« “自民党の歴史的惨敗”にとどめを刺した珍言・暴言集 | トップページ | 「茶色の朝」迎えないように~「共謀罪」法施行 »

2017年7月10日 (月)

成年後見制度の「保佐人」は必要か?

昨日の朝日新聞の「声」の蘭に、こんな投稿が載っていた。
「(声)母の財産管理、監督に14万円とは
     主婦(神奈川県 64)
 私は4年前、現在87歳の母の保佐人になりました。判断能力が著しく不十分な人にかわり財産を管理する成年後見制度に基づき、母の預金と年金収入について月々の支出報告を裁判所に提出します。
 ところが昨年5月、流動資産が一定以上の人の保佐人には原則的に「監督人」をつけると裁判所から意向調査がありました。母がこつこつためた預金が基準額を超えていたのです。「監督人は希望しない」と回答しましたが、7月に裁判所から「司法書士を選任した」と通知があり、電話で数回、面会で1度やりとりしたその方から今年6月、「年次報酬14万円が裁判所に認められた。支払ってほしい」と連絡がありました。
 私あての裁判所の書面には「適切に事務が行われていると確認できた」とあったのに、その監督に14万円とは。問題ない家に訪問販売が来て、「いらない」と答えたのに簡単な目視点検で「14万円です」と言われたような感じです。監督人がついた理由の説明もなく、今までの努力が否定された思いです。私は保佐人としての報酬は受け取っていません。14万円は母の年金2カ月分以上に相当します。」(
2017/07/09付「朝日新聞」p8「声」より)

自分は、特に成年後見制度について勉強しているわけではない。しかし、上の事例を読むと、何かしっくり来ない。何かヘンだと思う。
改めてNetでググってみると、「保佐人」や「保佐監督人」について、それぞれこんな例が載っていた。

<「後見」を利用した成年後見制度モデルケース>
支援される人の状況:アルツハイマー病
支援する人(後見人):支援される人の妻
 本人は5年程前から物忘れがひどくなり、勤務先の直属の部下を見ても誰かわからなくなるなど、次第に社会生活を送ることができなくなりました。日常生活においても、家族の判別がつかなくなり、その症状は重くなる一方で回復の見込みはなく、2年前から入院しています。
 ある日、本人の弟が突然事故死し、本人が弟の財産を相続することになりました。弟には負債しか残されておらず、困った本人の妻が相続放棄のために、後見開始の審判を申し立てました。
 家庭裁判所の審理を経て,本人について後見が開始され,夫の財産管理や身上監護をこれまで事実上担ってきた妻が成年後見人に選任され、妻は相続放棄の手続をしました。

<「保佐」を利用した成年後見制度モデルケース>
本人の状況:中程度の認知症の症状
支援する人(保佐人):長男
 本人は1年前に夫を亡くしてから一人暮らしをしていました。以前から物忘れが見られましたが、最近症状が進み、買物の際に1万円札を出したか5千円札を出したか、分からなくなることが多くなり、日常生活に支障が出てきたため、長男家族と同居することになりました。
 隣県に住む長男は、本人が住んでいた自宅が老朽化しているため、この際、自宅の土地、建物を売りたいと考えて、保佐開始の審判の申立てをし、併せて土地、建物を売却することについて代理権付与の審判の申立てをしました。
 家庭裁判所の審理を経て、本人について保佐が開始され、長男が保佐人に選任されました。
 長男は、家庭裁判所から居住用不動産の処分についての許可の審判を受け、本人の自宅を売却する手続を進めました。

<「補助」を利用した成年後見制度モデルケース>
支援される人の状況:軽度の認知症の症状
支援する人(補助人):長男
 本人は,最近米を研がずに炊いてしまうなど、家事の失敗がみられるようになり、また、長男が日中仕事で留守の間に、訪問販売員から必要のない高額の呉服を何枚も購入してしまいました。困った長男が家庭裁判所に補助開始の審判の申立てをし、併せて本人が10万円以上の商品を購入することについて同意権付与の審判の申立てをしました。
 家庭裁判所の審理を経て、本人について補助が開始され、長男が補助人に選任されて同意権が与えられました。
 その結果、本人が長男に断りなく10万円以上の商品を購入してしまった場合には、長男がその契約を取り消すことができるようになりました。(最高裁判所「成年後見関係事件の概況」より))

