障害者自立支援法を考える(3)~各党の主張
悪法と名高い「障害者自立支援法」。
今回は“現実解”として、この法律が今後どのように変わって行くのかを、政治の世界から予測してみる。
つまり、「障害者自立支援法」は法律なので、当然国会の動きがどうなるかで決まる。と言う事は、各政党がどう考え、どう行動するかにかかっている。よって各党のこの法律に対するスタンスを見てみる。
先の参議院選で与党が大敗したが、「障害者自立支援法の見直しについて」という、選挙前に実施された各党へのアンケートが面白い。(選挙前なので、各党も真面目に答えなければならなかった・・・?)
それを読むと、“この法律は問題であり早晩改訂の必要がある・・・”と、各党が認識しているように感じられる。
よって、参議院が与野党逆転の状況下、もしかすると事態が好転するかもしれない・・という予感も感じさせる。
以下、「障害者の地域生活確立の実現を求める全国大行動」実行委員会が行った「障害者自立支援法の見直しについて」各党へのアンケートの結果である。
質問 Q4.<障害者自立支援法の見直しについて>(以下本文通り)
昨年、障害者自立支援法が施行されましたが、同法附則には「障害者等の範囲」「所得の確保」等、施行後3年後(21年度)の見直し規定が盛り込まれています。障害者自立支援法の評価、施行後の状況、並びに今後検討、議論がされていく自立支援法の見直しについて貴党はどのようなお考えをおもちですか。
<民主党回答>
2006 年4 月から「障害者自立支援法」が施行され、サービスの利用時の定率負担や食住費の自己負担が導入されましたが、急激に増加した負担に耐えきれず、障害者がサービス利用を中止したり、抑制したりする事態が生じています。施設を退所して一切のサービスも利用せずに自宅で過ごすような状況は、障害者の自立を阻害し、所得を得る機会さえも奪っています。障害者政策が措置から支援費制度へと転換したことにより、障害者ニーズが顕在化してきます。これまで政府が実態を把握してこなかったニーズを見極め、障害者自立支援法の抜本的な見直しが必要であると考えます。民主党は2006年の臨時国会と2007 年の通常国会に、支援サービスの定率負担(応益負担)を凍結し、応能負担とする障害者自立支援法改正案を提出しました。
(関連記事)
民主党「障害者自立支援法改正法案」と「6つの緊急提言」
<日本共産党回答>
障害者自立支援法の最大の問題は、応益負担の導入です。障害者が生きるために必要なサービスを「益」とみなして負担を課すことは、福祉の理念、憲法25 条の生存権に反します。また、応益負担は、障害が重いほど負担が重くなるという構造的な問題点をもっています。
日本共産党は、障害者自立支援法が、自立支援どころか自立阻害であるとして、法案に反対してきました。法施行後、相つぐ利用者の施設からの退所、サービスの抑制、福祉労働者の労働条件の悪化や離職、事業所の行き詰まった運営や廃業など深刻な事態がすすみ、障害者団体のみなさんの不安が現実になっています。日本共産党は障害者のみなさんの運動と結んで、応益負担の撤回と改善を求めてとりくんでいます。
法施行後1 年もたたないうちに政府・与党が関係者の運動におされて「特別対策」をとらざるをえなかったこと自体、この障害者自立支援法が大きな矛盾を抱えていることを物語っています。応益負担による国の負担の減少は五百十億円であり、国の予算からみればわずかな額です。この国の障害者福祉のあり様を根本的に見直し、生存権にたった施策に立ち返らせることが必要です。
日本共産党は、障害者の範囲や、所得保障の見直しも当然必要だと考えています。
(関連記事)
「赤旗」2007年6・7月号外
2006年6月7日(水)決算委員会「障害者自立支援法」について
<社会民主党回答>
障害者自立支援法によって、重い障害のある人ほど、重い負担がのしかかる“応益負担”が導入された。“応益負担“は障害者の生活権を侵害するものであり。福祉の理念、憲法25条の理念に反している。凍結して抜本的に見直すべきである。
障害者の就労支援と所得保障の充実、必要なサービスが自己選択できることと応能負担であること、地域の基盤整備など、まず、当事者の意見を反映させたグランドデザインをつくることから始めるべきである。
<公明党回答>
障害者自立支援法の見直し規定が施行3 年後とされております。附則にも、「障害者等の範囲」や「所得の確保」等の検討をし、反映させるように盛り込みましたが、施行され1 年が経過し、現場の状況を踏まえた議論を厚生労働省でも開始するよういっております。今は自立支援法の定着のための特別対策を講じたところでありますが、障害児への支援の確立等、今後障害者関係団体の皆様のご意見を伺い、よりよい制度への見直しへと議論を進めていきたいと思います。
<自由民主党回答>
障害者施策については、障害者サービスの利用をさらに促進するため、利用者負担の軽減や事業者への激変緩和など、1,200 億円の特別対策を実施したところです。今後は、障害者福祉施策の充実・拡充をめざしつつ、「障害者自立支援法」の円滑な運用のための制度の見直しを含め、障害のある方が安心して暮らせるよう取組みます。
引用が長くなったが、所詮法律を変えるためには“政治を動かす”しか無い。先の参議院選も然り。
話は変わるが、先日新聞を読んでいたら「参院先議」という方法があるそうだ。これは参議院で先に可決してから法案を衆議院に送る手法で、衆議院に回ってから与党に否決されても「与党が数の横暴で反対した」と有権者に訴えることができる、というもの。
先ずは「年金流用禁止法案」を秋の臨時国会に提出するらしいが、ぜひ民主党が2006年の臨時国会と2007 年の通常国会に提出したという“支援サービスの定率負担(応益負担)を凍結し、応能負担とする障害者自立支援法改正案”を、今回は「参院先議」で提出して欲しいものである。
(先の参議院選で、自分は唯一“自立支援法改定を謳った”候補に一票を投じたが、当選したこの参議院議員の活動にも目を光らせて行きたい。~とは言うものの全く自信が無い・・・。“投票したのは誰だっけ?”とカミさんに聞くほど、実は“無党派”なのである。これではイカンな・・・)
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(関係サイト)
05年7月の厚生労働省の説明文
(「障害者自立支援法」附則)
・・・
(検討)
第三条 政府は、この法律の施行後三年を目途として、この法律及び障害者等の福祉に関する他の法律の規定の施行の状況、障害児の児童福祉施設への入所に係る実施主体の在り方等を勘案し、この法律の規定について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。
(本サイトでの関連記事)
家庭での障害者の率~障害者自立支援法を考える(1)
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