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2017年1月18日 (水)

日本将棋連盟の谷川会長辞任へ~後任会長には三浦九段を!?

今日、日本将棋連盟の谷川会長が正式に辞任表明をした。
日本将棋連盟の谷川会長辞任へ
 日本将棋連盟は18日、谷川浩司会長(54)が近く辞任すると発表した。将棋ソフトの不正疑惑で混乱を招いたことに対し、責任をとった形だ。この問題以降、谷川会長は体調を崩していたという。
 連盟は19日に臨時の理事会を開き、その場で辞任が正式に承認される見通し。新しい会長が決まるまで務め、その後退く。谷川会長は18日午後、記者会見を開く。また、谷川会長と共に問題の対応に当たっていた島朗(あきら)常務理事(53)も辞任する意向を固めたことがわかった。
 連盟は昨年10月、対局中にソフトを使ったとして不正を指摘された三浦弘行九段(42)を同年末までの出場停止処分にした。しかし、連盟が委嘱した第三者調査委員会は同12月、不正行為の証拠はないと判断。三浦九段が処分に伴い、挑戦者に決まっていた竜王戦七番勝負(読売新聞社主催)に出場できなかったことなどから、執行部の対応に批判が高まっていた。三浦九段側は自身への補償について連盟と協議している。
 谷川会長は「将棋ファンの皆様、三浦弘行九段に誠意をお伝えするには会長が辞任するのが一番という結論に至った。対応に苦慮する中で心身ともに不調をきたすようになった。このような状況では将棋連盟に迷惑がかかると考えた」とするコメントを発表した。
 谷川会長は、第三者委の報告を受けた12月の会見で「三浦九段につらい思いをさせた。申し訳なく思っている」と謝罪する一方、連盟の対応を第三者委が「やむを得なかった」と判断したことから、「このことで投げ出すわけにはいかない」と続投を表明していた。
 今月17日の渡辺明竜王(32)の就位式で谷川会長は「第三者委の報告を真摯(しんし)に受け止め、将棋界の正常化に努めます」とあいさつした。式が終わったことで一定の区切りがついたと判断し、一連の問題の責任をとったものとみられる。
 谷川会長は1983年に史上最年少の21歳で名人のタイトルを獲得。十七世名人を名乗る資格を持つ。米長邦雄前会長の死去を受けて、12年に会長就任。会長職の傍ら、現役棋士として活躍している。会長任期は今年6月まで。(村瀬信也)」(
2017/01/18付「朝日新聞」夕刊p1ここより)

一方、告発した渡辺竜王については、こう報道されている。
「「三浦九段にご迷惑かけた」 渡辺竜王、不正問題で謝罪
 第29期竜王戦七番勝負(読売新聞社主催)でタイトルを防衛した渡辺明竜王(32)の就位式が17日、東京都千代田区であった。ソフトの不正使用疑惑に絡み、昨年10月の開幕直前に挑戦者が交代するなどの混乱が生じたことについて、渡辺竜王はあいさつの中で「メディアの取材に応じたことで三浦(弘行)九段、読売新聞社様、将棋ファンの皆様方にご迷惑をおかけしました。申し訳なく思います」と謝罪した。
 七番勝負は当初、三浦九段(42)が挑戦者に決まっていた。開幕直前、渡辺竜王は三浦九段が対局中にソフトを使って不正をしている疑いがあることを指摘し、週刊誌の取材に応じた。この記事の掲載が一因となり、竜王戦への影響を考えた日本将棋連盟が、三浦九段を出場停止処分とし挑戦者を代えた。連盟から委嘱を受けた第三者調査委員会は、三浦九段の不正の証拠がなかったと結論づけている。
 また、読売新聞社の取締役最高顧問で主筆代理の老川祥一氏はあいさつの中で「今回の事態を踏まえて、将棋界が正常な環境の下で大きく発展していくことを期待している」と述べた。」(
2017/01/18付「朝日新聞」ここより)

この一連の騒動については「三浦弘行九段のソフト不正疑惑の時系列まとめ記事(その3)」(ここ)のサイトに詳しい。
このサイトをじっくりと読んでみた。そして、ここに紹介されている第三者委員会の報告書もざっと読んでみた。

