« 「運命」冒頭の聞き比べ(2/9) | トップページ | 世界のパソコンの普及率とその落差 »

2007年6月13日 (水)

「運命」冒頭の聞き比べ(1/9)

←BACK          NEXT→

この記事は、ベートーヴェンの「運命」の、指揮者による演奏方法の違いの比較のため、第一楽章の冒頭を集めた「聞き比べ」である。

楽譜は、作曲者の“意思”であり、指揮者は作曲者が“意図”していた事を“具現化”する単なる橋渡し役に過ぎない・・と、昔、何かで読んだことがある。
それに忠実なのがトスカニーニであり、テンポも非常に正確だ、とも・・・。(実際にはかなり揺れていると聞くが・・・)
それに対し、今回聞き比べてみて、つくずく指揮者による違い(=解釈の違い)で、様々な演奏になる事が分かった。
「運命」の冒頭ではないが、次の演奏をどう捉えるか・・・(後半のオーボエの演奏・・)

<「運命」第1楽章の中間部>
(0)<デイヴィッド・ジンマン/チューリヒ・トーンハレ管弦楽団:1997年録音>(0:41)

楽譜で指示したテンポ・演奏の強弱がベートーヴェンの「意思」だとすると、それを指揮者が勝手に「解釈(=自分はたぶんベートーヴェンがこのように演奏したいと思って書いたと思う・・・)」と称して変えてしまう事は、ベートーヴェンに失礼かもね・・・

しかし、色々な演奏を聴くと、確かにベートーヴェンの意思とは関係なく、自分の心に食い込んでくる演奏があるのも確かだ。
まあ楽譜で伝えられる事は限られているので、作曲者の意図の“行間”を指揮者が(解釈と称して)補填している・・・と考えれば良いか・・・?

それでは「運命」の冒頭の部分の特徴のある演奏を、以下に聞き比べてみよう。「運命」のダ・ダ・ダ・ダーの聞き比べである。
しかし、「運命」もここまで違うと、確かに人それぞれ好みが出てくる・・・。
自分は、フルベンの1947/5/27盤を別格とすると、ワルターが好きだな~。

==========================
(このblogのプレヤーは3秒ほどフェードインするので、最初に2~3秒ほど無音を入れた。

(1)<アルトゥール・ニキッシュ/ベルリン・フィル:1913年11月10日録音>(6:47)
多分「運命」の最古の録音。電気録音が出来る前のラッパ吹き込み。ゆっくりしたテンポで間(ま)が大きく、フェルマータも長い。フルトヴェングラーに似ている・・・。否、フルベンがニキッシュに似ているのだ。(1855年生まれ)

(2)<リヒャルト・シュトラウス/ベルリン国立歌劇場管弦楽団:1928年録音>(5:52)

あの大作曲家のリヒャルト・シュトラウスの指揮する「運命」である。ポリドール45014~7。自分が学生時代の1968年に録音した9.5cmのオープンテープから録った音なので、音質は大変に悪い。

(3)<フランツ・シャルク/ウィーン・フィル;1929年10月26~28日録音>(1:31)

冒頭の「ダ・ダ・ダ・ダーン」が「ダ・ダ・ダ・“ダ”・ダーン」と4つ以上あるように聞こえる。つまりウィーン・フィルともあろうものが、冒頭がそろっていない。しかしこの時代の録音は、一発勝負。この録音が歴史に残ったことからも、演奏の質の高い事が分かる。(2012/04/29追加)

(4)<ウィレム・メンゲルベルク/アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団 1937年5月4日録音>(0:55)

メンゲルベルクは凝った演奏をするので有名。SP録音。ものものしくて、音をひとつずつ置いている感じ。(1871年生まれ)

*「ニキッシュ~ワルターまでのMP3ファイル」は(ここ(30MB)に置きました。zipファイルです。ダウンロードされたい方はどうぞ。

←BACK          NEXT→

 

|

« 「運命」冒頭の聞き比べ(2/9) | トップページ | 世界のパソコンの普及率とその落差 »

