56年前の録音である。
<伊藤久男の「山のけむり」>~昭和27年(1952年)8月発売
「山のけむり」
作詞:大倉芳郎
作曲:八洲秀章
歌 :伊藤久男1)山の煙の ほのぼのと
たゆとう森よ あの道よ
幾年消えて 流れ行く
想い出の ああ 夢の一筋
遠く静かに 揺れている2)谷の真清水 汲み合うて
ほほえみ交わし 摘んだ花
山鳩の声 聞きながら
行きずりの ああ 君とともに
下りた峠の はろけさよ3)山の煙の たそがれに
別れた人の うしろ影
あと振り返り 手を振れば
薄れ行く ああ 淡い夕日が
染めた茜の なつかしく
この歌はNHKラジオ歌謡。このラジオ歌謡には良い歌がたくさんある。Netでラジオ歌謡について調べてみたら、“ラジオ歌謡は、家族みんなで歌えるホームソングという戦前の「國民歌謠」と同じコンセプトのもと、昭和21年5月から37年3月まで、毎週5日各10分、16年間放送された”・・とか。
しかし、Netで「NHKラジオ歌謡」と検索をかけてもヒットする数が少ない。しかし、何と「ラジオ歌謡研究会(ここ)」なるものがあるではないか。そこを見てビックリ。ラジオ歌謡が、845曲(ここ)もある・・・・
つまり、軽々しく「ラジオ歌謡には良い歌が多い・・・」なんて言ってはいけないのである。自分が知っているのは、本当にひとカケラの範囲だけ・・・・
でも良い歌は色々とあるので、このサイトでも今後何曲かは取り上げてみたい。(既に「さざんかの歌」は取り上げた)
そうだ、もしかするとNHKラジオ深夜便に、〔深夜便アーカイブス〕というコマがあるので、そこで昔の「ラジオ歌謡」の録音が放送されるかもね・・・? 先日放送されていた中西龍アナの「にっぽんのメロディー」は昔聞いた記憶があるが「ラジオ歌謡」は聞いた記憶がない。でも例え放送されたとしても、「ラジオ歌謡研究会」の記録からすると、殆どは聞いたことが無い曲ばかり・・・。
どの世界も深く、広い・・・(そして、自分の知っているのは、ほんの表面だけ・・・)
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コメント
貴重な音源、懐かしく拝聴しました~・・・♪
27年8月発売とは、正しく私が、この世に産声を上げた頃なんですね~・・・(音楽好きの母の胎教だったかも?)
四半世紀前に既に、このような立派な録音がなされてたんですねェ~!
先日、たまたま吟詠教室でのカラオケ・タイムでは、「あざみの歌」「水色のワルツ」「リンゴ追分」・・・懐メロのオンパレードでした~♪
どの曲も、老人ホームでのオカリナ演奏人気ナンバーですが、青い山脈・高原列車は行く・等など・・・昭和20年代の懐メロは、私も大好きです。
投稿: 花舞 | 2008年6月11日 (水) 14:01
また、懐かしい歌を 披露してくださいました。
わたしも子供の頃に、”ラジオ歌謡”の番組を聞いていました。詳しくは忘れましたが。
伊藤久男のいかつい顔とは裏腹のバリトンの朗々した声は。
それに八州秀章の美しいメロディはいつまでも伝えたい歌です。また、もっと発掘期待します。
投稿: 兼太郎 | 2008年6月11日 (水) 16:05
花舞さん、兼太郎さん
あまり好評だと、本サイトが「懐かしのメロディー」オンパレードになりそう・・・
音源は山のようにありますから・・・(何せ子供の頃から集めていたので・・・)
またアップしますね。
投稿: エムズの片割れ | 2008年6月11日 (水) 20:51
同じ世代だからなのでしょうが、好みの曲が驚くほど一緒で、感激してしまいます。
この「山の煙」も、そう!
ラジオ歌謡はホント、良い曲が多かったですね。
「潮風の吹く町」や「苦しき夢」はレコードは持っているのに、押し入れの奥にしまい込んだままで、聴けずにいたのですが、こちらで懐かしく拝聴させて頂きました。
せつない「池上線」も好きな曲です。
これからも遊びに来させてくださいね!
投稿: 雫 | 2008年6月11日 (水) 21:21
雫 さん
懐かしのメロディーで「長崎の鐘」なんてどうでしょう・・・
投稿: エムズの片割れ | 2008年6月12日 (木) 23:10
最近エムズの片割れさんのページを見つけ、楽しく読ませていただいています。さて「山のけむり」ですが、2番の歌詞も入っているレコードもありますね。「あざみの歌」もいい歌ですが、なかなか2番の入ったのが入手できません。チャンスがありましたら聞かせてください。
それから、三浦洸一の「桜の園」と「純愛」、どちらも大好きでよく憶えていますが、聞く機会が無いので残念に思っています。
投稿: かえるのうた | 2008年7月 1日 (火) 19:01
かえるのうた さん
コメントありがとうございます。
2番は確かに聞いた事がありますが、音源は持っていません。どこにあるかな・・??
三浦洸一の「桜の園」「純愛」「「野菊のふるさと」は“ファン暦50年さん”に頂いてアップしたのですが、皆さん良くご存知なようですね。自分は全く知らなかったが・・。
投稿: エムズの片割れ | 2008年7月 1日 (火) 22:07
伊藤久男を最初に聴いたのは私が5歳の頃。
曲は「高原の旅愁」(昭和15年)です。ハイテンポの爽やかな曲で歌詞の意味はよく分からなかったけど好きな曲でした。
この曲、「山のけむり」同様、山を舞台に別れた女の追憶歌で、作曲の鈴木義章は八洲秀章と同人。作詞は違うけど、作曲は同じ人です。
貴姉貴兄はどちらかいいと思われますか?
私は、どちらか選べといわれたら、「高原の旅愁」ですが。
投稿: assi | 2009年6月14日 (日) 20:35
「山のけむり」です。
「山のけむり」は詩曲とも抒情歌、「高原の旅愁」は詩曲とも流行歌といえば言いすぎでしょうか。
投稿: 周坊 | 2009年6月15日 (月) 22:57
assiさん
「高原の旅愁」よりも、断然「山のけむり」が好きです。自分が伊藤久男を聞いた最初の曲ですし・・・。
投稿: エムズの片割れ | 2009年6月16日 (火) 21:14
ジェネレーションギャップを感じますね。
私は昭和13年ですから。
餓鬼の頃から「暁に祈る」や「熱砂の誓い」など聴いて育った口です。
この頃は、何になるか?と訊かれたら、「大将になる!」と応えたものです。餓鬼のくせに。
しかし、猛々しいばかりではなかったのですよ。まだ、大正モダニズムの残り香が漂い、昭和モダニズムともいえるインテリジェンスなムードもありました。
例えば、「花言葉の唄」(松平晃)、「懐かしき歌声」(藤山一郎)、「鈴懸の径」(灰田勝彦)、「別れのブルース」(淡谷のり子)などなど素晴らしい流行歌文化があったのです。
もう歳ですから懐かしいですよ。
古い蓄音器から流れるチャンソンを聴くペペル・モコの心境です。
投稿: assi | 2009年6月16日 (火) 22:07