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2007年7月17日 (火)

グレン・グールドと山口百恵・・・最新技術で蘇る?

狂気のピアニスト、グレン・グールドと山口百恵。まったく縁の無い二人だが、意外と接点があるかも??

「レコード芸術」7月号に麻倉怜士氏の「『グールド/ゴルトベルグ変奏曲(1955)の再創造』盤を聴く」(P309)と宮澤淳一氏の「新しいピアノ演奏再生技術をどう位置づけるか」(P82)という同じテーマの二つの記事があり、興味深く読んだ。
1955年に録音された、グレン・グールドのバッハ「ゴールドベルク変奏曲」の名演奏を、現代のコンピュータ技術を駆使してデータに変換し、コンピュータによるピアノの自動演奏での演奏会を開き、それを録音したCDが発売されたという記事だった。
レコ芸(P309)麻倉怜士氏の記事を引用すると
「まず55年録音のオリジナル・モノーラル・マスターテープから、Zenphというソフトウェアによってグールドの演奏特有の音楽的属性(音程、音符の長さ、テンポ、余韻の消える速度、ペタリングなど)のデータを解析。MIDIデータに変換、ヤマハのフルコンサート自動演奏ピアノにて演奏し、その音をマイクで収録、というプロセスを経て、このディスクは制作された」
とのこと。

自分は、グレン・グールドの信奉者でもないしゴルトベルク変奏曲が好きなわけでも無いが、このレコードが名盤であること位は知っていた。
確かにピアノは、オーケストラと違ってデータ化することは容易なように思われる。またピアノのような鍵盤楽器は、コンピュータによる自動演奏が出来る数少ない楽器かもしれない。ヴァイオリンなどは到底無理だろう・・・
しかしピアノの演奏で、時間軸(テンポ)や音程(高さ=鍵盤)はコンピュータにより分析が容易だろうが、鍵盤を弾く指のタッチ(強弱)やニュアンスなどはコンピュータ化が難しいように思われる。

この記事によると、グールドのお抱え調律士?からもグールドのクセを聞いて、それをも加味したという。
しかしピアノは、オリジナルのスタインウェイではなくてヤマハのピアノを使用したとある。これはヤマハはピアノの自動演奏装置を売っているが、スタインウェイでは聞いたことが無いので仕方が無いだろう。
出来上がったデータに基いて開かれた演奏会は、ピアニストが居ない不思議な演奏会になったとか・・。しかしイベントは成功し、それを聞いたグレン・グールドの信奉者は涙を流して感激したとか・・・・
しかし、往年の名演を聞くには、その名演奏そのものの音質を改善する努力をするのが正当である。という評価もある。

そう言えば、昔、山口百恵の歌で、オリジナルテープから山口百恵の声だけを抽出し、新たなアレンジの伴奏をコンピュータで同期させた「百恵回帰」というCDが出ていて買ったことがある。
このCDは、アレンジがあまりに現代的で、あまり好きにはなれなかったが、その斬新な発想に感心したものだ。
せっかくなのでサワリを聞いてみよう。「百恵回帰」というアルバムの「イミテーションゴールド」である。(飛んでもなく話が飛ぶが・・・・)

<山口百恵「イミテーションゴールド」新録音>

オリジナルと聞き比べてにみよう。(山口百恵の録音はいまだに通用する良い音だが・・・)

<山口百恵「イミテーションゴールド」オリジナル録音>

結論として、自分はこの手法に賛成だ。もう手に入らない“珠玉”を再評価する(追い求める)方法として、この様な考え方があって良いと思う。

ニュースで「ポーランドのショパンの生家の隣に住んでいた**さん宅の古い倉庫から、ショパンが住んでいた当時、発明が趣味だった祖先がショパンの演奏風景を録音した蝋管が発見され、コンピュータによる復元が成功し、ヤマハのグランドピアノでの演奏会が開かれることになった」ナンテいう話は、無いよね・・・。あると良いけど・・・
(でもリストなら可能性があるぞ。エジソンが円筒型蓄音機を発明したのが1877年。そして1885年にベルが蝋管蓄音機を発明しているから、リストが亡くなったのが1886年だから、理屈的には間に合う!~こんなことを想像しても、何の意味も無いのにね・・・。リスト自演のラ・カンパネラか・・・・)

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