2025年4月22日 (火)

ある市議の市井の声を聞く姿勢に感動

我が家の、先日の心が明るくなったエピソードである。市議会議員にも、こんな人も居るのだ・・・という話。

先日の昼前、ドアホンがピンポーンと鳴った。カミさんが出ると「市議会議員の玉正ですが、この辺を回っていて、市政に対するご要望とかご意見があったら伺いたいのですが」と言う。
普通は訪問営業が多いので、直ぐに切るのだが、市会議員の本人と聞くと出ないわけにはいかない。カミさんが出て行って、家の前の歩道の落ち葉掃除の苦労話をしていた。

毎年秋になると11月中旬から1月中旬までの2ヶ月間、家の前の道路の向こう側にある小山の木々から降ってくる落ち葉と、歩道の街路樹からの落ち葉の掃除が大変なのである。
250422ochiba 歩道を落ち葉が覆うので、歩行者が滑るかも知れない。よって、どの家も、自宅の前の歩道の落ち葉の掃除をする。隣の家がキレイにすると、自分の家だけ放っておく訳にもいかず、結局老骨むち打って清掃してしまう。しかし、ここに引っ越してきてから37年近く。どの家の住人も70代から80代。
もう皆、トシを取っているので、毎日の落ち葉掃除が大変な重労働なのである。

普通は朝一番にするのだが、隣の80代のおばあさんは、毎晩夜に街頭を頼りに落ち葉集めをしていた。
ある日、落ち葉掃除をしていて顔を会わせた時、「もうトシを取って皆大変なので、歩道の清掃は止めたいですね。皆が一緒に止めれば目立たないよね」と話したが、結局、やはり隣がきれいになっているのに、自分の家の前だけ落ち葉だらけでは目立つので、結局掃除してしまう。
何せ、前の小山の繁っていた木々の葉が全て落ちて、空がスケスケに見えるまで全部散るので、その量は膨大。

そんな話を市議さんに話していたら、明日市役所に行くので担当者に聞いてみて、状況は電話で報告します。と言う。
そして次に日にちゃんと市議さんから電話があって、市の担当者に聞いた状況を説明してくれた。詳細は省略するが、直ぐに現地に見に行ってくれるとのこと。
そして、その調査結果をまた電話で報告してくれた。
相手が落ち葉なので、市としての対応には限度がある。それでも、今出来ることと、季節ごとに対策できることがあるので、引き続き見守ってくれるとのこと。
そして数日前、木の収集車を伴って業者が前に山の枯れた木の伐採と下草の清掃をしてくれた。

さて、ここからが本題。
我が家で、市会議員の訪問を受けたのは初めて。まず、選挙が近いのかと思ったが、次の選挙は2年後であり、選挙目当てでは無い。
素直に受け取ると、そもそも議員は国や市民の代表者である。つまりは、選挙区の民の声を行政につなぐのが仕事であるはず。
そんな当たり前の動きを、我々は忘れていた。議員は「家業」。議員は出身利益団体のためだけに動く存在。よって、一般の民には関係の無い存在。そんな風に思っていたが、今回の「事件」によって目からウロコ。

何よりも、議員本人が一軒一軒を回って、「何かありますか?」と聞いて回る努力と姿勢に敬服。
そもそも今回の我が家からの苦情は、林近くの道路に面している家では、たぶんどの家も経験している事象であり、道路管理者にとってもオワリの無い「仕方が無い」事なのだが、それでも市役所の担当者にアクションを起こし、行政としてやれることを探して行動してくれる。
そしてその動きをちゃんと市民に報告し、フォローしてくれる。これは議員が自分でわざと自分を忙しくする行動に他ならない。何もしなければ楽なのに・・・

そんな事で、今回の市議の動きについて、我が家としては感動した。
Netで、もらった名刺から活動の背景を覗いてみた。
「玉正さやか」と検索するとHPがあった(ここ)。

冒頭に
「「小さな声に丁寧に耳を傾ける」
これを出発点に市民に寄り添った政策をすすめていきます!」
とある。なるほど、このスタンスの一環だったか・・・

名刺と一緒のチラシにもこうあった。
250422tamasyou 「こんにちは。
本日は市政へのご意見をお伺いし、生活者ネットワークの活動をご紹介したく、資料を置かせていただきました。
生活者ネットワークは市民の声を税金の使い方に反映させるため、はつらつレポートや、はつらつタイム (ミニ集会)を通じて情報を届け、ご意見をいただきながら活動しております。
レポートをお読み頂き、ご意見やご感想をお寄せ頂ければ幸いです。
八王子・生活者ネットワーク 市議会議員 玉正さやか」

