伊達公子の現役復帰と北京五輪水着の理不尽
今日(08/5/4)のスポーツニュースは、テニス伊達公子の現役復帰の「カンガルー杯国際女子オープン(岐阜市)」で、シングルス準優勝、ダブルスで優勝という快挙に大騒ぎ・・・・。
26歳で現役を引退し、37歳で11年半ぶりの現役復帰。スポーツ選手としてはまったく考えられない復帰である。そして、この結果・・・。ニュースによると、(元コーチの話では)伊達の強さの秘訣は体のバランスの良さだという。それに引退後、フルマラソンへの参加や子供にテニスを教えるなどで、体を動かすと同時に精神的にも成長し、強くなったという。
そして復帰を決意してからの毎日の日課は、AMに15Kmのランニング、PMはテニスの実戦・・・。この優勝は偶然ではない・・・・。
この“個人の努力の快挙”という話題に引き換え、先に報じられていた“水着を自由に選ばせて”という話題は、その理不尽さに目を覆いたくなる・・・。
先日の朝日新聞(08/5/2 P16)のコラム「自由自在」にこうある。
「『水着を自由に選ばせて』『水着を改良して』 北京五輪で5個のメダルを目指す競泳の日本代表から、そんな要望が強く出ている。4月下旬の代表合宿で選手たちが世界新を連発する英スピード社製水着を試し、『体が浮く』『今までの水着と違う』と感じたという。だが日本水連はアシックス、デサント、ミズノの3社と契約しているため、現時点では『スピード社製を着ることはできない』との立場だ。・・・・
・・・体を締め付けて体積を小さくするため、水の抵抗も抑えられるという。飛び込んで15メートルまでまっすぐ伸びるだけでも、タイムを1秒近く縮める選手がいた。・・・・・
あるコーチは言う。『決勝に進んで、ほかの7人がスピード社製だったら、どうなるか』。水泳人生をかけた五輪のスタート台で、絶望感を感じるだろう。・・・・・」
なんとも、この議論は絶望的だ。世界中の選手が同じ土俵に乗ってこそ、真の勝負。それを、日本水連の商業ベースでの契約から、既に日本選手が世界水準から出遅れる・・・。
確かに水連としてはスポンサーは必要なのだろう。しかし、それは差の出ない水着が前提。
日本水連は、日本選手の好成績を目指す組織であろう。それがメーカとの契約で、他国の選手よりも成績が悪くなるのが分かっている水着を着ろと、命令する。
一方、日本の水着メーカは、他社製より自社製が劣っている事が分かっていながら、日本代表選手に契約を根拠に自社製を着させて、竹やり戦法で討ち死にする・・・・・。これをどう考えているのだろう。水連はその“討ち死”に対して、どう責任を取るのだろう。
オリンピックは、結果は全て個人の成績である。北島戦団にしても然り。その黒子であるべきバックアップ部隊が、その足を引っ張るこの構図・・・。何とも涙が出る。
まだ時間がある。このコラムの結語「五輪まで100日もない。日本水連もメーカ側も決断の時を迎えている」をぜひ期待したいものだ。
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