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2008年6月18日 (水)

ネット時代の著作権法改定に期待

今朝(08/6/18)の日経朝刊に「著作権制限 年度内に結論~映像などネット流通促進で」という記事があった(P5)。この記事によると「知的財産推進計画2008」の骨子の一つとして「デジタル・ネット時代に対応した著作権の見直し」が盛り込まれるという。
曰く・・

「著作権制限、年度内に結論 政府知財計画」~日経(08/6/18)(ここ)から引用
 政府の知的財産戦略本部(本部長・福田康夫首相)が18日に決定する「知的財産推進計画2008」の概要が明らかになった。教育や研究など公正な理由があれば無許可で著作物を利用できるよう著作権を制限する「フェアユース(公正利用)規定」の導入検討など、著作権法の見直しについて2008年度中に結論を出す方針を明記した。インターネット上の海賊版対策も強化する。日本のコンテンツ産業の競争力強化を促す狙いがある。

 日本の著作権法にはフェアユース規定がなく、個人が私的に使う場合を除いて利用のたびに権利者の許諾を得る必要がある。著作物の二次利用のコストが大きく、映像の流通などコンテンツ市場の発展の妨げになる懸念が出ている。・・・[2008/6/18/日経朝刊]」

そう言えば、先日(08/5/27)の朝日新聞の朝刊トップにも、「著作物利用拡大へ道 知的本部 新規定を検討」という記事が載っていた。曰く・・・

「著作物利用拡大へ法改正 ネット配信向け政府方針」~朝日新聞(08/5/27)(ここ)から引用
 政府の知的財産戦略本部(本部長・福田首相)は著作権法を改正し、他人の著作物を利用しやすくするために新規定の創設を検討する方針を固めた。グーグルに対抗した次世代のネット検索エンジンの開発など、ベンチャー企業が新規事業を起こしやすくするのが狙いだ。
 具体的には米国の著作権法にある「批評、解説、報道、研究などを目的とする、著作物のフェアユース(公正な利用)は著作権の侵害とならない」という規定の日本版創設を検討する。米国ではこの規定によって、ネット検索エンジンの開発などがしやすくなったとされる。
・・・・・・・
 創設が検討されているのはこうした個別規定と別に、公正な利用をその形態にかかわらず広く認める規定だ。
 米国の著作権法では「公正な利用」かどうかの判断は、利用の目的が商業性を持つか、利用することで著作物の市場に影響があるかなどが考慮されている。日本版でも「著作権者の利益を不当に害さない」といった条件を付け、ユーザー側はその条件のもとで利用が許されることになりそうだ。
 公正利用規定が導入されると、一般ユーザーには、どんなメリットがあるか。遊園地でアニメキャラクターと一緒に撮った記念写真のブログ掲載や、他人の作品を利用したパロディーは、こうした利用を許す個別規定が現行法には無いため、著作権法に触れる恐れがある。しかし、公正利用規定があれば、合法となる可能性もある。
 また現在は、ウェブサイトの情報を複製・蓄積する「ウェブ・アーカイブ・サービス」も違法の恐れがある。新規定ができれば、企業はその適用を見込んで事業を始めることができるようになる。
 同本部は6月、「知的財産推進計画2008」に検討の方針を盛り込み、知財制度専門調査会(中山信弘会長)などでの審議を経て、09年以降の著作権法改正をめざす。(赤田康和)」

この記事で面白いのは「・・・著作権法に触れる“恐れ”がある」「・・・合法となる“可能性”もある」といった表現。つまり日本には、Netに絡んだ案件には、「違法」「合法」といった明確な基準が無いようだ。つまりこれは、日本の法制度が時代遅れだということ。
今回それが前進するのは良いことだが、「ダビング10」のように、停滞することだけは避けないと、日本が益々“世界に”、そして“時代に”取り残されてしまう。

しかし、何とも著作権の問題は難しい。
自分としては、この様な利権が絡む問題は、なかなか歩み寄りが難しいので、「多少の金は払っても良いので、もう少し自由を!」と思うのだが、日本にはその仕組みが無い。
日本音楽著作権協会(JASRAC)は、個人でも年に1万円を払えば、ある条件のもとでNetでも利用できるが、著作隣接権を持つレコード会社等では、「個人との契約の前例はない」とバッサリ・・・。これでは、(blogの扱い等)個人ベースで遵法したくても、手も足も出ない。

今回“教育や研究など公正な理由があれば無許可で著作物を利用できるよう著作権を制限する「フェアユース(公正利用)規定」の導入検討”が実現すれば、Netの世界で、随分と自由度が増すので、この動きに期待したいものだ。

(関連記事)
著作権の70年延長は疑問だ

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