« 「東芝はノモンハン事件そっくり」 | トップページ | 山口百恵の「横須賀ストーリー」 »

2017年4月20日 (木)

「共謀罪」~「戦前と違う」とは思わない 半藤一利さん

国会で審議が始まった「共謀罪」。テレビのコメンテーターは別として、半藤さんはどう捉えているのかな・・・と思っていたら、今朝の朝日新聞に載っていた。

「(問う「共謀罪」 表現者から)「戦前と違う」とは思わない 半藤一利さん
     窮屈になるのは、あっという間
                          ■作家・半藤一利さん(86)
 戦争は昔の話。本当にそう言い切れるのだろうか
     ◇
 私が11歳のとき太平洋戦争が始まった。東京大空襲では、逃げている途中に川に落ちて危うく死にそうになる経験もした。
170320handou  向島区(現・墨田区)の区議だったおやじは「日本は戦争に負ける」なんて言うもんだから、治安維持法違反で3回警察に引っ張られた。
 当時は戦争遂行のための「隣組」があった。「助けられたり、助けたり」という歌詞の明るい歌もあるが、住民同士を相互監視させる機能も果たした。いつの世も、民衆の中には政府に協力的な人がいる。「刺す」という言い方もあったけれど、おやじを密告した人がいたんだろう。
 歴史を研究してきた経験から言えるのは、戦争をする国家は必ず反戦を訴える人物を押さえつけようとするということだ。昔は治安維持法が使われたが、いまは「共謀罪」がそれに取って代わろうとしている。内心の自由を侵害するという点ではよく似ている。
 治安維持法は1925年の施行時、国体の変革を図る共産主義者らを取り締まるという明確な狙いがあった。その後の2度の改正で適用対象が拡大され、広く検挙できるようになった。
 政府は今回の法案の対象について「『組織的犯罪集団』に限る」「一般の人は関係ない」と説明しているが、将来の法改正によってどうなるか分からない。
 私に言わせると、安倍政権は憲法を空洞化し、「戦争できる国」をめざしている。今回の法案は(2013年成立の)特定秘密保護法や、(15年成立の)安全保障法制などと同じ流れにあると捉えるべきだ。歴史には後戻りができなくなる「ノー・リターン・ポイント」があるが、今の日本はかなり危険なところまで来てしまっていると思う。
 「今と昔とでは時代が違う」と言う人もいるが、私はそうは思わない。戦前の日本はずっと暗い時代だったと思い込んでいる若い人もいるが、太平洋戦争が始まる数年前までは明るかった。日中戦争での勝利を提灯(ちょうちん)行列で祝い、社会全体が高揚感に包まれていた。それが窮屈になるのは、あっという間だった。その時代を生きている人は案外、世の中がどの方向に向かっているのかを見極めるのが難しいものだ。
 今回の法案についてメディアはもっと敏感になるべきだ。例えば、辺野古(沖縄県名護市)での反基地運動。警察が「組織的な威力業務妨害罪にあたる」と判断した集会を取材した記者が、仲間とみなされて調べを受ける可能性はないか。「報道の自由」を頭から押さえつけるのは困難でも、様々なやり方で記者を萎縮させることはできる。
 法案が複雑な上、メディアによって「共謀罪」「テロ等準備罪」など様々な呼び方があり、一般の人は理解が難しいだろう。でも、その本質をしっかり見極めてほしい。安倍首相は法律ができなければ、「東京五輪を開けないと言っても過言ではない」と答弁した。それが仮に事実だったとしても、わずか2週間程度のイベントのために、100年先まで禍根を残すことがあってはならない。(聞き手・岩崎生之助)
     *
 はんどう・かずとし 「日本のいちばん長い日」「ノモンハンの夏」など昭和史関連の著作多数。「文芸春秋」の元編集長。」(
2017/04/20付「朝日新聞」P39より)