事の起こりは、こうだったらしい。
「10月3日。
三浦九段の処分前最後の対局。一致率が高いとされる4局のうちの4局目。第75期A級順位戦の対渡辺明竜王戦で、三浦九段が勝利。観戦記には終局後「渡辺の言葉は歯切れが悪かった。終盤の感想戦は一切なし。形式的に一礼を済ませると、渡辺はぶぜんとして対局室を立ち去った」と。
1701170207asahi 後に出る文春によると、渡辺竜王は終局後は「研究にハマって負けた」と思っていた。しかしこの対局を見ていた一部の棋士たちが三浦九段の手のソフトの推奨手との驚き呆れるほどの「一致」を確認。渡辺竜王がそれを知ったことで、事が動くことになる(毎日新聞の報道によると、渡辺竜王に一致を指摘したのは「関係者」とされており、前述の一部の棋士たちが直接知らせたのかわからない)。後に渡辺竜王は、三浦九段の自身との対局および過去の対局も調べ、指し手の一致、離席のタイミング、感想戦での読み筋などから「間違いなくクロだ」と確信。
また、文春はこの頃には疑惑の取材を始め、大手新聞社も疑惑を把握。
新潮の報道でも、この対局が疑惑のきっかけとなったとされている(ベテラン棋士の証言)」
「10月7日。竜王から島朗理事へ電話
文春によると、この日に渡辺竜王が島朗九段(連盟理事)に電話。
産経新聞によると、おそらくこの時期に渡辺竜王は「疑念がある棋士と指すつもりはない。タイトルを剥奪されても構わない」と対応を強く求めた(連盟会見)。ただし渡辺竜王本人は後にこの発言を「言葉のあや、解釈の違い、報道を通して本意でない形で伝わった」と否定。」
「10月10日。極秘会合
文春によると、この日に渡辺竜王、島理事に加え、羽生善治三冠、佐藤天彦名人、谷川浩司九段(連盟会長)、佐藤康光九段(棋士会長)、ソフトに詳しい千田翔太五段の7人が、島理事宅に集まり極秘会合。久保九段は電話で参加。
渡辺竜王の説明に対してシロを主張する棋士はいなかったという。
毎日新聞によると、渡辺竜王は「不正を行った三浦九段と対局するつもりはない。常務会で判断してほしい」と要求。ただし渡辺竜王本人はこの発言も後に否定。
島理事は三浦九段に連絡し問いただすも三浦九段は不正を認めず。」
(いずれもここより)

結果として、(第75期A級順位戦で三浦九段に負けた)渡辺竜王の“思い込み”が、将棋連盟を動かし、竜王戦の対戦相手を、三浦九段から負けた丸山九段に差しかえさせ、丸山九段に勝った渡辺竜王がタイトルを維持。
一方で、渡辺竜王の「産経が報道した「(三浦九段を処分しないなら)竜王戦は指さない(出場しない)。タイトルを剥奪されても構わない」」という直訴に応じた谷川会長と島朗常務理事は責任を取って辞任。

これらの一連の動きを振り返るに、案の定、関係者の断片的な発言を、マスコミが自社に都合の良い部分だけを切り取って報道し、後で発言の当人が否定、という回転をしている。
まあマスコミの報道は、そんなものなので驚かないが、告発の当人の渡辺竜王の「メディアの取材に応じたことで三浦(弘行)九段、読売新聞社様、将棋ファンの皆様方にご迷惑をおかけしました。申し訳なく思います」という謝罪には驚いた。
「ご迷惑をおかけしました」という発言で、自分が引き起こした騒動の責任を取れると思っているのだろうか? それで終われば、渡辺竜王のまさに“いいとこ取り”になってしまう。これは許されない。

そもそも「パソコンによるカンニング」が疑惑なので、三浦九段が言う「私は、連盟から上記疑惑を持たれたので、平成28年10月11日及び12日において、連盟からの要望がなかったにもかかわらず、自ら保有するノートパソコン2台、デスクトップパソコン2台、スマートフォンの全アプリを撮影した画像を提出しています。これら資料を精査してもらえれば、私の身の潔白が晴れることだと信じていましたが、連盟はこれらの資料を精査することなく、一方的に私に出場停止処分を下しました。本当に残念でなりません。」(三浦九段の「反論文書」ここより)
が出た時点で、「シロ」。
つまり、パソコンは幾ら後で削除をしても、痕跡は必ず残っており、プロが調べれば、いつ何をしたかは明白になる。自分も現役時代に、あるトラブルで、初期化されたパソコンをプロに調査依頼した所、100万円ほどかかったが、1週間ほどできっちりと調査が出来た。
つまりは、パソコンを調べればあっと言う間に白黒がはっきりしたはず。
今回発表された第三者委員会も、たぶん同じようなパソコンの調査会社に頼んだのであろう。そこで痕跡が見付からないと言うことは、今回のパソコンを使った疑惑は完全にシロ。

よって、渡辺竜王と、同様に「橋本八段は三浦九段の疑惑に「1億%クロ」とツイッターで言及している。」という指摘をした各々は、何の証拠もなく、無実の人に冤罪を被せた訳で、その落とし前をどう取るのだろう?

