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2007年9月22日 (土)

大峰千日回峰行の塩沼亮潤氏の講演を聞いた(3)

Scan103161_2 先日(07/9/15)、大峰千日回峰行を満行された、仙台の慈眼寺住職 塩沼亮潤氏の「心をこめて生きること」という講演を聞いたが、場外で即売していた塩沼亮潤氏と板橋興宗氏の対談による「大峯千日回峰行―修験道の荒行」という本を買った。今日は、この本での、気になった部分の語録である。

塩沼亮潤・板橋興宗著「大峯千日回峰行―修験道の荒行」より

Scan103201 「行を捨てる」 (P196)
板橋「阿闍梨さんの厳しい修業を通じて、せんじつめて「行」とはどういうことでしょうか。こういう時代にどういう意味があるのか、一言で表現するとしたらいかがですか?」

塩沼「そうですね、人間本来の姿、心のあり方、生き方を見出す、訪ねるということになりますでしょうか」

板橋「行を通して本来の人間のあり方のようなものを見出していくということですか?」

塩沼「行は目的がきちんと明確でなければならないと思うんです。私の場合には、千日とか日数の問題ではなく、自分の器を大きくする、それに目標を定めて行じてまいりました」

板橋「やはり目的は大切ですね」

塩沼「例えば、千日回峰行をします。千回歩きましたといって、何か社会的な価値があるでしょうか。これは余談になるのですけれども、以前、皇太子殿下が吉野の蔵王堂にいらっしゃいましたときに、管長様に「千日回峰行をしたらどうなるんですか?」とお尋ねになられました。そのときに「千日回峰行を満行した者は阿闍梨と呼ばれますが、社会的には何の価値もないものです」とお答えしておられました。ですから、行をしたというだけでは何の意味もないのです。よく師匠から、行が終わったら、行を捨てなさいと言われましたが、そういう肩書ですとか、そういうものを“はな”にかけたりするような生き方だけはしないように、ということでしょう。ですから、自分自身を厳しく見つめ直していくことが一番の目的だと思います」

「愚痴ることなかれ、ぶらりぶらりと」 (P209)
塩沼「命は大切にしなければなりません。地球の歴史に比べたら、人間の一生なんてあっという間です。ほんの一瞬です。辛さ、苦しさ、楽しさ、全て一瞬です。人は必ず死にます。その日、その時まで、いいことをして、やがて、お迎えが来たら胸を張って、あの世とやらにいけばいいのです。最後の一息まで大切にしなければなりません。誰ひとり天命のない人はいないのです。この世の中に不必要な人はいないのです。授かった命は、大切に感謝しなければなりません」

板橋「なかなかそういうふうに生きられない場合も多いと、つい愚痴を言いたくなることもありますけれども(笑)。・・・そういうことはあまりございませんか?」

塩沼「ええ、昔はあったかもしれませんけれども、いまは因果応報というのですか、やったことは必ず返ってくるということを自覚しておりますから、絶対に愚痴は言わないようにして、ありのままを受け入れ、急がず、焦らず、背伸びせず、大らかにのびのびと、というふうに変わってきました」・・・・

板橋「・・・文明が進んでも愚痴ることはなくなりません。愚痴るというのは考えても仕方ないと思いつつ、グチグチと考えることです。俺はガンになったんだと愚痴る。ガンになったら、ただ養生すればいいんです。ガンという思いが、思い苦しむんですから。ですから、何が煩悩かと言ったら、愚痴ることです。そうすると、こういう質問が出るんです。考えても仕方がないことと、考えるべきことと、どうやって区別をつけるんですかと。どのような結果になり、どんな出会いになっても、それを愚痴らないところが大切ですね。もし失敗しても、失敗という出会いですね。そういう判断は、心が落ち着き、頭が静かになっていると自然に判断がつくのです」・・・・

Scan103181_2 カミさんにこの愚痴の話をしたら「愚痴は人間にとって絶対に必要。人間は不要なものを排泄する必要がある。心の中の不要なものを愚痴を言って排泄することは必要」と言う。
なるほど・・・。凡夫の自分はこれを聞いていて、どうもカミさんの言うことの方が説得力があるように聞こえるが・・・・。
まあこれは、自分にとって悟りの境地はまだまだ遠い・・・という証かも知れんな・・・??
(付録:会場で買った本が、何と“サイン本”だったのだ・・・・。実に良い字だとカミさんは誉めるが、自分は最初、何て書いてあるのか分からなかった・・・。トホホ・・・)

(関連記事)
大峰千日回峰行の塩沼亮潤氏の講演を聞いた(1)

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