そしてこの議員は「八王子・生活者ネットワーク」(ここ)という団体に属しているらしい。
そのHPにあったこの団体の姿勢にビックリ。

<八王子・生活者ネットワーク3つのルール>
ルール1:議員は原則2期8年でローテーション
交代制で議員を職業化・特権化せず、世代交代を進めることで参加の層を広げます。
任期を終えた議員は、市民政治を広げるための活動や地域活動などに、その経験を活かします。

ルール2:議員報酬は市民の政治活動資金に
生活者ネットワークの活動はカンパで支えられています。議員も報酬に応じた寄付(カンパ)を行い、市民の政治活動資金に活かします。
お金の流れは公開し、政治資金の透明化をはかっています。

ルール3:選挙はカンパとボランティアで
選挙は、政治に参加する入口です。みんなでお金(カンパ)と、知恵や労力(ボランティア)を出し合い、選挙を行います。」ここより)

つまり、議員は個人としての地位ではなく、あくまで同じ志を持つ団体の代表者、という位置付けらしい。
議員報酬も個人では受け取らない・・・。
参った。こんな議員活動もあるのだ。

今まで、単に政党の名前だけで投票していたが、今後は、このような実際の活動をみて投票しようと強く思った。(議員の実名を挙げるかどうか迷ったが、選挙の時期でも無いので記載した)

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2025年4月19日 (土)

訪問診療医 岡山容子さんの話

今朝のNHKラジオ深夜便で、「明日へのことば「ゆれる心にとことんつきあって」訪問診療医 岡山容子」(2025/04/19放送)を聞いた。

トシのせいか、自分は途中覚醒が多い。平均毎晩3回は目を覚ましているのではないか・・・
今朝も、フト目を覚ますして、スマホのradikoでNHKを再生すると、4時のニュースをやっていた。何気なくそのまま聞いていると、今日の「明日へのことば」は訪問診療医の岡山容子さんの話だった。

<「ゆれる心にとことんつきあって」訪問診療医 岡山容子>

当サイトの記事は、この頃ラジオからの話ばかりである。
新聞を読んでも、不愉快なニュースばかり。TVも見なくなった。NHKスペシャルや、ETV特集など、前は欠かさず見ていたが、内容が重く、段々疎遠になってしまった。

今回の岡山容子さんの話も終末医療の話なので重たいが、何か心に残った。
180188 現在、岡山さんのクリニック「おかやま在宅クリニック」(ここ)では120人もの人を診ているという。HPを見ると医師は4人居るらしいので、1人当たり30人か・・・
しかし、やはり終末期の人が多いので、この放送の最後にナレーターが言っていたが、収録はクリニックで、そしてその途中にも電話が入り、途切れ途切れの収録だったらしい。よって、話が中断し、ナレーションによってまた再開するというインタビュー。

しかし内容は極めて明快で、分かり易い。
そして、母親が亡くなる時のエピソードが面白い!?
1度目に危篤に陥ってまさに呼吸が止まりそうになった時、父が「よし子~! 死ぬなよ~!」と叫んだという(上の放送の17分頃)。この期に及んで何でやねんと思って、「お母さん~! 逝って良し!」と叫んだという。しかしそれで呼吸が戻って意識も戻ったという。
その2週間後に再度脳出血が起こって、言葉も出なくなった。その死の間際、今度父が言ったのは「よし子~! 愛してんど~!」。母もちゃんとその言葉に応えたという。

人は死に際し、耳だけは聞こえているという。自分も両親の死に立ち会ったが、看護婦さんから「何か声を掛けて下さい」と言われても、誰も何も言えなかった。
人は寝ていても耳は生きている。不思議なことだ。でも耳が遠い人は、それなりにしか聞こえないのだろうが・・・

岡山さんのクリニックのHPを覗くと、訪問診療についての解説がある。
「・訪問診療の実際について
医師がご自宅で患者様の体調をチェックし、処方をいたします。定期的にまたは必要時に血液検査をし健康状態をチェックします。
診療の中で、専門的な医療=レントゲン検査、超音波検査、その他画像診断など=が必要になれば専門の医師に紹介します。必要であれば入院を勧めます。
ご入院された場合も退院後は入院中の主治医と連携して治療を継続します。
ご高齢者は、その虚弱な状態から、「ときどき入院・ほぼ在宅」というリズムになりがちです。そのご高齢者の特性をよく理解し、入院と在宅療養が切れ目なく行われるように支えていきます。」ここより)

上の放送の収録がクリニックで行われた事でも分かるように、常に気を抜けない。いつ何が起こるか分からず、直ぐに対応する事が求められる大変な仕事。そして、まさに麻酔科医が活かされる仕事。
そう言えば、自分の近くのかかりつけ医でも、昼休みは訪問診療をしていると聞いたことがあるが、詳細は知らない。

