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2008年3月 2日 (日)

救急患者受け入れ拒否と医療訴訟化への危惧・・・

今日(08/3/2)の夕方のNHKニュースで、「救急患者受け入れ拒否~10回以上 300件」という報道があり、次のように伝えていた。

「患者が救急搬送を繰り返し断られ、死亡する問題が相次いだことを受けて、総務省消防庁は各都道府県を通じて実態調査を行っています。NHKが、現段階での調査結果を20の府県についてまとめたところ、救急が重症の患者の受け入れを医療機関に打診して5回以上断られたケースが、去年1年間に1799件に上り、このうち10回以上断られたケースは302件ありました。最も多いのは、マンションから転落し意識不明になった大阪の30代の男性が39回断られたケースで、埼玉や千葉でも20回以上断られたケースがありました。また、救急隊が到着して、受け入れ先に出発するのにかかった時間は30分以上が6176件で、1時間以上かかったものも625件ありました。医療機関が断った理由は「ベッドが満床」というものや、機材やスタッフが足りず「処置が困難」、「医師が別の患者に対応中」というものが多く、受け入れ態勢の不足が浮き彫りになっています。総務省消防庁は、全国の調査結果を今月中にまとめ、改善策を検討することにしています。」

城西大学 伊関友伸准教授:談「受け入れ態勢を充実させることはやはり重要だと思います。もうひとつは患者側も知恵を使う。タクシー代わりに救急車を使わない。昼間医療にかかるべきところを、夜中にコンビニ的に使うようなことを控えることも重要だと思う」(08/3/2 19:00NHKニュースより)

我が家でも、もう30年近く昔、上の子供が1歳半のとき、夜中に異常になり初めて救急車を呼んだ事があったが、「電話を貸して下さい」と言われ、家からあちこち電話をしていてなかなか救急車が出発せず、初めての救急の姿にビックリした事があった。あれから数十年、救急車のお世話になっていない事はラッキーだが、これからは他人事ではない・・・。
よって、悪化一方の日本の現状に、何とも心苦しく聞いた。

この問題は、既にTVや新聞等で何度も取り上げられている事であり、先日(08/2/28)の電波新聞のコラムにも「救急病院のタライ回しでまた人が死んだ・・・」というコラムがあった。このコラムで指摘している「病人タライ回し」の原因は、
1)表面的な理由は「病床がない」
2)第一の問題は、応急処置をした後、患者を病院に入れなければならない。廊下に寝かせても良いのだろうがこれが出来ない。
3)次に問題なのが、専門医がいない。大学病院と違って普通の病院は、専門医が当直するとは限らない。応急処置は出来るが訴訟が怖い。
4)最近は術後、数ヶ月たってから訴訟される。例えば針で傷口を縫う。専門医でなくてもできるが、やはり下手。これが訴訟の理由になる。
5)産婦人科の問題は、胎児や母体の状況で対応出来るとは判断できない。最近は妊娠しても産婦人科に行かない妊婦もいるそうだ。よって訴訟が怖いので断るほうがよい。

・・・というロジックだそうだ・・・・・。

確かに、病院が緊急患者を無理して受け入れ、病院が良かれと思って処置したとしても、患者は「喉元(のどもと)過ぎれば・・」で、病状が落ち着くとその恩を忘れて(重箱の隅をつついて)医師を責める・・・・。

これでは病院もたまらない。だから、医師が居ない・・・等の自信が無い場合は、見て見ぬフリをしてダンマリを決め込む・・・。まあ仕方が無いようにも見える。でも患者にとってはたまらない。

そこでフト思い付いた。「尊厳死協会カード」のように、「(応急処置で何かあっても)“文句は言いません”カード」でも作って、救急車が「“文句は言いませんカード”を持っている患者ですが受け入れてくれませんか?・・・」と病院に電話する・・・、という風に変えたら、このタライ回しも少しは減ると思うが・・・・、どうだろう?
つまり、さっきのNHKニュースでも伊関准教授が指摘しているように、この日本の膠着状態を打開するには、患者側も考え、権利だけを主張する姿勢を正さないと元に戻らないと思うのだが・・・。

米国の訴訟社会を辟易と見ていたが、いつの間にか日本もそれに近くなってきた。もちろん好い加減な治療を是とする訳ではないが、緊急時に放って置かれる状況のほうがよほど恐ろしいように思う。

(蛇足だが、昼に散歩に行ったら、公園の掲示板に「救急車を呼ぶ前に『#7119』を!」とあった。24時間体勢で、看護士等が救急車を呼ぶべきかどうかの相談に乗ってくれるという。まさにこれも「知恵」の一つだな・・・)

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コメント

救急医療の現実を扱った動画があります。

NEWS ZERO「救急崩壊」1日目
患者を断らざるを得ない「受け入れ不能」の実態。
http://www.youtube.com/watch?v=Bua7R0bQioo

NEWS ZERO「救急崩壊」2日目
経営不振で「2次救急」が次々と撤退、「2次救急」レベルの患者が「3次救急」へ…。
http://www.youtube.com/watch?v=sQ7ufv7bfzM

NEWS ZERO「救急崩壊」3日目(1/2)
夜間救急に多数の患者が押し寄せパンク状態、その多くが、救急医療が不要な「軽症患者」。
http://www.youtube.com/watch?v=akEbC5khXKE

NEWS ZERO「救急崩壊」3日目(2/2)
「私たちの病院を守ろう」と立ち上がった市民。
http://www.youtube.com/watch?v=8VQlgK3UgQQ

上の動画を元に記事を立てました。
よろしかったら読んでみて下さい。
http://punigo.jugem.jp/?eid=453

投稿: 都筑てんが | 2008年3月22日 (土) 21:14

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