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2017年3月31日 (金)

映画「わたしは、ダニエル・ブレイク」を見た

今日は、立川に映画「わたしは、ダニエル・ブレイク」を見に行ってしまった。
最近はほとんど映画館に行っていない。WOWOWで充分なので!?

カミさんが駅前で買っているホームレスさんの「ビッグイシュー」307号に、この映画の解説があり、それを読んだカミさんの誘いで行ってみた。
公式HP(ここ)にあるストーリーは、
170331daniel1 「イギリス北東部ニューカッスルで大工として働く59歳のダニエル・ブレイクは、心臓の病を患い医者から仕事を止められる。国の援助を受けようとするが、複雑な制度が立ちふさがり必要な援助を受けることが出来ない。悪戦苦闘するダニエルだったが、シングルマザーのケイティと二人の子供の家族を助けたことから、交流が生まれる。貧しいなかでも、寄り添い合い絆を深めていくダニエルとケイティたち。しかし、厳しい現実が彼らを次第に追いつめていく。」(ここより)

「ビッグイシュー」の記事も紹介する。

これが何十万もの人々に、起きている現実なんだ」
50年前と同じく、80歳のケン・ロ-チ監督 再び英国の“貧困”を描く

前作での引退宣言を撤回して制作されたケン・ローチ監督の『わたしは、ダニエル・ブレイク』。映画からは、弱い者いじめの装置と化した英国の福祉制度に対する、監督の震えるような怒りが伝わってくる。英国ビッグイシューが、ニューカッスルの撮影現場を訪ねた。

病気で失業の大工 シングルマザー 空腹を武器に人々を従わせる
 昨年のカンヌ国際映画祭でパルムドールを受賞したケン・ローチ監鉗の『わたしは、ダニエル・ブレイク』は、現代の英国の状況を見事に捉えていると評判だ。50年前、彼はテレビドラマ『キャシー・カム・ホーム』で、ごく普通の若い夫婦が家を失ってゆく過程をつぶさに描き、英国人のホームレスに対する見方を劇的に変化させた。その火つけ役の監督は現在80歳となり、これが最後と思われるこの作品で同じことをしたいと願った。今回は福祉制度の欠陥(生活給付金の停止など)に焦点を当てている。
170331daniel  映画の主人公ダニエルは、59歳の大工。彼は心臓発作を起こした後に医師から仕事をしないように忠告を受けるも、給付金を受給する資格を得るためには、週に35時間、職探しを行わなければならないと役所で告げられる。そもそも彼は失業したわけではなく、仮に新しい採用通知を得ても身体が治るまでは働けないというのに。そして、彼は些細な理由で制裁措置を受け、給付金を止められたシングルマザーのケイティと出会う。二人はカフカのように不条理な官僚システムを何とか切り抜けようと奮闘するが――。
 少し時をさかのぼって2015年の11月、筆者は『わたしは、ダニエル・ブレイク』の撮影現場にいた。イングランド北東部の町ニユーカッスル・アポン・タイン。その西端にあるベンウェル・グローヴは、英国ではよくある棟続きの家が建てられた通りだ。ペネラブル・ベーダ教会の外に、長蛇の列ができている。これは、教会のホールが「ニューカッスル・ウェストエンド・フードバンク」として活用されているからだ。列に並ぶ人々はいつもの利用者だが、今日は映画のエキストラとして演じている。
 ローチの作品のうち『SWEET SIXTEEN』('02)と『麦の穂をゆらす風』('06)を含めた12作品の脚本を手掛けたポール・ラヴァティが、この撮影シーンについて説明してくれた。
 ケイティは子どもたちを食べさせるために、ここ数日何も食べていないという場面。「こういう話はいくらでもあるんです」と彼は言う。「制度が時に過ちを犯してしまうことは理解できるが、あまりにその数が多すぎて、今ではその過ちが見過ごせないレベルにまできています」
 ラヴァティはリサーチの一環として全国のフードバンクについて調べ、彼の表現を借りれば「お役所が張り巡らせた鉄条網」にがんじからめにされた人々に会ったという。また労働年金省の内部告発者たちとも会い、人々に制裁措置を課して給付金を打ち切れと迫る、上部からの圧力のひどさにぼう然としたことや、しばしば軽度の違反を理由に唯一の収入源を断ったという話も聞いた。
 「制裁を課すということは、空腹な状態にある人々を脅すということです」と彼は言う。「空腹が武器として、人々を従わせる手段として使われています。でも、それで人々を強制的に働かせることはできませんよ」
 シーンの撮影が終わると、エキストラの人たちは散らばり、何人かはケン・ローチの周りに群かって写真を撮りはじめた。
「みんなが監督のことを知っていて驚いた」とダニエルを演じた俳優デイヴ・ジューンズは話す。「前にいた4人の男性と話しだけど、彼らはこの道の先にある簡易宿泊所から来たそうだ。ごく普通の男性たちです」