<支援する人を監督する人の選任>
 ここまで、「後見」「保佐」「補助」支援する人が本人に代わってできることについて解説しましたが、どの成年後見制度で選ばれる支援する人も、本人に代わって重要な財産を管理することができるという非常に大きな力を持っています。
170710hosanin  成年後見人として選ばれた当初は支援される人の利益を最優先にして確実に役目を果たしていたが、年月がたつにつれてだんだんいい加減な仕事をしたり、自分にとっての利益を優先にしたりするようになってしまった…という危険性はやはり0とはいえません。
 これを防止するために、成年後見制度がスタートすると必ず、家庭裁判所によって支援する人を監督する人が決められます。監督する人(成年後見監督人・保佐監督人・補助監督人といいます)は支援する人が本人に代わって行う事が適正であるか監督し、支援する人の怠慢や暴走を抑止することになります。」(
ここより)

<成年後見人等の報酬額のめやす>
成年後見監督人
成年後見監督人が,通常の後見監督事務を行った場合の報酬(基本報酬)のめやすとなる額は,管理財産額が5000万円以下の場合には月額1万円~2万円,管理財産額が5000万円を超える場合には月額2万5000円~3万円とします。
なお,保佐監督人,補助監督人,任意後見監督人も同様です。」(
東京家裁のここより)

なるほど・・・。上の投稿者は、たぶん親の財産が5000万円を超えたので、監督人が付いたのだろう。つまりは、保佐人に選定された時点で決まっていたこと。

我が家が、夫婦ともに両親が他界しているので、巻き込まれることは無いが、一世代後の、自分の判断能力が落ちた時はどうする?というテーマは残る。
子供が一人であれば、どうされても仕方がないと考える。結局、親が死ねば、残った財産は一人だけの子供に渡るので。
しかし、子供が複数いた時はメンドウ。兄が親の面倒を見て財産管理もすれば、弟は疑いの目を向ける。兄が怒って、「それじゃ、お前やれ」と言えば、弟は困る。そして泥沼・・・
何か手は無いか? それは、棚卸しをすれば済む話では無いか?つまり、親の財産が幾らあって、この1年でいくら使ったかをキチンとメモに残し、他の兄弟に報告する。もちろん兄が費やす(他の兄弟が楽する)労力は、対価を親の財産から貰う。
こうすれば、牽制機能が働いて、乱暴なことは出来ない。

では、親が死んで、兄弟の一人の判断能力が落ちた場合はどうするか?
上の投稿の例では、家庭内の話なのに、他人が入ってきて、監督し、それに対価を払う。どうもフィットしない。
上の一人っ子の例のように、「仕方がない」と考えるのも、一つの考え方では?
つまり、二人兄弟で、一人の判断能力が落ちた場合、子供がいないとすると遺産は残った兄弟に来る。それを前提に考えると、将来の相続人に対して、他人に監督して頂いて対価を払うのはムダでは?
幾ら、財産を遣われてしまっても、他人に遣われるより、家族に遣われてしまった方がベターのような気がする。

ある弁護士が、「後見人の裁判所への提出書類は大変。簡単に使う制度ではない」と言っていた。
裁判所を含めた他人に報告するために、多大な時間と金銭を使うのはもったいない。本人が行った無用な契約へのブレーキ(解約)は確かに裁判所から認められた「立場」が無いと大変だが、これは本人を連れて行って対処するしかない。
簡単な新聞の投稿だが、ふと自分に当てはめて、考えてしまった成年後見人制度ではある。

2017012017431825a <付録>「まんがイラスト ぼうごなつこのページ」(ここ)より


« “自民党の歴史的惨敗”にとどめを刺した珍言・暴言集 | トップページ | 「茶色の朝」迎えないように~「共謀罪」法施行 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« “自民党の歴史的惨敗”にとどめを刺した珍言・暴言集 | トップページ | 「茶色の朝」迎えないように~「共謀罪」法施行 »