「月光の曲」の思い出
TVで「ぴあのピア-悲恋のピアノ・ソナタ-」という番組をやっていた。今日はベートーベンの月光の曲(ピアノソナタ第14番)である。
(このBLOGの書き出しは、全てがTVなのである・・・。また今日のBLOGは、自分の備忘録である)
思い出すと、我が人生でただ一曲だけピアノで弾けた曲が、この「月光の曲」の第一楽章“だった”。(もちろんピアノなんか習ったことないけど・・・・・)
「月光の曲」の楽譜がここにある。80円。S43(1968)年9月23日、と購入した日がメモしてある。大学3年の秋休み(試験休み)である。
独学で弾こうと思い立ったきっかけは、大学2年の時に、当時グリークラブに入っていたが、その男声合唱の練習場であった講堂で、同じ高校出身の先輩がピアノでこの曲を弾いていた。
「エッ?ピアノが弾けるの?」と聞いてみると、毎日授業の帰りに講堂に寄ってピアノを独学で練習して、弾けるようになったとか・・・
その時は、「スゴいな~」で終わったが、ちょうどこの頃、自分の帰省先の実家が引っ越し、その借りた家に古いピアノがあった。それで「これはチャンス。先輩が独学で弾けるのなら自分だって・・!」と楽譜を買ってきて、ムキになって一人ピアノに向かった、という訳。
たった3ページの曲。非常に音符の数が少なく、テンポもスローなので素人には楽な曲である。
楽譜を見ると、9月27日には2ページ目の終わりまで行った、とある。練習を始めて4日目だ。かなりペースは早い。もっとも朝から晩まで、一日中ピアノに向かっていたことを覚えている。
楽譜には、各音符に「ド」とか「ソ」とか書いてある。つまり、音符の位置と鍵盤をドレミファで関連付けて練習した。全く、独自の世界である。
そして、楽譜の最初には「ド・レ・ファ・ソ」と大きく書いてある。この曲には#が4つ付いている。その位置が「ド・レ・ファ・ソ」の場所だという訳なのである。
曲は完全に頭に入っているので、和音がおかしければ直ぐ分かる。それだけが頼りだ。「ムーンライトソナタは不協和音の名曲」とその先輩が言っていたが、その通りだ。
秋休みだったので、連日朝から晩までピアノに向かっていた訳だが、多分1週間チョイで弾けるようになったのではないか?(秋休みは長くない・・・)
もちろん暗譜。楽譜を見ながらピアノを弾く・・・ナンテいう芸当は出来るわけがない。指使いも当然勝手な自己流。途中で、右手中指が既に鍵盤を押している薬指を越えて高い鍵盤を弾かなければならなくなり、これだけはムリだと諦めた事もある。まあピアノをやっている人が見たら、さぞビックリする弾き方だろう。
その後、とにかく1回で良いのでトチらない“演奏”を録音しようと、兄嫁のピアノで録音したことがあった。しかしオープンテープでの録音だったので、今では再生のしようもない。
月光の曲と言えば、学生時代にフィリップスの「コニサー録音」というのがあって、その「月光の曲」のLPを友人に借りてオープンテープに録音した事を思い出した。
演奏はイヴァン・モラヴェッツ。コニサー・シリーズは、音にこだわったレーベルで、ピアノも録音用の特製のピアノを使ったとか。音が、ボーンと良く響いていた。
先日、この演奏(当時は「エリーゼのために」とカップルだった)のCDが無いかと、ネットで探し回ったが、もはやコニサー録音というのも死語になっているようで、見つからなかった。
この録音も、若き日の思い出だ。
何とか覚えた“唯一弾けた”月光の曲。何年か経っても、指が勝手に覚えている。ピアノが置いてあると触ってみる。少しは弾けた。しかし、もはやあれから40年。当然、もうだめだ。定年したら再チャレンジ??
話は飛ぶが、結婚する前、カミさんの家に行ったらピアノがあり、早速弾いてみたら、まあまあ弾けた。
後で聞いたら「結婚を止めようかと思っていたが、ピアノが上手だったのでまあいいか・・・・」と結婚したのだと言う・・・・(ドキッ!)
(さすがに、自分が弾ける曲が“1曲しか無い”事は知らなかったらしい。いまさら詐欺だと言われても後の祭りだ)
つまり、自分にとってこの「月光の曲」は、ヨメさんがもらえたという人生で最も大切な1曲なのである。(ヨッコイショ!)
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