映画「いつか読書する日」
NHK BS2で先日放送された(07/11/7)映画「いつか読書する日」を、カミさんにせっつかれてやっと今日、見た。なるほど。これはなかなか素晴らしい。
物語は公式サイトに詳しい。
高校生の時に好き合い、付き合っていた二人。何と、男子高校生(槐多)の父親と女子高校生(美奈子)の母親が不倫の末に、自転車二人乗りで、交通事故で死んでしまう。それから二人の人生は変わる。槐多は平凡な人生を送る決心をし、美奈子は結婚しない。
そして30年が過ぎ、50才。美奈子(田中裕子)は、浮いた話一つなく、朝は牛乳配達、スーパーのレジ打ち。槐多(岸部一徳)は市役所の児童福祉課。
岸部の奥さん役(仁科亜季子)は、自宅で末期ガンの死の床。そして、夫が飲まない牛乳を取り続けている事から二人がまだ好き合っている事を知り、自分が死んだら一緒になるように二人に勧める。
そして、奥さんが亡くなったあと、二人は30年ぶりに口をきき、一緒に親が交通事故で亡くなった場所に行く。そして・・・・・
予告編のナレーションが言う・・・
幼い恋を胸に秘めたまま
私たちは いまも
この町で暮らしているすれ違うたび ざわめく心
この想いは 絶対に 知られてはならなかった
言えなかったこと 知りたかったこと
誰もが 忘れられない気持を 抱えて
物語が いま ほどかれる
この言葉が、まさにこの映画の真髄を言い当てている。
坂道の多い町、長崎を舞台に、物語は切なく進む・・・・
見終わっても、(いつもの通り)物語の全貌の理解は出来なかった。そして、カミさんの“口頭試問”を経てやっと理解ができた。
映画のタイトル「いつか読書する日」も、最後まで理解できなかった。そして、カミさんに教えられてやっと少し分かった・・・。
この女性は、若いときの恋が忘れられず、待った。30年も・・・。そして待つ時間を読書で過ごした。よって女性の部屋は、整然と並べられた本・本・本・・・・。待ち、そして耐えた女性の“時間の長さ”が、その本(読書)によって表されているのか・・・
そして槐多は、恋する美奈子を無視する事で耐えた・・・。牛乳の配達を通して、美奈子を意識しながらも、無視し続ける・・・。
二人はずっと仮面を被った無表情の顔・・・。そして、最後の場面でそれが解き放たれ、二人の顔が生きた人間の顔に劇的に変わる・・・・。槐多は笑った顔で見つかり、美奈子は最後のシーンで笑う・・・
今時、この様な生き方をする人は居ないだろう。しかし、この心の強さは何だろう・・・。親によって子の人生は当然変わる。長い人生を何に賭けるのか・・・・、まさに心に残る映画であった。
それと、共演の仁科亜季子を久しぶりに見た。自分も若いときに“仁科明子”は随分TVで見た。そして30年のブランクの後、復帰したという。
そう言えば自分は還暦を迎えて、映画はシニア料金で見られるんだっけ。これを機に、時間を見つけて映画三昧でもしようか。
追)(07/11/23)
改めて最初から最後まで復習をした。そして、色々合点が行った・・・。
槐多が父親の絵を売るシーン。描かれていたのは裸婦。それは美奈子の母親ではなかったか? 槐多が「カレー小僧」を救う事に熱心になるのも、美奈子からの依頼だったからか?両親がトラックに轢かれた場所は、ダムの近く。二人は何をしにダムに行こうとした?心中か??
しかし、未だに分からないのが「いつか読書する日」の「いつか」とは、“いつ”なのか?
「長い恋が終わった時」なのか・・・? とすると、美奈子の部屋にあった本はまだ読んでいない事になる。長い間、「その時」が来たら読もうと思って本を買い溜めていたのか?
しかし公式HPに「毎夜ひとりのベッドでする読書・・」とあるので、やはり読んだのだろう。
これだけが未だに分からない。
でもしみじみとしていて、この映画は好きだな~
| 0
コメント
この映画少し見覚えがあります。内容を覚えていないところをみると、途中をちょっと観ただけなのでしょう。再放送があったらちゃんと観てみたいです。
私は毎夜夢を見ます。今まで見た夢で一番悲しかった夢は、私が白髪を染めているところを18歳の彼がじっと見ているものです。こんな会い方はしたくないですね。夢で良かったのですが、切なさは何年も残りました。
「切ない夢を見たねぇ」と知り合いの青年が慰めてくれました。いつか手をつないで歩く夢を見たいものです。
投稿: 白萩 | 2009年9月 9日 (水) 00:15
白萩さん
9月16日(水)前0:40-2:48(15日深夜)にBS2で「いつか読書する日」の放送があるようです。ぜひマジメに(!)見て下さい。
自分は、この映画はなぜか好きです・・・。
投稿: エムズの片割れ | 2009年9月12日 (土) 23:18
「いつか読書する日」ご連絡下さって有難うございます。しかし、残念ながら深夜のこの時間、起きて観る事は難しいのです。エムズさんがお好きなら、きっと私も好きな映画だと思います。土曜日なら観られたのに、夫と息子2人を朝、無事に送り出すまで、主婦としての責任がありますので、とても残念ですが起きていられません。
我が家のテレビ、液晶が出てすぐ買ってしまいましたので、録画もDVDも機器を買わないと観られないのです。今なら半額で色んな機能が付いていますのに・・坊ちゃんではありませんが、泡っくらいで損ばかりしています。
投稿: 白萩 | 2009年9月13日 (日) 12:26
白萩さん
大変失礼しました。自分が、TVは100%録画で見るので、何時に放送・・・を気にしていなかったもので、大変失礼しました。
でもこの映画、当blogでも書きましたが、“「いつか読書する日」の「いつか」とは「いつ」なのか?”について、何方かアドバイスを頂けたら・・・・!?
投稿: エムズの片割れ | 2009年9月13日 (日) 13:00
私も「いつか読書する日」が好きです。
ですので、コメントしてしまいました。
大場美奈子は毎晩読書をしていますが、
今まで最後まで読むことが出来なかったのです。
なぜなら、途中で読むのを止めてしまうからです。
「いつか」とは、あの映画のラストです。
あそこから、最後まで読み終える、本当の意味で読書し始めるんですよ。
いきなりで失礼しました。
【エムズの片割れより】
ありがとうございました。なるほど・・・。そうなんですか・・。
我が“人生の疑問”が一つ解けたような気がします。
そんな事を念頭に、もう一度この映画を見てみま~す。
投稿: K | 2011年1月22日 (土) 05:58
「いつか読書する日」は公開された時から見たいと思いつつまだ見てません。
主演の二人にも魅力を感じて見たいと思ってます。
テレビで放送されたのですね。
【エムズの片割れより】
この映画は、なかなか味があり、何度も見てしまいました。
投稿: コスモス | 2011年1月24日 (月) 21:48
私は、姫路在住です。見たい映画は姫路では上映されないことが多く、たまたま姫路シネマという会にて(いつか読書する日)が上映されるのを知り、入会しました。どうしても見たかった映画の一つで、せつなくもあり、観た後、昔の若かったころが思い出されて、しばし過去のことをひきずりました。
【エムズの片割れより】
コメントありがとうございます。
こんな世界はそうそう無いと分かりながら、ジ~ンときますよね。
投稿: yoko | 2011年1月30日 (日) 13:54