話は飛ぶが、今日、一通のメールが飛び込んだ。昨日、現役時代の会社の役職者の親睦会が開かれたといい、その写真が送られて来た。自分はその会に入っていないが、その会のHPを覗くと、物故者のリストがあった。ほとんどが80代で亡くなっているが、60代で亡くなった人も数人居る。自分の知っている人、同じ課だった人も・・・

自分にも、そろそろ順番が回ってくる頃。さてその時は、やはり自宅で死にたいと思う。
しかしそれには誰か世話をしてくれる人が必要。
よくあるように、夫が先に逝けばOKだが、こればかりは分からない。

クリニックのHPを見ると、岡山さんには「それでも病院で死にますか」という著書があるという。手に入れて読んでみようかと思った。
自然の営みである「死」。それを自分にも実感させてくれたお話であった。
(それにしても、自分の家が京都でないのが、返す返すも残念!!)

追)
この番組は、2025年3月24日に放送されたETV「こころの時代」「ゆれる心にとことんつきあって 訪問診療医・岡山容子」(ここ)から再編集した番組だったらしい。
Youtubeに載っている番組を見たが、やはり画面付は分かり易い。(ただし、TVの画面を直接撮影したものなので、音質は悪い)

 

 

 

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2025年4月 8日 (火)

脚本家・中園ミホさんのインタビュー/朝ドラ「あんぱん」

NHKラジオ深夜便で脚本家・中園ミホさんのインタビューを聞いて、先日始まったNHKの朝ドラ「あんぱん」を見始めてしまった。

中園ミホという名は、なぜか覚えていたが、「ドクターX~外科医・大門未知子~」で聞いた名前だった。なるほど・・・
「ドクターX~外科医・大門未知子~」は、これも全部見てしまおうと、昨年の10月頃にAmazonでシリーズの全編を見た。初期の作品には、今自分が通っている大学病院がロケに使われている事もあって、何か親近感??
この番組で知った中園ミホという名だが、今調べてみると中園ミホがこの作品の全編を書いたわけでは無かったらしい。全体の7~8割??

そして、このNHKラジオ深夜便を聞いて改めて中園ミホさんを確認した。
この番組は、今年の1月1日に放送された「新春インタビュー」のアンコールだった。

<NHKラジオ深夜便「脚本家・中園ミホさんのインタビュー」>(2025/01/01放送・2025/04/01再放送)

言うまでもなく、NHKの朝ドラは、歴史もあり、視聴率も高いNHKの看板番組。特に老人世代での視聴率はかなり高いのではないか?
でも我が家ではあまり見ていない。最近見たのは2024年前期の「虎に翼」。日本で最初の女性法曹の話だが、2ヶ月ほど見て、臭く感じたので止めてしまった。

250408ampan さて今回はどうだろう?
たまたまウチのカミさんがマンガ(イラスト)を描くのが好きなこともあり、モデルが「やなせたかし」という漫画家なので、カミさんも一緒に見るという。
放送が始まってもう2週目に入っているが、そこはTVのタイムシフトの便利さ。最初から見ることが出来る。

今年の大河ドラマも、出演者がどうもフィットしないので見ていない。昨年の「光る君へ」は、本当に久しぶりに最後まで見たが、自分的には珍しい。
毎日の15分。時間がもったいないと感じることもあるが、まあ、たまには何も考えずに見てみるか・・・?
改めて認識した「ドクターX」の中園ミホさんの話である。

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2025年3月17日 (月)

いしだあゆみさん死去~「あなたならどうする」

歌手で女優のいしだあゆみさんが亡くなったという。享年76。
自分と同じ歳の人の訃報は、はやりショック。
まだまだだ!と思っている所に訃報が届くと、次は自分の番かと・・・。

「女優 いしだあゆみさん(76)死去 『室井慎次』が最後の作品に 『北の国から』で純の母を好演 『ブルー・ライト・ヨコハマ』が大ヒット 紅白歌合戦にも出場」

2025年3月17日、女優いしだあゆみさんが亡くなったことを所属事務所が発表しました。76歳でした。
いしださんは『ブルー・ライト・ヨコハマ』が大ヒットするなど、紅白歌合戦に10回出場。
女優としては、『男はつらいよ 寅次郎あじさいの恋』や『北の国から』などの名作に出演。
2024年に公開された『室井慎次 敗れざる者』『室井慎次 生きる続ける者』が最後の作品となりました。

国民的女優 いしだあゆみさん(76)死去 『室井慎次 生き続ける者』が最後の作品に
所属事務所によりますと、いしださんは2025年3月11日に甲状腺機能低下症のため、東京都内の病院にて永眠。
葬儀については近親者のみで執り行い、お別れの会なども行う予定はないということです。

