クラフトとさだまさしの「僕にまかせてください」
先日BSのTVを見ていたら、団塊の世代向けだろうか、70年代フォークのCDのCMをやっていた。その通販のCMの中で、クラフトの「僕にまかせてください」という歌が流れ、カミさんが「この歌が好きだった」というので、フト取り上げてみる。
歌詞をあまり気にしない自分としても、この歌の歌詞は好きだ。先ず聞いてみよう。クラフトのオリジナル盤である。
<クラフト「僕にまかせてください」>
「僕にまかせてください」
作詞/作曲:さだまさし
歌 :クラフト
きみはその手に花をかかえて
急な坂道をのぼる
僕の手には 小さな水おけ
きみのあとにつづく
きみのかあさんが眠っている
ささやかな石のまわり
草をつみながら振り返ると
泣き虫のきみがいた
両手をあわせたかたわらで
揺れてるれんげ草
あなたの大事な人を僕に
まかせてください
きみがとても大切にしてた
藤色のお手玉
あれは昔きみのかあさんが
作ってくれたもの
そして僕が大切にしてる
日だまりのような人
それもそっと きみのかあさんが
残してくれたもの
集めた落ち葉に火をつけて
きみはぽつりとありがとう
彼岸過ぎたら 僕の部屋も
あたたかくなる
この歌詞には物語がある。スジがある。だからこの歌詞は、ひと言も省略できない。TV広告では「クラフトとさだまさしとの友情で出来た曲・・」なんて紹介されていたが、Netで見たら、この歌は1975年(昭和50年)4月~9月に日本テレビ系で放送された土曜ドラマ「ほおずきの唄」(出演:中村翫右衛門、近藤正臣、島田陽子ほか)の主題歌としてクラフトが歌ったものだという。
民放のドラマをほとんど見ない自分は、このドラマがどんなものかは全く知らない。でも「主題歌」なので、たぶんドラマのストーリーはこの歌と同じかも・・・・?
なお、「さだまさしさんによれば、この曲は、はじめは「彼岸過迄」という曲名になる予定だったそうです。」(引用はここ)という記事もある。
話は戻るが、この歌詞を聞きながら、目をつむって描かれている景色を想像すると、何か心が暖かくなる。
でも、今の女性上位の世の中で「僕にまかせてください」というセリフが本当に存在するのかどうか・・・。
先日漱石の小説(「こころ」)を読んだこともあり、まさに「彼岸過迄」という明治のドラマの中の出来事のような気もする。この歌詞のような姿は、“現代では有り得ない・・・”と感じるのは、単に自分だけの偏見だろうか?
・・・とここまで書いて、さだまさしの歌う「僕にまかせてください」を改めて聞いてみた。やはり作者の歌は良い・・・。クラフトのオリジナルは尊重したいが、なぜか扁平で心がこもっていないように聞こえる。それに引き換え、さだまさしの歌は、しみじみと暖かみがあって好きだな~。作者の歌も聞いてみるか・・・。
<さだまさし「僕にまかせてください」>
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コメント
「僕にまかせてください」良い曲ですね。
ずっと好きな歌だったので久しぶりに聴けて嬉しいです。
最近の歌は、歌詞にストーリーのある曲少なくなりましたね。
日本語の音を無視した作曲もあり、
歌詞さえも耳に聴き取り難い歌が多いように思います。
クラフトの歌声はサラッとしていてドラマの主題歌としては、
それなりに耳障りが良かったんですが、
こうして作者の歌を聴いてみると・・・
別の歌に思えるほど味わいが違いますね。
深くてあたたかい!
