「汚名挽回?」~混交表現
先日(08/4/7)のNHKラジオ深夜便で「くらしの中のことば~NHK放送文化研究所 主任研究員 柴田実」を聞いた。なるほど・・・、と思ったので、今日はその抄録・・・
<注目語>について、“言葉のプロ”が説明してくれた。同じような言葉が混合されて、間違った言い方が使われているという。
<間違いの例>
×「汚名挽回」=「汚名返上」+「名誉挽回」
×「明るみになる」=「明るみに出る」+「明らかになる」
×「喧々諤々(けんけんがくがく)」=
「喧々囂々(けんけんごうごう)」+「侃々諤々(かんかんがくがく)」
×「期待倒れ」=「期待外れ」+「看板倒れ」
×「体調を壊す」=「体調を崩す」+「体を壊す」
×「熱にうなされる」=「熱に浮かされる」+「夢にうなされる」
×「溜飲を晴らす」=「溜飲を下げる」+「鬱憤(うっぷん)を晴らす」
×「貧すれば通ず」=「貧すれば鈍す」+「窮すれば通ず」
×「疲労回復」⇒「健康回復」~「疲労回復」だと、疲労した状態に戻る??
これが、「疲労が回復」するいう意味で使われるとすると、「汚名回復」もありそうだが・・・・ダメ。何故かというと、「名誉回復」という言葉が既にある。よって「名誉回復」と同じような意味を持った場所に、新しく作った「汚名挽回」「汚名回復」という言葉は座れない。つまり、言葉は一種の椅子取りゲーム。これは理屈だが・・・
しかし、言葉にスキマがある場合は、新しい言葉も定着する事が出来る。
<定着の例>
○「破く」=「破る」+「裂く」
○「捕らまえる」=「捕らえる」+「捕まえる」
でも、流通して便利な言葉はちゃんと定着していく。おかしいと思わない人が多くなればなるほど、その言葉は定着する。
しかし「汚名挽回」はまだその席に座っていないので、「汚名挽回」と使うと思わぬ恥をかくので注意・・・。
だって・・・
言葉の常識の話だが、意外と皆が使っている・・・。例えば、Googleでウェブ検索をしてみると、
「汚名挽回」:125,000
「汚名返上」:289,000
「名誉挽回」:221,000
この数字からすると、正解言葉(「汚名返上」「名誉挽回」)の半分くらいは間違い言葉(「汚名挽回」)が使われている事が分かる。
自分も、このblogを書き始まって以来、誤字には気をつけるようになったが、言葉の世界もなかなか奥が深い・・・。
でも今日の番組で紹介された例は、自分はほとんど使っていなかったので、ホッ・・。
(それとも、自分は単に“語彙が少ない”というだけかもね・・・)
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