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2007年7月22日 (日)

映画「隠し剣 鬼の爪」と藤沢周平

短編小説を2時間のドラマにする時、時間が持たないので色々と原作に無いストーリーを付け加えるが、この「隠し剣 鬼の爪」という映画はなかなか良かった。筋も無理が無く、納得できた。

このところ藤沢周平に凝っている。先日、「隠し剣孤影抄 」「隠し剣秋風抄」を読んだ。
ネットで見ていたら「隠し剣孤影抄」に収録されている「隠し剣 鬼の爪」が、2004年に山田洋次監督で映画化された、とあった。それでレンタルDVDに注文して今日見たという訳である。これで藤沢周平の映画「たそがれ清兵衛」「隠し剣 鬼の爪」「蝉しぐれ」「武士の一分」の4本全部を見た事になる。

この映画がなかなか良かったのである。先日「武士の一分」の映画を見て、何かフィットしなかったが、「隠し剣 鬼の爪」は原作を通り過ぎて、“あるドラマ”があり、良く見ると「隠し剣 鬼の爪」の短編ストーリーが散りばめられている・・・というように感じた。つまり「武士の一分」と違って全体的に違和感が無かった。最後の場面での、女中“きえ(松たか子)”との結ばれ方も、ハッピーエンドで良かった。(やはりハッピーエンドが良いな~)

思い出すと、自分の藤沢周平歴は浅い。NHKテレビのドラマ「蝉しぐれ」を切っ掛けに、藤沢周平の本を読むようになり、まず原作の「蝉しぐれ」を読んだが、それに続く本が問題だった。つまり何を読んで良いか分からないのである。迷った。何せAmazonで「藤沢周平」を検索すると、何と344件もあるし、本屋でも無数に並んでいる。これでは迷うはずだ・・・・。
それで映画「武士の一分」の原作である「盲目剣谺(こだま)返し」の「隠し剣秋風抄」に続いて、このシリーズを読んでみたわけである。
しかし、古臭い書名に反して(?)、このシリーズがなかなか面白かった。全て女性が絡み、必殺の秘剣が登場する。そして必ず秘剣が活躍する。そして善が勝つ。
そして珍しく、藤沢周平を帰りの電車の中で読み始めると、いつもの「四ツ谷」で眠くならないのである。もう少し読んで、眠くなったら寝るか・・という内に着いてしまう。まさに通勤上、体調維持の為の睡眠を妨げる藤沢周平でもあった。
また、この小説と一緒に買った「週刊 藤沢周平の世界」には、何と各短編に出てくる海坂藩の地図と、各々の事件が地図のどこで起きたかまで載っている。この小説の舞台(場面)を繋ぎ合わせて一枚の地図に纏めた事に、またビックリ?

実は、自分は小説を読んでも、なかなか登場人物の名前が頭に入らない・・・という特技がある。だから短編は苦手なのである。何故かと言うと、名前を覚える頃には小説が終わってしまうのである。だから良く、読み終わった後で“復習”する。前から読み直して、なるほどと納得する。(頭が悪いのだろう・・・) 今回も、映画を見終わってから、また“復習”してしまった。

ところで映画だけでなく、藤沢周平原作のTVドラマもたくさん作られているようだ。ウィキペディアに載っているものだけで19本もある。NHKの「蝉しぐれ」「秘太刀馬の骨」は見た。そして現在NHKのBS2で再放送されている「清左衛門残日録」(1993年放送~蔵出しエンターテインメント「藤沢周平ドラマ」)は、毎週楽しみに見ている。
NHKは今後も自分のような遅咲きのファンのために、これに続いて今までの作品を再放送してくれる事を期待したい。

そう言えば、10年前に亡くなった実家の親父の本棚に、時代小説がたくさんあったっけ。古臭いな・・・、と思って見向きもしなかったが、もしそれが「藤沢周平」だったら、親父を“再評価”せねばなるまい・・・・。今度、田舎に帰った時に本棚を見てみよう・・・・(今頃?)
(カミさんは、時間が無いといって一緒にこの映画を見なかったが、自分が良かったと言ったので、今、居間で見ている。「良くなかった」と言われると、今晩は寝ないで“激論”をせねばなるまい)

でも将来リタイア後、藤沢周平の本を相当読みそうな気がする。でもまあ、切っ掛けがどうあれ、楽しみアイテム(リタイア後にすること)が増えることは良いことだ。

●本日カウントが2万を越えました。皆様の“ご愛顧”に感謝します。

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コメント

昭和48年頃まではメチャンコに映画を観まくった私はいわゆるニュー・シネマ以降はめっきり本数が減り新作はまあ観てないと言った方が相応しい。でも4本はどう言う訳か劇場で観ています。すばり四作品の内でコレが一番気に入っている。何故か考えてみた。第一に他の作品に比べそれほど「下級武士」ではなさそうで悲壮感も余りなく爽やかさが良い。松たか子をミス・キャストとする意見が多い。そうではなく監督は綺麗に彼女を撮りたかったと解釈しましょう。何よりも仰せの通りハッピー・エンドがたまらない。「命令でがんすか?」、そうなのであります、ハイ。

投稿: なんだかんだ | 2008年5月 1日 (木) 23:37

私も藤沢周平さんに夢中になった一人です。
‹臍曲がり新左› ‹みそさざい›など引っくり返って笑いました。

投稿: やす兵衛 | 2008年6月26日 (木) 23:50

やす兵衛 さん

藤沢周平の世界は広いので、読み甲斐がありますね。
そのうち自分も色々と広げたいと思います。

投稿: エムズの片割れ | 2008年7月 1日 (火) 21:41

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