冷えた目で見ると、この事件の背景には、棋士の間の好き嫌い、あるいは派閥のようなものがあるように見える。それにしても好き嫌いが限度を越えている。幾らキライな相手でも、普通はこのような仕打ちまでは出来ない。
しかし、今回の場合は、あまりに大規模。将棋界の中だけではなく、週刊誌を利用し、気に入らない相手を追い落とすがごとき動きに、悪意を感じる。それをいさめる力も連盟には無い。狭い将棋界で、こんなことが起こること自体(カンニングを指摘すること自体)、将棋界は病んでいる。

同じような冤罪事件では、2009年のいわゆる「障害者郵便制度悪用事件」の村木厚子局長を思い出す。その後、村木さんは事務次官になった。
同様に、三浦九段に関係者が謝罪する方法は、将棋連盟の次期会長に三浦九段を推薦する位しかないのではないか? それならば多分名誉は回復するだろう。

(2017/01/19追)
本件をググってみると、Net上には色々な厳しい意見が載っている。読んでいて、なるほどな・・・と思う書き込みもある。
「渡辺の罪は大きすぎる。もちろん最大の罪は、自分の仲間うちの棋士や記者と共謀して自身が三連敗している気に入らない対戦相手を陥れたことだが、よくもまあ、先輩の棋士をあのような汚い仕打ちで貶めることができるものだと人間性を疑いたくなる。まさに「恥を知らない」人間の行いである。
そして第二の罪は「将棋第一人者の竜王でも市販のソフトにはかなわないのだ」と自ら社会に公表したことである。「ソフトを使われたから負けた」と訴えているのだから、論理的には当然そうなる。・・・」

「渡辺の犯罪行為は明白です。
渡辺の犯した罪は虚偽風説流布業務妨害罪
刑法第233条(信用毀損及び業務妨害)
虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用を毀損し、又はその業務を妨害した者は、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
証拠多数です。
週刊誌にリークしたことにも処分はあるべきです。」(
ここより)

170118panda <付録>「ボケて(bokete)」より


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コメント

昨年10月以来の将棋界のゴタゴタをみると、港かなえ原作の映画「白ゆき姫殺人事件」を思い出すんですよ。この映画をCATVで見たのは将棋界が「ソフト不正使用問題」で揺れていた11月のはじめです。ストーリーは、だいたい次のようなものです。ある会社の美人社員が殺害される。状況証拠から、この社員の、目立たぬ同僚城野美姫(井上真央)が疑われ、社内の噂になる。別の同僚がこの話をTV局につとめる友人赤星(綾野剛)に伝える。赤星はこの話に興味をもって調査をはじめ、情報をツイッターで流すと同時にTVのワイドショーでも取り上げるよう働きかける。ワイドショーを通じ美姫の疑惑の行動は社内の噂段階から全国ニュースとなり、噂の渦中にあった美姫は窮地に陥り、失踪してしまう。ワイドショーには評論家が登場し、訳知り顔で美姫の疑惑の行動を分析して見せる。美姫は自殺を考えるが、事件は意外な展開をみせ、終結する。。。。
殺人事件こそ起きていませんが、状況は将棋界のカンニング事件とよく似ていると思いませんか?美姫を三浦九段、美姫の同僚を渡辺竜王、赤星を「週刊文春」の記者等に置き換えると、そっくりではありませんか?
「三浦クロ」説を得々としゃべる「週刊文春」の記者と覚しき人物が出るワイドショーのYouTubeがアップされていたのは数週間前ですが、現在は削除されてありません。いまでも「三浦クロ」説をしきりに説く一部の評論家の映像が残っているので、たとえばこれをご覧ください。
https://www.youtube.com/watch?v=NTP25g5ZZfg&t=783s

