映画「潜水服は蝶の夢を見る」を見て
映画「潜水服は蝶の夢を見る」を見た。
久しぶりに休暇が取れたので、「映画にでも行くか?」と言ったら、カミさんが「潜水服は蝶の夢を見る」(HPはここ)を見に行こうというので、二つ返事で、何の予備知識も無いままに行ってきた。
何とも奇怪な題名だが、この映画は実話だけにストーリーもリアリティがあり、また前半のカメラワークが脳梗塞を起こした主人公の目から見た光景のため、何だか自分が脳梗塞を起こしてやっと意識が戻ったような・・・、そんな気分になった。
主人公のジャン=ドミニク・ホビーとは、実在したフランス版ELLF誌(世界的なファッション雑誌)の名編集長だったそうで、1995年、43歳の時に突然脳梗塞(amazon解説では脳出血)で倒れる。脳幹がやられており、普通は死んでいる・・。4ヵ月後?にやっと意識が戻るが、体が動かない。唯一動くのは左目だけ。右目は開いたままなので、まぶたを縫われてしまう。意識はあるのに体が動かない状態をロックト・インシンドローム(閉じ込め症候群)という。そして、唯一動く左目の瞬きの合図でアルファベットを綴り、20万回の瞬きによって、自伝「潜水服は蝶の夢を見る」を書きあげたという。
そして発病後1年3ヵ月の1997年3月、肺炎で死去。この本が発売されてから2日後という。この本は、世界28か国で出版される世界的なベストセラーとなったという。
この映画は、最初にも書いたが患者の目で見える光景から映画が始まる。やっと見えてくるぼやっとした風景。しゃべれない自分。考える自分。そして右目が縫われて徐々に見えなくなっていく光景・・・。何ともリアリティがある。自分も脳梗塞になったら、この様になるのだろう・・・・と、つい思ってしまった。
この映画は、脳梗塞・執筆/出版と同時に、家族についてもリアルに描いている。小さな子供が3人も居るのに、別の恋人が出来て離婚(別居?)。
妻はけなげに何度も見舞いに来るが、恋人は一度も来ない。そして「早く元の体に戻って!“元の彼”を愛している」と現実を受け入れない(ずるい)恋人・・・。
ラストシーンは、その恋人からの電話を夫に聞かせ、奥さんが目の瞬きで夫の言葉を通訳して恋人に伝える。その言葉が「毎日でも逢いたい」・・・・。そして泣き崩れる奥さん・・・・・。(このラストシーンは残酷だ。もしかしたら、こんな事をしているから神様が懲らしめたのかもね・・?)
それに、この映画に出てくる女優が全て美女。よって、(毎度のことだが)自分は区別が付かない。映画が終わった後で、カミさんに解説を聞いて初めてピントが合う始末・・・。(ラストシーンの泣き崩れる女性は、言語療法士の女性だとばっかり思っていたら、奥さんだった・・・というお粗末・・)
前に「NHKこころの時代~『難病ALSと闘う日々』を聞く」(ここ)という記事を書いた。まさにこの人と同じだ。しかし病名は違う。
時たま、もし何かで体が縛られて自由が利かなくなったら・・・と思うと、考えただけでも怖ろしい・・・・。(だから、今からカミさんに「もし病気になって暴れても、絶対に拘束するな」と言ってある・・・)
それが、この映画では「体」という閉所に閉じ込められる。その恐怖・・・・・。
話はコロッと変わるが、映画館に入るとき「夫婦50割引」と言ったら「年齢を証明するものを見せてください」と言われた。初めて!
自分は、若い頃から「間違いなく50歳以上に見える」と自負していたが、(まあ、お世辞だろうが「そう見えないので??」)それを証明しろという。「単に決まりだから言っただけ・・」ではシラけるが、今日は少し若い気になった??
そんな訳で、若い気になったり、いつ脳梗塞になって同じような体験をするかも・・と、行く先々を考えたり・・・と、何とも目まぐるしい一日ではあった。
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