250317ishida いしださんは1948年生まれ、大阪府出身で1964年に歌手デビュー。
1968年12月発売の楽曲『ブルー・ライト・ヨコハマ』は100万枚を超える大ヒットとなり、NHK紅白歌合戦にも10回の出場を果たしました。

その後、俳優に主軸を移し、映画『青春の門 自立編』(1978年)や『男はつらいよ 寅次郎あじさいの恋』(1982年)『火宅の人』(1987年)などで数々の賞を受賞。
テレビドラマでは『金曜日の妻たちへ』が大ヒットし、社会現象を巻き起こす程に。『北の国から』では、純(吉岡秀隆)の母を好演しました。

1989年にはNHK連続テレビ小説『青春小説』のヒロインを務めるなど、国民的女優に。

2003年には、いしださんの家族をモデルにしたNHK 朝の連続テレビ小説「てるてる家族」が放送され、石原さとみさんがヒロインを務めています。

2021年には旭日小綬章を受賞。

2024年に公開された『室井慎次 敗れざる者』『室井慎次 生き続ける者』では柳葉敏郎さん演じる室井の故郷・秋田にある商店の店主・市毛きぬを好演。いしださんにとって最後の出演作品となりました。

事務所発表 全文
いしだあゆみ 永眠のお知らせ

弊社所属アーティスト いしだあゆみ は、令和7年3月11日4時48分、甲状腺機能低下症のため、東京都内の病院にて76歳で永眠いたしました。

ここに謹んでお知らせ申し上げますとともに、生前中に賜りましたご厚誼に心より御礼申し上げます。

葬儀につきましては近親者のみで執り行われましたことを併せてご報告申し上げます。
また、誠に勝手ながらご香典、ご供花、ご供物の儀は固くご辞退申し上げます。
お別れの会なども故人の遺志により行なう予定はございません。

これまでいしだあゆみを応援してくださった皆様に、心より感謝申し上げます。」2025/3/17(月) 15:01配信(ここより)

上の記事にもあるように、歌手としてのヒット曲はやはり「ブルー・ライト・ヨコハマ」が有名。でも今日は1970年3月25日にリリースされた
「あなたならどうする」を聞いてみよう。

<いしだあゆみの「あなたならどうする」>

「あなたならどうする」
  作詞:なかにし礼
  作曲:筒美京平

嫌われてしまったの 愛する人に
捨てられてしまったの 紙クズみたいに
私のどこがいけないの それともあの人が変わったの
残されてしまったの 雨降る町に
悲しみの眼の中を あの人が逃げる
あなたならどうするなたならどうする
泣くの歩くの 死んじゃうの
あなたなら あなたなら

私のどこがいけないの それとも誰かを愛したの
忘れられてしまったの 愛した人に
何が出来るというの 女がひとりで
あなたならとうする あなたならどうする
泣くの歩くの 死んじゃうの
あなたなら あなたなら

歌詞は何ともたわい無い内容だが、「あなたならどうする」と聞かれるとドキッとする!?

女優としてのいしだあゆみも、色々な場面を思い出す。
自分的には、やはりフジテレビの「北の国から」で田中邦衛さん演じる主人公・五郎の妻玲子の役が印象に残る。
五郎の田舎くさいキャラクターに対し、あまりにも都会的な妻の玲子役。
こんなに違う二人なら、離婚も仕方が無いか・・・なんて思ったり・・・。(ドラマ中で、何で離婚したかは忘れたが)
しかし、あの寂しげな列車で別れのシーンは印象的だった。(再放送したら見るのに!!)

でも70代での死去はやはり早い。80歳だと仕方が無いか・・・と思うが、ここ数年の印象は違う。
自分も親父が亡くなった歳にあと3年。
どうも親の亡くなった歳は、気になるものである。
森山良子のように、同じ歳でもTV CMで良く見る人も居る反面、亡くなる人もチラホラ。
何とも自分の歳を意識してしまうニュースではあった。

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2025年3月12日 (水)

「食と健康をつなぐサイエンス・栄養疫学入門」東京大学名誉教授 佐々木敏さんの話

NHKラジオ第2のカルチャーラジオは、いつも愛聴しているが、今放送中の東京大学名誉教授 佐々木敏さんの「食と健康をつなぐサイエンス・栄養疫学入門」もなかなか面白い。
後で書くが、「しかし・・・」なのである。

<食と健康をつなぐサイエンス・栄養疫学入門(1)疫学・栄養疫学とはなにか>2025年1月3日放送

食と健康に関する情報は、マスメディアやネット、本、雑誌などで日々発信されています。「○○を食べると健康になる」といった類の情報です。しかし、科学的根拠が乏しい情報は、私たちの健康に多大な被害を及ぼしかねません。そこで重要なのが「栄養疫学」の観点。「栄養疫学」研究の第一人者、東京大学名誉教授の佐々木敏さんが、健康的な食生活のための最新情報を13回シリーズで紹介します。初回は疫学の意義などを語ります。