空腹と屈辱で泣き崩れる母親 エキストラは実際のフードバンク利用者
 次は教会のホールでの撮影だ。ここは英国内で最も忙しいフードバンクと言われている。2番目に忙しいフードバンクの5倍も忙しい。なぜなら、ここはかつて川岸で栄えた造船業や石炭産業で働く労働者たちを収容するため、集中的に住宅が建てられた地域だからだ。
 『キャシー・カム・ホーム』から50年を経た今も、なぜ貧しい人たちを苦しめる問題が社会に存在するのか、カメラの位置をチェックしていたローチ監督に尋ねてみた。
 「手短に答えるとすれば、福祉国家が建設されたのは資本主義が好調だった時だからだ。当時は戦災から再建する仕事が数多くあり、みんながフルタイムの仕事に就いていた。それがおかしくなり始めたのが70年代だ。サッチャーが首相になると、労働者階級はより搾取されやすい状況に置かれ、労働組合に不利な法律が作られた。失業者は突如50万人から
300万人へと膨れあがった」
 「それからは悪化をたどる一方だ。資本主義が発展するとともに、競争を通して利益率が落ちていった。それとともに安い労働力が求められるようになり、それは大企業が政治的にも、経済的にも、国際的にも絶対優位を要求するようになるまで続いた。そして大企業がより力を得ていくごとに、労働者階級は反撃する力を失っていった。これは自然で避けられない流れだ。すまない。随分と長い回答になってしまったね」
 撮影が始まり、実際のボランティアやフードバンク利用者が参加するテイクをいくつか撮ると、突如、劇的なことが起こった。青ざめた顔の弱々しいケイティが、棚から豆の缶をつかむと、それをおもむろに開け、中身を手ですくって口へとほおばったのだ。エキストラたちは、空腹と屈辱の両方で泣き崩れる彼女の姿にどう対応してよいかわからなかっか。少しして、それは台本に書かれた内容であるということに気づく。
 しかしこの感情を揺さぶる激しい演技は、不思議なリアリティをもたらしていた。このエピソードは現実に基づいているとラヴァティは話す。「私は最初に訪ねたフードバンクで、今までで一番ひどかった出来事は何か?と聞きました。一人の母親が豆の缶を見ていて、ボランティアの人たちは彼女が豆の銘柄を選んでいるのだと思ったそうです。しかし実際は指で開けられる缶を探していた。母親は泣き、ボランティアも全員泣いてしまったそうです」
 撮影から半年後の16年5月、『わたしは、ダニエル・ブレイク』はカンヌ映画祭でパルムドールを受賞。ローチ監督は「緊縮財政という危険な政策」について非難し、「私たちは改めてこの酷薄な制裁と給付制度について見直さなければならない」と述べた。

