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2008年6月13日 (金)

サンゴ礁の世界・・・東大 茅根創氏の話

NHKラジオ深夜便「ないとエッセー・アンコール「サンゴ礁は海の命の宝庫」東京大学大学院教授 茅根創(H20.3.17-20の再放送)」(08/6/3放送)を聞いた。
この話は、今まで聞いたことが無いほど、実に整理された展開の話し方で、人に話をするときは“こうあらねば・・・”と思った。
この理路整然とした話で、サンゴについて、「今まで漠然としていて、不思議に思っていたこと・・」が、目から鱗で良く理解出来た。話されていた事について、記憶を辿ってみると・・

「サンゴ礁はクラゲやイソギンチャクと同じ仲間の動物。茶碗を伏せて回りに紐を幾つもぶら下げたのがクラゲで、元に戻したのがイソギンチャク。それがたくさん集まったのがサンゴ。元は一匹だったのが、たくさん分裂して大きく群生したのがサンゴ礁。サンゴは白い骨格を持っており、1ミリの1/100位の植物を体の中に住まわせている。サンゴの様々な色は、その植物の色。だから動物の他に、骨格という鉱物と、共生植物という性質を併せ持っている。なぜ植物と共生しているかと言うと、サンゴは植物が光合成で出す有機物を栄養として取り入れている。サンゴは死ぬと骨格は残るので段々大きくなる。生きているサンゴは表面だけ。白い砂浜は、半分はサンゴ。サンゴは、自分で浅瀬を作って太陽光を受け易いようにしている。
サンゴ礁は、美しいたくさんの動生物に住みかを与えている。サンゴ礁には多くの利点がある。一つは外洋の波から島を守る役目。大きな波も、サンゴ礁が防波堤になって島まで来ない。津波が来ても、被害が少なくなる。二つ目が水産資源の宝庫。三番目が観光資源。サンゴは年に1回産卵をする。たくさん放出される一つのカプセルの中に、卵子と精子を持っており、それが破裂して他の卵子・精子と出会う。しかしその確率は非常に小さい。
それを、最近はサンゴ礁を破壊している。人が多くなって埋め立てたり、港を作るために浚渫したり・・・。それ以外の直接的な被害としては、東南アジアでのダイナマイトでの漁業や、青酸カリを流しての漁業をしている。
それに、人口増加で栄養分が海に流れ、サンゴ礁が大腸菌に汚染されて病気になったり・・。サンゴ礁は栄養の無い海でしか生きられない。栄養があると藻が繁殖してサンゴ礁を覆ってしまう。
昨年夏に石垣島のサンゴ礁が白化した。サンゴ礁の色は共生草の色だが、ストレスで共生草がサンゴから抜け出したため、白いサンゴの色が透けて見えるので白くなる。そうするとサンゴが死んでしまう。ストレスは高海水温もある。28~29℃から30℃を越えると、サンゴは共生草を放り出してしまう。サンゴは海のカナリアである。つまり地球環境の変化を、最も敏感に感じ取る。それをまず色の白化で警告する。
サンゴの再生の研究も進んでいる。サンゴを一本一本植える技術は確立した。しかし、一体となった木を植える技術、つまり森林の造林の技術はこれから。
オーストラリアのグレートバリアリーフでは、30年前は海底の半分くらいをサンゴが覆っていたが、今は20%位になってしまった。このサンゴ礁の破壊の危機は、海の底の話なのでの皆の目に触れない。だからぜひ美しいサンゴとその破壊の状況を見に行って欲しい。・・・」

グレートバリアリーフといえば、4年前にオーストラリアに行ったとき、帰りの飛行機から見た、その息を飲む美しさにビックリしたものだ・・・・。まさにこれが、サンゴが作った美しさだったのだ・・・(下は、2004/8/11のその時撮った写真)

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話が変わるが、先週(2008/6/6)、NHK総合で「僕の島/彼女のサンゴ」というドラマを放送していた。たまたま最後の数分を見ただけだったが、そのドラマで、死んで白化したサンゴ礁と、それを再生させるために「サンゴを植える」という場面を見た。その記憶が残っていたためか、この茅根創氏の話は、スッと体に入ってきた。
地球温暖化とか自然破壊とか言うが、世界のサンゴ礁の破壊状況は目を覆うばかりらしい。

さて、それに対して自分が今出来ることは何か・・?(先ずはゴミの分別でも真面目にやろうか・・・? 「隗より始めよ」という諺もあるので・・)

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