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2006年9月10日 (日)

映画「蝉しぐれ」を見た

DVDを借りようと思っていた映画「蝉しぐれ」だが、試聴のWOWOWで放送する事が分かり、見た。(9/10 20:00~)
藤沢周平の名作だが、自分としてはNHKドラマの「蝉しぐれ」の印象があまりに強く、まさにNHKドラマの“復習”となってしまった。

幾多の名作が映画化・ドラマ化されているが、その扱いというか捉え方というか・・・が非常に難しい。
この映画も、2時間という時間の制約もあっただろうが、自分としては全ての点でNHKドラマの方が良かった、と思った。

原作が光っている場合、映画が光る場合、TVドラマが光る場合、と色々あるが、この「蝉しぐれ」だけはNHKドラマがやはり良い。

思い浮かぶ“原作が光っている”例としては、山田 宗樹の「嫌われ松子の一生」。たまたまカミさんが本を買ってきて、面白いからと押しつけられたが、アットいう間に読んでしまった。
その後映画化されたことは知っているが、何かおチャラけた雰囲気が馴染めず、映画は見ていない。せっかくの原作のイメージを壊したくないので・・・。

“映画が光っている”例としては松本清張の「砂の器」がまず頭に浮かぶ。キャストといい、映像といい、音楽といい、全てが素晴らしく、昔はサントラのLPを買って、メインテーマの“ピアノ協奏曲「宿命」”を良く聞いたものだ。

“TVドラマが光っている”例としては、この「蝉しぐれ」や宮尾登美子の「蔵」が頭に浮かぶ。(これもサントラのCDを買ったっけ・・・)
どれもNHKならではの力の入れようで、映画と変わらない作り方・・・。

本当は「後から見る方がもっと良かった・・・」というのが、楽しむ上では原理的に一番良いのだが、そううまくは行かない。
TVドラマを見て、後から出来た映画を見たら、もっと良かった・・・・。というのが“損した”という事もなく、一番平和なのだが・・・

自分は別に評論家ではなく、TVも好きだし映画も好きだが、付き合わせるカミさんとの感覚が大体同じなことだけは、助かる。
違っていると、映画に行くたびに(そうそう行くわけでは無いが)“良かった”“良くない”とケンカをする羽目になるので、困るのである。

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コメント

かなりの方がTVの方が良かったと言われますね。映画の監督(黒なんとか、失念)はTVでも何らかの関わりがあってかなりの思い入れでチャレンジしたのに。
私はTVを見ていないから何とも言えないが市川染五郎は梨園の御曹司そのものでとても下級武士の悲哀感がないのでは。高麗屋は仇となった。ただ感心したのは屋敷中の刀を集め畳に差し次々に取り替えるリアリティー、他の時代劇では滅多にない。武道の達人なれど一度も人を斬った経験の無さがかえって可笑しい。嫌いな映画「明日に向かって撃て!」の人を撃った経験のないガン・マン、ポール・ニューマンを思い出します。畳の剣は以前黒澤作品であったかな、忘却の彼方。それと映像は美しかった(劇場)。武士の一分より高ポイントをあげたい。妻子がいながら屋敷に何年か振りかで初恋の彼女と再会。障子に隠れ気味で縁側とは言え未だに慕う染五郎、許さん!、では今の女房への背信行為!。でも、まっ許すか。(なんじゃこれ)


投稿: なんだかんだ | 2008年5月 3日 (土) 17:16

なんだかんだ さん

話は変わりますが、映画の達人とお見受けして・・・、なんだかんださんの解釈を承りたく・・・。
というのは、自分の好きな映画である「いつか読書する日」の記事で書いたのですが(当blogの左上の『サイト内検索』で検索して下さい)で、『いつか』とは『いつ』なのか??
この疑問が未だ解けていないため・・。

投稿: エムズの片割れ | 2008年5月 4日 (日) 10:20

ちっとも私なんぞは映画人ではなくただのミーハーに過ぎません(笑)。それと個人的な理由(私は独身)があってこの手はちょっと辛くて苦手です。直感的に大体読めますが「CinemaScape」と言う映画サイトの町田さんのコメントがやや言い当てているような気もしますから一度ご覧になってはいかがでしょうか。
すべてには当てはまりませんが映画ってある種疑問点を残しておくのも一つの手とも思います。知らず知らずの内の人生の積み重ねから解って行くのが小説であり映画の良さですから一気に何でも理解する必要はないのでは。

投稿: なんだかんだ | 2008年5月 4日 (日) 11:26

遅レスですが、原作を読み、映画を見て原作に到底及ばない悪例として消化不良を感じた者です。でもあなたのTVドラマが良いというコメントで、試してみるかと、NHKドラマのDVDを入手して見ました。
たしかに光ってました。主役の内野氏の入魂の演技が実に良かったです。武士としての所作が実に美しく見事でした。映画版の監督の脚本であり、しかもTVドラマに飽き足らずに映画化したなんて嘘みたい。それほど雲泥の差を感じました。ありがとうございます。

投稿: KEI | 2009年4月 6日 (月) 15:03

KEI さん

コメントありがとうございます。
TVドラマの方は、ハイビジョンで録画して大事に録ってあります。これはテーマ曲も含めて、「蔵」と並ぶNHKの代表作だと思います。

投稿: エムズの片割れ | 2009年4月 6日 (月) 22:42

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