EU離脱で変化も 貧困・家がないのは「自業自得」 全体的な風潮・考え方は変わらない
 驚くことに、この現実を見直す機会が、ある一定の範囲でだが、本当に訪れた。国民投票によってEU離脱が決まり、キャメロン政権が覆されたためだ。7月13日。テリーザ・メイは首相就任後の最初の演説の中で、貧困に陥った人々に向けて「私はごく少数の特権階級の利益のためではなく、あなた方の利益のために政府を率いていきます」と語りかけた。そして新たな労働年金省の大臣に就任したダミアン・グリーンは、慢性疾患をもつ雇用支援給付金の受給者に対し、何度も繰り返されてきた就労能力評価の作業を廃止すると発表したのだ。
 英国での映画公開を前に、筆者はグリーン大臣と会った。彼は、まだ観ていないが映画のことは知っていると答えた。
 私たちが会ったのは、グラスゴー郊外にある大型レジャー施設「ザ・エクスペリェンス」。社会的企業「キブル」が運営しており、若者や失業者に職業体験の場を提供している。彼は、訓練プログラムや職業体験に関することは、政治が扱うべき問題の一つだと主張した。「仕事を持つということは、あなたの人生に起きる最も素晴らしいことの一つで、それは単にお金を得られるというだけでなく、人生にやりがいや自尊心なども与えてくれます」
 『わたしは、ダニエル・ブレイク』で焦点が当てられた、融通のきかない福祉制度に苦しめられる大勢の人々についての見解を聞いた。「現在2200万人の方が労働年金省より年金あるいは手当を受け取っています。労働年金省は最善を尽くしており、ジョブセンターも、より多くの人々を助けられるようになりつつあります。その中には常に一つや二つ誤ったケースというものが出てくると思います。もし誤って対処してしまった場合にはお詫びいたしますが、それらは制度に原因があるということでは決してありません」
 ローチ監督と近況を話す際に、グリーン大臣があなたの映画を観るかもしれないと伝えたところ、彼は喜ぶどころか「ジョブセンターで何か起きているのかを知るために、彼が私の映画を観る必要はない」と反論した。労働年金省で新たなリーダーが生まれても、彼は何も変わったとは考えていない。
 「全体的な風潮は同じだし、それは今後も変わらないだろう。“貧困は自己責任であるということを理解できなければ、あなたは国の制度に盾突くことになる”というのだろ? もしあなたが貧しいとすれば、それは自分のせい。もしあなたに家がないなら、それも自業自得。彼らの政策を維持しているのはこういう考え方だ」
 「これは実際に起きていることなんだ」と彼は強調する。「これが何十万人という人々に起きている現実だ。もしこの事実を知り、それを信じるなら、君は責任感を持って映画館を出ることになる」
(「ビッグイシュー」Vol.307 201 7Mar.15 より)

この映画で、もっともインパクトがあったのが、「青ざめた顔の弱々しいケイティが、棚から豆の缶をつかむと、それをおもむろに開け、中身を手ですくって口へとほおばった」というシーン。
食べ物をすべて子どもに与えていたため、あまりの空腹に、我慢出来なかった・・。目の前に、食べることが許される食物がある・・・

この映画は、「ゆりかごから墓場まで」と謳われた英国での話。それが今、これほどの状況・・・
この状況は、日本でも同じかも知れない。税金を使っての活動のはずが、役人の融通の全く効かない仕事ぶり。それらに絶望していく人々。
必死に子育てに奮闘するシングルマザー。しかし、お金を手に入れる手段は限られている。そして・・・・

この映画が終わった時、心にドス~ンと居座る“重たさ”は、いったい何だろう?
やりきれない・・・。

ローチ監督の次の指摘が重たい。
「“貧困は自己責任であるということを理解できなければ、あなたは国の制度に盾突くことになる”というのだろ? もしあなたが貧しいとすれば、それは自分のせい。もしあなたに家がないなら、それも自業自得。彼らの政策を維持しているのはこういう考え方だ」

日本はどうか?
幾ら緊縮財政でも、“国民が食べること”を後回しにしてないか?何よりも優先しているか??

全国で上映される映画では無いようだが、お薦めの映画である。


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コメント

 ここで紹介されてから 映画館へ行かなくってはと思いながら 今日になってやっと見てきました。イギリスは公的住宅政策が充実している福祉先進国と思い込んでいた自分が恥ずかしくなります。
 片割れさんを映画に誘ったエムズさんに感謝。わたしも通信制大学の知人一人に見てもらいました。映画を見た後に ビッグ・イシューの作品紹介を読むと理解が深まります。映画館の中では ダニエルに感情移入してしまっていて泣いたり怒ったり手をたたいたり大変でした。当地での上映は5月4日まで。他の人にも急いで勧めなくては。

【エムズの片割れより】
恐れ入ります・・・。
英国でも、“墓場”までの道は険しいようで・・・。

投稿: todo | 2017年4月19日 (水) 23:16

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