昭和史の大家である半藤さん。その半藤さんの言葉は、自分にとってみると、幾多の論者の言葉よりも重い。
どこから切り取って見ても、あまりに乱暴な法律「共謀罪」。民進党の山尾志桜里氏の厳しい質問に、金田法相がどううろたえようが、首相は動じない。
首相にこの自信を与えているのは、おごり・・・
それにしても、今の日本の政治はあまりに子供じみている。ボクちゃん政治がまかり通る。

話は変わるが、本棚にあった城山三郎の「落日燃ゆ」を“今ごろ”読んでいる。
広田弘毅の話だが、中身が濃い。文章の一行一行が重たい。
先日、読もうと思ってページをパラパラめくっただけで止めてしまった某女流作家の、母親との葛藤を描いた小説に比べると、大人と子供の差。こんな軽い小説は時間のムダ・・・。

それにしても、かつての政界は、大物政治家が多かった。その揉み合いの中から議論が進んだ。それに比べて、「1強」は絶対に良くない。戦前の関東軍の暴走を連想させる。
こんな専制政治がいつまで続くのか? 内閣支持率を盾に、傍若無人に振る舞う首相を、いつ止められるのだろう・・・
この本を読み終えたら、1巻で止まっている「小説吉田学校」にも、もう一度チャレンジしてみようかな、と思った。別に昔を懐かしむ懐古趣味はないけど・・・

170420sumimasen <付録>「ボケて(bokete)」より


« 「東芝はノモンハン事件そっくり」 | トップページ | 山口百恵の「横須賀ストーリー」 »

コメント

毎日のニュースの中で自民党の若手議員のお粗末な頭脳に愕然としてしまいます。これが国政をつかさどる人間かと驚いています。お粗末の度合いがひどいですねぇ。安倍城も下の石垣から崩れ始めたかと思っているのですが、城のてっぺんも問題が多いですねぇ。戦国時代ならとっくに打ち壊されていたでしょうに、庶民はただ茫然と見ているだけ、成す術もないのでしょうか。
エムズ様も小説の質の低下に気づかれましたか。戦後から昭和30年代までの芥川賞作家の小説と比べると現在の小説の奥行きのない文章に読む気がそがれます。大人と子供の違いを感じます。買って最初のページを読んで捨てた本もあります。話言葉が多く考えが伝わってこないのです。私が思うのに教養の差だと思います。漢文世代と漫画世代の違いでしょうか。読んで「ああ、自分が変わった」と思う本に出合いたいですね。

【エムズの片割れより】
深く共感します。そうです、マンガ世代の小説は、会話文ばかりの文章は、ページ数が多くても心に残りません。
テレビドラマも映画も、マンガ原作が多いですね。ウチのカミさんは「マンガもお笑い芸人もバカに出来ない」と言いますが・・・
それにしても、テレビに映る政治家の品の無さは、目を覆いますね。金田法相など、どこから連れて来たオジサン!? 答弁を逃げる無能な様は、任命した首相は切腹物では?
ああ、それが許されちゃう我がニッポン!!

投稿: 白萩 | 2017年4月22日 (土) 00:18

そうですねぇ。切腹、打ち首、貼り付け、釜茹でなんていうのもありますねぇ。フランスにはギロチンなんていうのもありました。民衆が立ち上がると共謀罪で捕まえようとしているんですね。それでこの法案を急いで通そうとしているんですね。やっと急いでいる意味がわかりました。漫画ですよね!!

【エムズの片割れより】
共謀罪の国会は、どうも高等戦術という話があるらしいですよ。
野党が、金田法相をバカだチョンだと言っているウチに、時間切れで採決!
結局、金田法相のしどろもどろで、本格審議無しでオシマイ・・・!?
森本問題も、北朝鮮が脅威だ!と騒いで、国民の気をそらせるのに成功・・・
なかなかやるね~~~。あべくん!

投稿: 白萩 | 2017年4月22日 (土) 22:37

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« 「東芝はノモンハン事件そっくり」 | トップページ | 山口百恵の「横須賀ストーリー」 »