「疲れ果てる勤務医」
今朝(08/4/13)の朝日朝刊(P3)に「疲れ果てる勤務医~残業月100時間、危うくミスも」という記事があり、興味深く読んだ。
最近勤務医の過労の問題は、新聞・テレビ等で話題が多い。その原因の一端をこの記事は教えてくれているようだ。曰く・・・
「当直、労働時間には含まれず 厚生労働省のまとめでは、病院勤務医の勤務時間は平均週70.6時間。労働基準法による法廷労働時間(週40時間)を大幅に上回り、月換算の時間外労働は100時間超。平均的な勤務医でさえ、労災基準で「過労死ライン」とされる時間外労働月80時間をゆうに超える異常事態だ。
・・・・「医師のただ働きの上に、日本の医療は成り立っている」・・・・
当直の扱いもおかしい。労基法などにもとづくと、医師の当直は労働時間に含まれない。だがこれは、当直時に院内の巡視や電話対応程度の軽作業しか行わないという建前。日勤-当直-日勤という36時間連続勤務が見逃される理由もここにある。」
現在の会社では、36協定等、時間外管理は大変に厳しいが、勤務医がなぜ当てはまらないか不思議だった。ここにこんなからくりがあるとは知らなかった。それに、労基法で決められているとは・・・・・。普通のサービス会社では、「待機」は少ない手当てを貰って、家で待機する。酒を飲まないで、携帯電話が鳴ると直ぐに飛び出す前提で・・・。しかし会社での待機となると、幾ら電話が掛かってこなくても、平常勤務をしていると見なされるのが普通だ。それを、急患があっても待機していると見なされてタダ働きだとすると、理不尽この上ない。
「一方、欧米の医師の労働時間は日本に比べて短い。経済開発協力機構(OECD)によると、英仏独で00年の医師の平均労働時間は週40~50時間ほど。EU司法裁判所が03年、日本の当直にあたる医師の院内待機の時間を労働時間と見なす判決を出したことで、時短の流れが強まっているという。」
なぜEUが日本の労働時間に対して判決を出したか、詳しい事は書いていないが、まあこれが普通の考え方だろう。
これに対し、軽減策としては、
「看護師や開業医がサポート 済生会宇都宮病院では看護師の力を使った。特別な研修と訓練を積んだ看護師に05年春から、CTやMRIの検査前にする造影剤の静脈注射を任せた。・・・帰宅時間がしばしば午後11時を過ぎたが、導入後、ほぼ定時に帰宅できる。・・・
開業医が多忙な救急を支える取り組みも始まっている。兵庫県の姫路医師会は、65歳以下の内科・小児科の開業医が輪番で初期救急を担う。午後9時から翌午前7時まで2人、休日日中は5人がセンターに詰める。朝まで開業医がカバーするのは全国でも珍しい。支える開業医は約100人で月1回ずつ。ただ、開業医も高齢化が進み、担い手は減る一方という。・・・」
これを読むと、地域医療の現場では、勤務医の悲惨な現実を何とか皆で支えようとしている動きで、立派だ。
話は変わるが、むかし通院した事がある信濃町のK大付属病院では、注射は全て医師本人がやっていた。それまでの病院では、注射はほとんどが看護師さんだったので、何か違和感を感じた。もちろん、医師だから注射が上手い・・・とも限らないので、建前よりも適材適所で、皆が分担して医師に負荷が偏らないようにすべきだろうと思う。
しかし逆の例では、2004年にインターン制度が廃止になって、研修医が研修先を自由に選べるようになった結果、研修医が都市部へ集中し、結果として地方の病院に大学から医師の派遣が無くなったため、医師不足で地方の病院が潰れて行く・・・、という現実もあると聞く。
これらの問題は、確かに一筋縄では行かないが、これから医療にお世話になる予定の“団塊の世代”としては、何とか充実した医療を維持して欲しいものだ。
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