< (2) 「朝食欠食と学校の成績」>2025年1月10日放送

東京大学名誉教授の佐々木敏さんの解説でおおくりする「栄養疫学入門」。第2回は疫学調査において陥ることがある、「因果の逆転」を取り上げます。二つの事象の因果関係を分析する際、原因と結果が逆のように見える場合があります。佐々木さんは原因と結果の矢印の向きが正しいのかどうかをよく調べないと、疫学ではこうした誤解が起きるケースがあるといいます。朝食と学力の関係やチョコレートと肥満の関係などを例に語ります。

< (3) 「栄養健康情報はここでゆがむ・情報バイアスという落とし穴」>2025年1月17日放送

毎日のようにネットやテレビ、広告や雑誌などで「○○を食べると健康になる」といった栄養健康情報を目にします。その都度、私たちは食べ物や食べ方を変えたりすることがありますが、果たしてそれは改善につながっているのでしょうか?今回は「栄養健康情報はここでゆがむ・情報バイアスという落とし穴」と題し、東京大学名誉教授の佐々木敏さんが具体的な例をあげながら、先入観によって陥りがちな、ある危険性について語ります。

<(4) 「揚げ物と高コレステロール血症」>2025年1月24日放送

健康診断や人間ドックの検査結果に「コレステロール値が高め」と書かれていて、気になることがあります。一体、何を食べ過ぎて、こうした結果が出たのか?また、何を食べると改善できるのか?疑問が出てきます。今回は東京大学名誉教授の佐々木敏さんが、「コレステロール」と食事で摂取する「油」との関係性について、具体的な食材から考えます。脂質異常症にならないために知っておきたい食生活の知恵をわかりやすく解説します。

<(5) 「あなた自身の減塩の必要性」>2025年1月31日放送

これまで日本人の塩分摂取量は多いといわれてきましたが、現状はどうなのでしょうか?改めて、栄養疫学の最新研究から考えます。食塩は体に必要な栄養素の一つですが、過剰摂取は高血圧、胃がん、心疾患のリスクを高めます。世界保健機関WHOは、塩分摂取量の目標を成人で1日5グラム未満としています。東京大学・佐々木敏名誉教授が、高血圧対策に減塩と降圧薬ではどちらが効果的か?などクイズ形式でわかりやすく解説します。

<(6) 「お酒に適量はあるか?」>2025年2月7日放送

「お酒に適量はあるか?」と題して、お酒が及ぼすさまざまな影響について考えます。例えば、健康な人が1日平均で日本酒を1合~2合飲んでいた場合に、「かかりやすくなる病気」と「かかりにくくなる病気」があるといいます。その病気とは?東京大学名誉教授の佐々木敏さんが、クイズ形式でわかりやすく解説します。それ以外にもお酒の種類によって体への影響は変わるのか?おつまみのメニューの影響などについてもお答えします。

<(7) 「速食いは太る」は本当か?>2025年2月14日放送

今回は「速食いは太る」は本当か?というテーマについて考えます。体格指数BMIは体重(kg)を身長(m)で2度割って求めますが、BMIが25以上の場合、肥満とされます。肥満は生活習慣病、高血圧、脂質異常症、糖尿病などのリスクを高めます。果たして「速食い」と肥満とは関係があるのでしょうか?「速食い」は健康に悪い影響をもたらすのでしょうか?東京大学・佐々木敏名誉教授が最新の栄養疫学調査からお答えします。

< (8) 「地中海食と和食・究極の健康食を探る」>2025年2月21日放送

第8回「地中海食と和食・究極の健康食を探る」では、長年にわたり健康的な食事として注目されてきた地中海食を取り上げます。東京大学名誉教授の佐々木敏さんが、地中海食に含まれる材料で、日本人に不足しがちな食材について解説します。栄養疫学の調査結果からその食材とは「果物」と「全粒穀物」(精製度の低い穀物)だったといいます。地中海食によく使われる食材のとり方9つのポイントや和食との比較などについて語ります。

<(9) 「野菜『1日に350g』の根拠はどこにあるのか」>2025年2月28日放送

第9回「野菜『1日に350g』の根拠はどこにあるのか」では、東京大学名誉教授の佐々木敏さんが、野菜の食べる量を1日300gでもなく、400gでもなく、350gとしている理由について考えます。欧米では野菜と果物を合わせて、1日に約400gとることが推奨されているといいます。その方が寿命を考えた場合、総死亡率が下がるからです。栄養疫学の観点で、日本と欧米を比較しながら野菜のとり方や必要性を解説します。

