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2007年11月12日 (月)

「かけがえのない大切なもの」

「かけがえのない大切なもの」

何故 私は 耳が聞こえないんだろう
何故 私は 障害をもって産まれてきたんだろう
ふと 気がつくと いつも考えてた

私は幼いころから
障害をもって生きていく厳しさ
世の中の厳しい現実
人のあたたかさ
感謝する心の大切さを教えられた
父と母はいつも厳しかったが
その厳しさの中には
社会に出ていったとき
世の中を生き抜いていく力を身につけてほしい
という 願いが込められていた
私が 厳しさと共に感じていたのは いつも最高のあたたかさだった

あなたの耳と代わってあげられたら…
いつも 父と母は言う
でも 代えることはできない
その代わりに 私を どんなときでも 精一杯応援してくれて
支えてくれて 一番に理解してくれて
そして 一番の味方でいてくれる

私は 耳が聞こえなくてよかったな って思う
だって そのかわりに
こんなにすばらしい父と母に 出会うことができたから
私のために こんなに頑張ってくれて
私のことを こんなに大切にしてくれる人
絶対 他にはいない

…中略…

お父さん お母さん
耳が聞こえなくて 困ることがたくさんあるよ
苦しくってたまらないときも
悔しくってたまらないときも
いっぱいあるよ
でも これから先も
そういう いろんなことが待ちうけていること 覚悟してる
その壁に背を向けないで
一つずつ 一つずつ 壁をなくしていくからずっと見守っていてね

お父さん お母さん
私に 耳の障害 もたせてくれてありがとう
今ね ほんとに 心の底から
耳が聞こえなくてよかった って思うんだ
だって もし障害をもっていなかったら 今の私はいなかったと思う
それに 私の かけがえのない大切なもの
何なのか 誰なのか それを すぐ見つけることができたから

…中略…

私は
これからも
まっすぐと前を見つめて
強く 強く生きていきます     (平成18年 中学三年生)

===============

「宿題」

今日の宿題は つらかった
今までで いちばんつらい宿題だった
一行書いては なみだがあふれた
一行書いては なみだが流れた

「宿題は、お母さんの詩です」先生は そう言ってから
「良子さん」
と 私を呼ばれた
「つらい宿題だと思うけど  がんばって書いてきてね。
 お母さんの思い出と しっかり向き合ってみて」

「お母さん」
と 一行書いたらお母さんの笑った顔が浮かんだ
「お母さん」
と もうひとつ書いたら ピンクのブラウスのお母さんが見えた
「お母さん」
と言ってみたら 「りょうこちゃん」 と お母さんの声がした
「お母さん」
と もういちど言ってみたけど もう 何も 聞こえなかった

がんばって がんばって 書いたけれど
お母さんの詩は できなかった
一行書いては なみだがあふれた
一行書いては なみだが流れた
今日の宿題は つらかった

今までで いちばんつらい宿題だった
でも
「お母さん」
と いっぱい書いて お母さんに会えた
「お母さん」
と いっぱい呼んで お母さんと話せた
宿題をしていた間
私にも お母さんがいた   (平成3年 小学六年生)

これは今日、帰りの電車の中で読んだ「大法輪 2007/12月号」(P25)の「坂村真民先生一周忌に思う」(~真言律宗・蓮華院誕生寺貫主 川原英照氏)に載っていた詩である。(この文章は、出版社のHPにも載っている
詳細はそのHPに譲るが、誕生寺が平成2年から、熊本県の小中学生から募集して開く「子どもの詩コンクール」での作品とのこと。

カミさんがよく言う。「あなたのblogには自分の言葉が少ない・・・・」
でも、自分の言葉が要らない記事があっても良いのではないか・・・
世の中、心の琴線に触れる言葉というものはあるものだ。

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