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2006年11月23日 (木)

「般若心経」勝手帖-05 「五蘊」とは

しょうけんごーうん かい くー どー いっさい くー やく
照見五蘊皆空度一切苦厄

02からの続きである
観自在菩薩 行深般若波羅蜜多時 照見五蘊皆空 度一切苦厄
とは、「観音様がかつてほとけの智慧の完成を実践された時、世の中を構成する要素は5つに分類されるが、それらは皆実体が無い事を見抜き、あらゆるの苦厄を取り除いたのであった」

ここに般若心経のキーワードである「五蘊(ごうん)」と「空(くう)」が登場する。
「五蘊(ごうん)」とは、“この世を作る5つの要素”であり、それは物質(=身(色))と精神(=心(受・想・行・識)からなっている。
それらが空(固有の本性を持たない)であるから、逆に世界が成り立っている。という。

「色(しき)」とは物質であり、柳澤桂子さんは「生きて死ぬ智慧」で「宇宙は粒子に満ちています。粒子は自由に動き回って形を変えておたがいの関係の安定したところで静止します」と表現している。
つまり、宇宙は粒子の濃淡で出来ており、目の前の物体は粒子がたまたま濃い場所であり、逆に真空の空間は粒子が淡い場所だ、という。
だから物体がそこにあるのは、たまたまであって、いつまでもそこにあるわけではない。という。

「受(じゅ)」とは感受作用で、暑い・痛い・甘い・苦しい・・・・(肉体的・生理的な感覚)
「想(そう)」とは表象作用で、好き・嫌い・赤い花・・・(心に浮かぶ像を作る働き)
「行(ぎょう)」とは意思形成力で、心の働きが一定の方向に作用していく事(意志)
「識(しき)」とは認識・知覚作用で、眼・耳・鼻・舌・身・意という6種の感覚器官(六根=ろっこん)によって、色・声・香・味・触・法の6種の存在対象(六境=ろっきょう)を認識する働き。

「度一切苦厄」の「度」は、「度す」=「渡る」「渡す」つまり、向こう岸(彼岸)に渡す=救済すること、である。
つまり「すべて(一切)の苦しみ(苦)や災難(厄)のある此岸から離れて安楽の彼岸に渡る(度)」という意味。

(06.12.19追加)
では「苦」とは何か?“四苦八苦”と言うが、その意味は、
1)「生苦しょうく)」~生まれる苦しみ
2)「老苦(ろうく)」~年老いていく事の苦しみ
3)「病苦(びょうく)」~病むことの苦しみ
4)「死苦(しく)」~死ぬことの苦しみ
以上の「四苦」に次の4つを加えたものを「八苦」という。
5)「愛別離苦(あいべつりく)」~愛するものと分かれる苦しみ
6)「怨憎会苦(おんぞうえく)」~うらみや憎しみをもった相手と付き合う苦しみ
7)「求不得苦(ぐふとくく)」~欲しいのもが手に入らない苦しみ
8)「五蘊盛苦(ごうんじょうく)」~我々の生存そのものの苦しみ

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