<(10) 「食べる順序・『野菜先食べ』と糖尿病」>2025年3月7日放送

第10回「食べる順序・『野菜先食べ』と糖尿病」では、東京大学名誉教授の佐々木敏さんが、栄養疫学研究の難しさについて解説します。糖尿病の悪化を防いだり、予防するための食事法について、実際に患者さんの協力のもとで行われたいくつかの研究例を取り上げます。『野菜先食べ』は、本当に糖尿病の予防や改善に有効なのでしょうか?栄養疫学の「観察研究」や「介入研究」などの見地から効果的な食事のとり方について考えます。

<(11) 「全粒穀物と生活習慣病予防・なぜよさが広まらないのか」>2025年3月14日放送

第11回「全粒穀物と生活習慣病予防・なぜよさが広まらないのか」栄養疫学的に全粒穀物と精製穀物の違いは、どこにあるのか考えます。お米では、玄米と白米の違いになりますが、大規模な比較調査が行われました。全粒穀物を食べている人は、精製穀物を食べている人よりも、生活習慣病の発症率や総死亡率が低かったといいます。なぜ低いのか?どのくらいの量を食べればよいのか?など東京大学・佐々木敏名誉教授が解説します

<(12) 「たんぱく質とカルシウムの飽和点を探る」>2025年3月21日放送

体に必要な栄養素が「足りているのか」「足りていないのか」を見極める際に、必要な飽和点という考え方について解説します。今回は、東京大学名誉教授の佐々木敏さんが「たんぱく質」と「カルシウム」を例に、世界で行われた栄養疫学研究から、日本人にとってこの二つの栄養素は、果たして足りているのかどうかを考えます。いずれの栄養素も多すぎても、少なすぎても体には悪影響が出てきます。適切なとり方のコツを伝授します。

<(13) 「独居と孤食とうつ-なにを食べるか・だれと食べるか」>2025年3月28日放送

高齢者で独居になると、社会との絆も希薄になりがちで「うつ病」を発症するケースも出てきます。今回は食品栄養素の問題ではなく、食事行動について考えます。1日3食、誰かと食事をする人と孤食で済ます人とでは「うつ病」の発症率に差はあるのか?また、その時に食べるメニューに違いは出るのか?さらに、料理をする人と料理をしない人における寿命の差など、東京大学・佐々木敏名誉教授が「行動栄養学」の観点から解説します。

250313sasakisatoshi 言うまでもなく、人間の体は食べ物で出来ている。いや、地球上のあらゆる生物はインプットとしての食べることが、生きること。それゆえ、TVなどで見ても、動物は常に食べ物を探し、常に食べている。また、何らかの原因で食べ物を探せなくなった動物は、即死を意味する。
そんな重要な食べ物だが、色々とデータを示されて「こうする方が良いよ」と言われても、この歳になるとなかなか腰が重い。
914fmjbkpjl_sl1500_ ピリピリと食べ物に気を遣っても、今さら?という気がする。
食べたくも無いものを、体に良いからと、我慢して食べる。それはかえってストレスになるのでは??
まあ「聞かなかったことにしよう」が今の自分!?

先日、「欧米にはなぜ、寝たきり老人がいないのか」(ここ)という記事を書いた。
答えはここにあるように思う。つまり、食べられなくなったら死を迎える。ということ。

最近よくカミさんと話す。
「おいしいものを食べたいね~」
体力的に海外旅行も行けない。温泉旅行も面倒くさい。後の楽しみ、というと、食べることくらいしかない。でも、色々外食しても、「また来たい」と思えるようなレストランはなかなか「無い」。
まあ、寂しい老後ではあるが、上の放送を聞きながら、若い時なら、また働き盛りの亭主の食事をつかさどる主婦ならいざ知らず、我々喜寿世代の連中には、ちょっと厳しい話だな、と思いつつ聞いた放送ではあった。

●メモ:カウント~1450万

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2025年2月21日 (金)

司馬遼太郎の「街道をゆく」全43巻を読んだ

司馬遼太郎の「街道をゆく」全43巻を読んだ。やっと?読み終えた!
自分の読書メモによると、初めて「街道をゆく 近江散歩」を読み始めたのが、2022年11月2日なので、それから2年半。もちろんあっちこっちに浮気し、残りの25冊をまとめて読んでしまおうと思ったのが2024年11月8日(ここ)なので、「街道をゆく」三昧はここ3ヶ月だった。
前にも書いたが、他の小説と違って、この紀行記は「参考文献」?が多い。つまり、本文以外の参考図書が多いのだ。代表的なのが、朝日の編集者による、当時の司馬さんと同じ道をたどる紀行。それは今でも続いているので、自分も相変わらず愛読している。