昨年10-11月ごろというのは、連盟=渡辺=週刊文春寄りの情報が満ちあふれていたので、三浦九段が3回にわたって「反論」を提出したにかかわらずワイドショーあるいはネットでも「三浦クロ」が支配的だったような気がします。このころ、Okwaveに「三浦九段の出場停止処分は不当では?」という質問を提出した人がいて、その質問に20個の回答があり、うち10個が三浦クロ説あるいは連盟の処分を支持するもの(ただし、2つの回答は同じ人からのものなので、回答者レベルでは連盟支持は9人)、連盟の処分不当とするのは7回答(ただし1人の回答者は7つ書いている)ので、回答者レベルでは9対1で圧倒的に三浦クロ説で、連盟の処分を支持している。(なお、中立派が3人(3回答)、三浦クロとも、連盟の処分に賛成とも言っていません。)くわしくは、ここをクリックしてください。
http://okwave.jp/qa/q9244482/a25794406.html
とくに、三浦クロ説・連盟支持派の典型的回答として、No.1、No.10をご覧ください。
2016/12/26に第3者委員会の調査報告が公表されたのはご存知の通り。このあとは、メディアの論調も変わり、まさに連盟執行部にたいする糾弾がはじまりました。手のひらを返すとはまさにこのことででしょうか?!
「白ゆき姫殺人事件」に戻ると、殺人事件の真相がわかると、派遣社員としてTV局に勤めていた赤星は上層部の激怒を買い、解雇。三浦クロ説を垂れ流し、ワイドショーでも得々と説明していた「週刊文春」の記者はどうなったんでしょうね?週刊文春が三浦九段に謝罪したという話は聞きませんね!

【エムズの片割れより】
これはまさに冤罪事件。名誉毀損事件。
三浦九段が裁判にすれば、全てがはっきりとするのでは?
不正を指摘したのは5人の棋士とか。文春などのマスコミを含めて、どう落とし前を着けるのか?
特に言い出しっぺの渡辺竜王は、いつ竜王のタイトルと賞金を返上するのか?
将棋の歴史に残る消すことの出来な汚点の、渡辺“竜王”のケジメの付け方に注視しましょう。

投稿: KeiichiKoda | 2017年1月20日 (金) 11:53

エムズさんがコメントで書かれている

>不正を指摘したのは5人の棋士とか。

というのは、郷田(王将)、久保九段、橋本八段、渡辺竜王、千田五段の5人ことでしょうね。郷田、久保は竜王戦(それぞれ7/11、7/26の対局)で三浦(九段)に敗れており、対局後三浦のソフトの不正使用を(連盟あるいは仲間内に)示唆したらしい。渡辺は10/3のA級順位戦の対局で三浦に敗れており、ソフトにくわしい千田のアドバイスもあり、三浦(のカンニング)に対する不信を強め、確信にいたったらしい。三浦が不正に関与していないということが明らかになった今となっては、これらの棋士が感じた「違和感」あるいは「棋士の勘」とは何だったんでしょうね?将棋ソフトを使って不正をしている者がいるのではないか、という疑心暗鬼の中の精神状態のもとで起きた「妄想」の類だったのでしょうか?それこそ、社会学者・心理学者の格好の調査対象ではないでしょうか?
上で紹介したOKwaveの回答者の一人(回答No.10)は2016/10/19の段階で

「大変残念ながら渡辺竜王がこの件についてコメントを発表いたしました。
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20161019-00006688-sbunshun-soci
記事にもありますが、過去の対局で「ありえないほど手がアプリと一致した」というものが散見されました。そのうえで棋譜を前にして、羽生善治三冠、佐藤天彦名人、谷川浩司九段といったような錚々たる面々が7名集まり検討した結果、「シロ」と判定したプロは一人もいなかったということです。渡辺竜王はそれが誰の発言であるかは明らかにしていませんが、メンバーの一人は「99.9%やっている」とまで踏み込んでいたようです。私は、こういったメンバーが7名集まって検討した結果のほうが尊重されて然るべきだとは思います。状況証拠は「99.9%クロ」ということですね。
発表がこのタイミングになったのは、今年超絶にノリノリの週刊文春が探っていたことも影響したかもしれませんね。文春が記事にするとしたら、竜王戦の真っ最中というドンピシャのタイミングでぶつけてくるでしょうから、そんなことをされたら竜王戦が大混乱になってしまいます。」

と書いています。「一致率」も、「棋士の勘」も、否定された今となっては、この回答は的外れの、お笑い種でしかありませんが、当時はこうした回答がまかり通っていたんですね。

【エムズの片割れより】
ある弁護士先生に、今回の事件に関し、「刑法第233条(信用毀損及び業務妨害)」に抵触するかを聞いてみました。すると、「故意が立証出来ないのでダメ」とのこと。あくまで、“疑い”を連盟に直訴しただけで、処分を下したのは連盟。従って、今回の動きだけで渡辺竜王も“オシマイ”らしいです。

投稿: KeiichiKoda | 2017年1月23日 (月) 11:18

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