投稿: 桐壺 | 2008年6月23日 (月) 23:18
久しぶりにきれいな音で聴かせていただきました。
クラフトとさだまさしではエンディングが違ったんですね。
なにげにカラオケでも歌っていました。
二人のテンポが違うことがおおきなところですが、単調なクラフトと、情感深いさだとで聴く側も気持ちが違ってきます。昔聴いていたころとはまた違った思いがそれぞれに出ています。
投稿: 優羅 | 2010年4月22日 (木) 14:39
優羅さん
コメントありがとうございます。
それと、天才さだまさしも、時代と共に歌い方が変わってきていますね。自分は昔の歌い方の方が好きです。トシと共にシンプルさが失われてきたようで・・・
投稿: エムズの片割れ | 2010年4月24日 (土) 23:16
僕はクラフトの方が好きです。自分が歌うより、クラフトの声質に合うと思って、提供したのではないでしょうか。最後の歌詞はさださんの方が優れています。何しろ曲名になっているフレーズですからね。伴奏はマンドリンのクラフト版の方が圧倒的に曲にあっています。
【エムズの片割れより】
自分もクラフトの演奏は好きですが・・・。まあ比べる必要もありませんね。それぞれ、それなりに味があるので・・・。
投稿: びんちゃん | 2010年12月21日 (火) 17:47
この曲が好きで探してたらこのWebを見つけ感動。私が中学の頃の作品です。この曲を聴きながら当時、この歌詞のような女性と出会いたいと思ってました。今のこの世の中、僕に任せてくださいと本気で言える男はいるのでしょうか? 男尊女卑ではないのですが、僕の世代は、男は女を守るものだと思っていたし、今も思っています(笑)この柔らかなメローデイも落ち着きがあり、ここに”和”を感じます。いまようやくこのような歌詞に出てくる女性に出会いました。今度、彼女のお母さんが眠っているお墓にいっしょの行きたいと思います。
【エムズの片割れより】
何ともさわやかな話をありがとうございます。
理想の彼女に出逢えて良かったですね。ぜひいつまでも仲良く・・・・。祈っています。
投稿: ドルフィン | 2011年9月10日 (土) 14:02
さだまさしの歌は”しみじみと味わい深く”「あなたの大事な人を幸せにしてみせます。どうぞ安心して僕にまかせて下さい」…肩肘張らないしみじみとした歌い方の中に、”何があろうときみを守る”静かな強さを感じます。
クラフトの歌は”小川が流れるように、淡々と”「あなたの大事な人と一緒に幸せになります。どうぞ見守って下さい」…二人で、流れに抗わず、同じ方向を向いて”しなやかに”歩いてゆく、そんな情景が目に浮かびます。
エンディングの違いからも、さだまさしが、ことさらに彼が理想とする一人の男を演じているように、クラフトからは慎ましやかに肩を寄せ合う、ほのぼのとした一組の男女の有りようを想像します。
さだまさしは自身が歌うことで、曲の持つ多様性(さだワールドの深さ、広さ)を知らしめたかったのでは・・・?
彼がこの曲を作ったとき、どのように歌ったのだろうか・・・?
翻って、母の墓前で手を合わせる娘の心のうちはどんなだろう。
わたしがとても大切にしてる
藤色のお手玉
それは昔私のかあさんが
作ってくれたもの
わたしのそばで手を合わせてる
こころを決めた人
わたしのいちばん大切な人
これからともに歩む人
集めた落ち葉に火をつけて
微笑みかけるあなた
彼岸過ぎたらふたりの部屋も
あたたかくなる
私はクラフトに共感しています。
【エムズの片割れより】
実に感性豊かなコメントをありがとうございます。自分もクラフトのさらっとした歌が好きです。
投稿: みのる | 2014年9月 5日 (金) 06:54
この曲を捜していたらエムズさんのwebにたどり着きました。 いつ聞いても素晴らしい曲ですね。 目を閉じて聞いていると、昔の事が思い出されます。 遊びで付き合っていた彼女が妊娠したのを知り、彼女を連れて私の両親に結婚したい旨を伝えた所、猛反対にあいました。 彼女が農家の出身で作法も知らない女だと言われました。私が将来苦労するから・・・・等々。 それを聞きながら、黙って下を向いていた彼女の目から涙が溢れて床に落ちました。 それを見て彼女がとても不憫に思えた。直ぐに彼女を連れて家を出ると、先祖の墓がある名古屋の平和公園へと車を飛ばしました。 そこには私の大好きだった祖母が眠っている。 井戸で水桶に水を満たすと、小高い丘の上にある墓前に手を合わせ祖母に私達の婚約を報告しました。 彼女の手を取り丘を下って車に乗り込む時、近くに真っ赤な彼岸花が咲いていたのを思い出します。 その彼女が今の家内ですが、昔の純情だった頃の面影はまるで有りません。それもその筈、家内は ”かかあ殿下と空っ風” の群馬出身ですから。皆さんも群馬出身の女性には注意しましょう。((笑)
私も昔のさだまさしが好きです。グレープ時代のさだまさしが好きです。 所で、エムズさんの博識には驚かされます。どうしたらそんなに博識になれるかご教授頂きたいものです。
【エムズの片割れより】
いやはや、さだまさし以上の“ドラマ”で、感服!!当方は、単なる見合い結婚なので・・・
夕食の前に、カミさんに「“博識”なんて言われちゃた! そしてどうしたら博識になれるか?だって~!」と言うと、「それは博識な妻を貰うこと!」だってさ~~~
絶句!!して、息が止まりました。
投稿: borokuso | 2017年11月 8日 (水) 14:55
エムズさんのHPにしあわせを感じています。
いつも音楽と話しを楽しみにいます。
わたしは71才でエムズさんと同じ時を過ごしました。 読んでいて同感の時が良く有ります。
このさだまさしは天才ですね。
さてエムズさんに取り上げて欲しい曲が有ります。 安達明 女学生 です。
【エムズの片割れより】
ありがとうございます。
投稿: ひでお | 2019年7月28日 (日) 23:00