NHKが08年に「ネット有料配信事業」に参入??
日経ビジネスを読んでいたら、NHKが「ネット有料配信事業」、つまりビデオ・オン・デマンド事業に参入するという記事が載っていた。(日経ビジネス 07/7/30号 P8)
それによると、1950年のNHK創設以来与えられてきた任務、つまり「放送市場を開拓する」という任務が、総務省によって「ほぼ完了した」と判断され、それに代わる「インターネットの映像配信事業を本格的に立ち上げる」というミッションが新たに与えられるという。どうもチャンネル削減の代わりらしい。
現在は放送法で禁じられているNHKのインターネット事業だが、今秋の臨時国会でこの規程の改定を目指すという。
また、NHKのネット配信の部門は、競争原理を重視した独立採算とし、受信料収入は充てないで、「1番組当たり数百円」という課金モデルでビジネスを展開させるという。
08年に始めるネット有料配信のイメージは、「1週間以内に放送された番組で見逃した番組」と「過去50年以上にわたり放送してきた約60万本の番組のうち、懐かしの番組(当初約1000本)」を提供する。施設は、既にその事を見越して建設したNHKアーカイブス(川口)を利用するらしい。
先日、この施設に行ってみたが、言われてみると“なるほど”と頷く。単にVTRテープの保管庫にしては立派過ぎた。
一方、民放は「有料のネット配信が大きなビジネスになるという気はしない。NHKさん、どうぞやったらどうですか」(7/19 日本民放連の広瀬会長)との見解という。
何故かというと、2001年に総務省がNHKに対してどこまでネット事業参入を容認するかを検討していた時、この規制緩和にこの民放連が大反対して潰した。そして民放各社が番組のネット配信を試みたがことごとく失敗したので、このような展開になったらしい。
もうひとつ、総務省はNHKを使って「通信と放送の融合」を進めようとする目論見もあるらしい。
さて、この動きをどう見るか?自分は大賛成派である。
NHKアーカイブス川口や愛宕の放送会館で見ることが出来た昔の番組を、自分のパソコンで自由に見ることが出来るのであれば、有料で結構だ。
ネットで検索してみると、どうもこの話題は06年5月にもあがっていたらしい。その時は、NHKアーカイブスで公開されているのが全55万本中5700本。少ない理由は権利処理。だから時間が経つと、どんどん提供番組が増える・・・という構造には、なっていないらしい。
また視聴の方法は、いったんPCにダウンロードしてから視聴し、一定期間経つと自動的に消去される仕組みらしい。また同様のサービスを英国BBCがこの7月27日から開始したとの事。
しかし肝心なのは、有料に耐えられるだけの番組内容か・・と、それに見合う料金体系か・・・である。それと、何より重要なのが、どれだけの数の番組を提供できるか・・・。これが少なければ、一度はアクセスしても、ナーンだと、二度とアクセスしなくなる。
よって、一番難物の権利関係がどう整理されて、どれだけの数の番組が提供されるのか・・。
素直に考えると、これは大変に困難と見る。NHKがそれに耐えて提供番組が増えるかどうか・・・。それには誰かがblogに書いていたが、NHKの番組を政府が全部買い取り、権利処理が不要になる立法を行う・・・といった、奇想天外の方法を採らない限り実現は非常に難しいように感じる。(それでもなお、NHKの今後に期待したいが・・・)
コストについても、現代は映画のDVDは、ネットでリクエストすると2~3日後には自宅のポストに届けられ、返却は近くの郵便ポストに投函するだけの時代。しかも料金は480円(~180円)。
しかし前向きに捉えると、もし番組ストックが充実して定額制などが出来、昔の番組が自由に見られるようになると、原理的に日本の“録画文化”は崩壊する訳で?(録画しておく必要が無くなる?)、これは大変な“文化大革命”になる? (もっとも、民放も同じように出来る・・・という前提だが・・)
なぜこれだけ自分が期待するかというと、NHKの番組は、受信料を営々と払い続けてきた国民の財産・文化であり、著作権者が全てを差配するべき物ではないと思うからである。だから国民の利便性を最優先に考え、前向きの動きを期待しつつ、今後も見守っていきたい。
(もっとも先日の参議院選挙で世の中が大きく変化したので、秋の法案改訂も、どうなるか分からない・・・??)
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コメント
昔のテレビ番組、もう一度観て見たいという番組がたくさんあります。
おそらく、その方向に進むのだろうと思っています。
現在でも、あまりテレビを観ないのですが、そうなると、ニュース番組くらいしかテレビを観なくなるのでは、と思います。
投稿: エカワ | 2007年8月 2日 (木) 13:23
自分も前に録ったテープが山のようにあります。しかし案の定、それを見るヒマがありません。
そして時代はデジタルのハイビジョンに・・・
サラリーマンを止めたら見るぞ、と言っていますが、どうですか・・・?
でも一応、楽しみにしています。手始めに、このお盆休みに、その前哨戦をしてみようかと・・・
投稿: エムズの片割れ | 2007年8月 2日 (木) 21:45