前にも書いたが、自分が本文を読む時は、いつもタブレットのGoogleMapで、場所毎にアップされている写真を見たりして現地をバーチャル体験。そして本文を読み終えるとNHKのドキュメンタリー番組を見る。そしてその舞台裏の本「司馬遼太郎の風景」を読む。そして、上に書いた各種の参考図書=ムックを読む。
よって、ひとつの巻を読むのに、結構時間が掛かるのである。

さて読み終えた感想だが、内容的に面白い部分と、そうで無い部分に分かれる。つまり歴史上の人物についての話は面白いが、一緒に旅をした同行者についての話は、自分にとってはあまり興味が無かった。つまり個人的な付き合いの相手の経歴を細かく書かれても、あまり興味が無い。よって最後の巻に向かう度に、それが気になり、個人的な人物評については読み飛ばすようになった。

最後の未完になった第43巻「濃尾参州記」は、いつもの1/3くらいを書いた所で、終わってしまい、誠に残念。この巻は「濃尾参」、つまり濃尾、尾張、三河の3州を扱ったもの。
もっとも人気がある、信長、秀吉、家康が主人公なので、一番親しみやすい。
それが司馬さんの死によって、未完となってしまった。

よく言われているように、司馬さんの知識の豊富さは、膨大な本からの知識から来ているらしい。膨大な読書から、一旦頭に入った知識を、その都度、テーマによって頭からチョイスしてアウトプットする。そんな形なのではないかと想像する。
だからどんな切り口で講演を頼まれても、膨大な頭のストックからのチョイスなので、何でも対応出来る。

050221kaidou ムックで発売されている番外編(同行者の話)でよく出る話に、夕食後の司馬さんの車座の「独演会」の話題がある。旅に出て、泊まったホテルで、夕食後、ホテルのバーなどで、必ず司馬さんの独演会(お話)があり、その年中行事が何とも楽しみだったという。
同行画家の安野さんは「ほとんどアラビアンナイトの世界である。私はひそかに『司馬千夜一夜物語』だなと思っている」と書いている。
自分が思うに、司馬さんは皆に話をしながら、今日一日の取材を自分なりに頭で整理していたのではないかと思う。

そしてNHKのドキュメンタリー番組が秀逸。
第1シリーズは1997年10月12日~1998年3月8日に「NHKスペシャル」で6回、同じく第2シリーズは、1998年10月4日~1999年3月7日に6回、そしてEテレで、第3シリーズ(新シリーズ版)として1999年4月10日~2000年3月18日に48回放送された。
音楽は冨田勲だが、このテーマが何とも素晴らしい。いくつか聞いてみよう。

<NHK「街道をゆく」1>


<NHK「街道をゆく」2>


<NHK「街道をゆく」3>


<NHK「街道をゆく」Eテレ版>


このうち、NHKスペシャル版は、既にBS4Kで素晴らしい画質で再放送された。Eテレ版は、まだだが、これも高画質になって再放送されるのを期待したいもの。
何せ、この作品は、本もNHKの番組も、永遠の生命を持つ作品だと思うので。

(関連記事)
司馬遼太郎の「街道をゆく」に凝っている 
司馬遼太郎の「街道をゆく」の再スタート 

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2025年2月 4日 (火)

仲宗根美樹とボニー・ジャックスの「ユキコの灯」

先日、こんな歌を聞き、バックの男声コーラスが気に入った。
調べてみると、ボニー・ジャックスだという。なるほど、上手なわけだ。

<仲宗根美樹とボニー・ジャックスの「ユキコの灯」>

「ユキコの灯」
  作詞:横井 弘
  作曲:岩代浩一

白銀けむる アルプスの
小屋にやきしい 娘ひとり
その名はユキコ ともす灯に
夢もゆれるよ 夜空遠く

いとしい人の 眠る谷
泣かずまもって 生きる花か
その名はユキコ ともす灯に
夢もゆれるよ 夜空遠く

雪崩をきいて 目をとじて
山の幸せ 祈る娘
その名はユキコ ともす灯に
夢もゆれるよ 夜空遠く

250204yukiko この歌は1962年(昭和37年)の発売だという。63年前の歌。
3拍子の歌だが、これも自分の好きな叙情歌のジャンルに入るのではないか?
このサイトに自分の好きな叙情歌を幾つも挙げているが、抒情歌にはどうも3拍子の歌が多いような気がする。