コメント

素晴らしいブログですね、感動しました。
他のところのを定期購読する方法が有るみたいなのですが、パソコン初心者の私にはまだ解りません。
音楽が聴けるようにもされていて、
凄いなぁっ!って思いました。。
お気に入りにとりあえず入れましたので、ちょくちょく寄せていただきます。
ちなみにここに来れたのは、ワンちゃんのお陰です。
今は亡き愛犬のヨーキーのチャーリーに似ていたから・・・desu。

投稿: makarika | 2007年6月15日 (金) 21:03

makarikaさん

ヨーキーの縁で・・・とはビックリ。
ウチのヨーキーはメイ子と言いまして、自分には“食事の時だけ”付き合ってくれます。(何かもらえるから・・)
ぜひこのblogも、リンクでもして頂いて時々覗いてみて下さい。
しかし音楽や本の引用はなかなか扱いが難しく、下記「(社)著作権情報センター」のサイトなどで確認しながらアップしいるつもりです・・・

投稿: エムズの片割れ | 2007年6月15日 (金) 23:28

初めまして、ベートーヴェンが好きで、検索してましたら、こちらに辿り着きました。

凄いですね~ よくこれだけ集められましたね。インマゼールの運命には驚きました。

ここで私が持っている運命は、フルトヴェングラーの復活コンサートのだけでした。カラヤンやワルターの運命冒頭が聴けて嬉しく思いました。 拝聴のお礼にコメント書かせて戴きました。

また、訪問させて下さいね。
よろしくお願いします。m(_ _)mペコリ

投稿: deko | 2007年6月17日 (日) 21:54

dekoさん

今日追加したジンマンの演奏を聞いてみて下さい。あまりにベートーヴェンをバカにしてやしないかと「怒り」を感じました!??
しかし、指揮者の「解釈(=無謀)」はどこまで許されるのでしょうね・・・。(もっとも個性がないとCDも売れないけど・・)

投稿: エムズの片割れ | 2007年6月18日 (月) 23:26

はじめまして。
某m?x?から飛んで参りました。
すごいですね~、感激致しました。
特に47年のフルトヴェングラーはたっぷりと、ご馳走さまでした♪

ジンマンの演奏は、ベトファンとしてはちょっと許せない感じですね!

投稿: ミセチル | 2007年6月19日 (火) 09:01

はじめまして。
あらためて聞き比べてみると本当に違うものですね。興味深いです。何度も聞いているのに、ガーディナーのピッチが低いことに全然気がついていませんでした。
四半世紀ほど前、中学の音楽で、5番のLPの聞き比べをしてくれた先生がいました。その時、テンポが異常に速くて、4音が5音ある(ように聞こえる)演奏があったと記憶していますが、あの指揮者とオケは誰だったのでしょうね〜。今もって謎です。

投稿: gon | 2007年6月27日 (水) 00:10

ミセチルさん、gonさん

ジンマンはやはり許せませんよね。
私も子供の時から、5番の冒頭の聞き比べをしていました。
他でも、4音が5音に聞こえたという話を聞きました。
フルヴェンの47/5/27盤は、冒頭、低音が一瞬早く出ますので、それで5音に聞こえるのかな・・・とも思ったのですが、テンポは遅いので、やはり違うようです。
ナゾですね。
他の演奏も入手次第、加えて行きます。

投稿: エムズの片割れ | 2007年6月27日 (水) 20:54

突然の書き込み失礼します。教員をしています。「指揮者による違い」を生徒に示したいと思っていたところ、こちらのHPに出会いました。例として、2つほどを生徒に示したいのですがよろしいでしょうか?もしよろしかったとして、CDに録音する技術的な方法を教えてください(教室はインターネットが使えないのでCDに録音するしかありません)。あるいは、そうすること自体著作権的にダメなのでしょうか?厚かましく、かつ無知な質問ですいません。

【エムズの片割れより】
コメントありがとうございます。
ニキッシュ~ワルターまでの、50年以上前の古い録音は「「運命」冒頭の聞き比べ(1/9)」のページの一番下の行を見て下さい。mp3ファイルがあります。

投稿: ぱうぱう | 2011年4月16日 (土) 19:49

いつも感謝しています。

【エムズの片割れより】
最近は、「運命」の採集もサボっています。

投稿: 庄野直勝 | 2024年8月 8日 (木) 13:04

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« 「運命」冒頭の聞き比べ(2/9) | トップページ | 世界のパソコンの普及率とその落差 »