仲宗根美樹のこの歌が、当時どのくらいヒットしたかは分からない。仲宗根美樹というと「川は流れる」(ここ)があまりに有名で、他の曲がこの歌に埋もれてしまったのかも知れない。
しかしwikiを開くと、「川は流れる」が1961年の発売だが、仲宗根美樹は1971年まで54枚ものシングルを出していた。
そして2024年(令和6年)2月24日、肺がんのため、東京都渋谷区の病院で死去したという。享年79。たぶん新聞にも載っただろうが、気が付かなかった。

wikiを読んでみると、その人生は、1971年に引退した後、ショッピングセンターを 出したり、銀座に美容サロンを出したり、倒産して自己破産したり、はたまた銀座でクラブを経営したりと、波瀾万丈の人生だったようだ。

そんな人生に比べると、自分の人生など可愛いもの?
さて、死ぬ時、自分の人生を振り返って、どんな感想を持つのか・・・
先日のアメリカでの飛行機事故。自分の人生を振り返る暇もなく終える人も居るが・・・

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2025年1月24日 (金)

帚木蓬生の短編「顔」

先日、NHKラジオ深夜便のラジオ文芸館で、帚木蓬生(ははきぎほうせい)の短編「顔」の朗読(2025/01/13放送)を聞いた。
その残酷な話にショック!

<帚木蓬生の「顔」>

この物語に出てくる病気は「致死性正中肉芽腫」というもの。
その病変をこの小説ではこう表現している。
「そして実際にそのとおりの光景が、彼女の顔のまん中に現出していた。
250124fuukabyoutou 炎症性の病変はまず鼻腔から始まり、その周辺の組織を次々と壊死させていったのだろう。耳鼻咽喉科、そして眼科でも、その病変の進行を止められず、組織の腐った部分を後手後手にデブリードマン(切除)していくしかなかったのだ。その過程で鼻が失われ、ついで両眼球までが剔出(てきしゅつ)されたのに違いない。
サングラスを掛ける耳、物を咀嚼する口、そして額だけは残されているものの、顔の中央が根こそぎえぐりとられていた。
ぽっかりあいた穴を見つめながら、解剖学的にどういう状況かを頭のなかで冷静に考え、また一方で、ここまで顔がなくなっても命には別条ないのだと妙な感慨にとらわれた。」(「風花病棟」「顔」p176より)

まだ52歳の女性の顔が腐って無くなっていく・・・
鼻も、頬も、そして眼球も除去された顔。
もはや頭蓋骨だけとなった顔は、怖ろしくもある。その患部のケアを一人でしている夫。

そして、その看病している夫は言う。「でも家内は、自分の顔が見えなくて、幸運といえば幸運でした」

この「致死性正中肉芽腫」という病気をNetで検索してみると、こんな記述がある。
「致死性正中肉芽腫症は、鼻腔や咽頭領域に発生する悪性リンパ腫の一種で、進行性鼻壊疽とも呼ばれていました。壊死を伴い浸潤性の発育を特徴とし、治療抵抗性の疾患とされてきました。
致死性正中肉芽腫症は、現在は鼻性NK/T細胞リンパ腫という名称で呼ばれています。

<病因>
ヘルペスウイルスの一種であるEBウイルス(Epstein-Barr Virus)の持続的な感染により発症する

<症状>
顔面正中部に沿って進行する破壊性、壊死性病変を主体とする

<治療>
放射線治療と細胞障害性抗がん薬を用いた薬物療法を同時に行うことや、複数の細胞障害性抗がん薬を用いて行う多剤併用療法が行われる
造血幹細胞移植が選択肢になることもある」

極めてまれな症例だと思うが、ある文献によると、鹿児島大学耳鼻科では6年間で14例を経験した、とある(ここ)。

この話を聞いて、昔の「愛と死をみつめて」(ここ)を思い出した。この話も実話として顔が無くなっていく病気で、21歳で亡くなった女子大生の話だった。
wikiによると、この時の病気は「軟骨肉腫」だという。

それにしても、このようなリアルな短編を書けるのは、著者が現役の医師であればこそ、ではないか。

話は飛ぶが「帚木蓬生」という名が読めない。
wikiによると「ペンネームの帚木蓬生は『源氏物語』の第2帖「帚木(ははきぎ)」と第15帖「蓬生(よもぎう)」から取ったものである」とある。
よくもまあ、こんな難しい名にしたもの・・・

「顔」のあまりのショックに、この短編が載っている「風花病棟」など数冊の「帚木蓬生」の本を買ってしまった。
さっき「風花病棟」を読み終わったが、収録されている10編のどの短編も、医師を主人公にした淡々とした小説。
ヘンにひねらず、いわゆる良医の素直な話が何とも好ましい。
初めて読んだ帚木蓬生だが、手に入れたあと数冊を一気に読んでみようと思う。

それにしても、人間は、いや生物は必ず死ぬ。
何が原因で死ぬかは分からない。自分で選ぶことも出来ない。
自分が死に直面した時、上のような残酷な死に方でないことをラッキーと思うことは、難病の人に失礼か!?

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