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2016年7月20日 (水)

樹木希林主演の映画「あん」

テレビで映画「あん」(ここ)を見た。
映画のPRサイトにある「ストーリー」にはこうある。

「縁あってどら焼き屋「どら春」の雇われ店長として単調な日々をこなしていた千太郎(永瀬160720ann 正敏)。そのお店の常連である中学生のワカナ(内田伽羅)。ある日、その店の求人募集の貼り紙をみて、そこで働くことを懇願する一人の老女、徳江(樹木希林)が現れ、どらやきの粒あん作りを任せることに。徳江の作った粒あんはあまりに美味しく、みるみるうちに店は繁盛。しかし心ない噂が、彼らの運命を大きく変えていく…」(ここより)

「あん」を50年も作ってきた経験が活きて、日常の社会で働ける喜びを噛み締めていた徳江。しかし、手の不自由さから、昔ハンセン病の患者だったことが知られ、店に誰も来なくなる。そして園に去って行く徳江。

「私たちも陽のあたる社会で生きたい」
「こちらに非はないつもりで生きていても、世間の無理解に押しつぶされてしまうことがあります。」

徳江が住んでいた園、つまり多摩全生園が出て来た。
3年ほど前、全生園には行ったことがある(ここ)。よって、映る全生園の風景がそれぞれ見覚えがあった。社会から隔絶された隔離病棟。かつては法により、自由が剥奪された空間。徳江のセリフにも「自由は良い」という言葉が度々出てくる。
この映画を見ながら、「理不尽」という言葉を噛み締めた。

この世の中、「理不尽」なことがどれだけあるか。このハンセン病も、自分が悪くてなったわけではない。タバコの害のように、自分が自覚していて、罹った病気なら、まだ諦めも付く。しかし、かつてのらい病は、誰からも忌諱される病気。これほど理不尽な病気はない。

その主人公を、ベテランの樹木希林が、好演する。ガンで満身創痍だという樹木希林だからこそ、自然体で演じられる・・・

樹木希林といえば、今朝の朝日新聞に、こんな記事があった。

2015年度第64回朝日広告賞・広告主参加の部
 新聞広告の発展と、次世代を担う広告制作者の発掘を目指す第64回朝日広告賞の2015年度受賞作品が決まった。広告主の課題に基づく作品を一般公募した「一般公募の部」では、読書で広がる世界観とその豊かさを表現した大学生が、学生単独で初めて最高賞を受賞。朝日新聞に掲載された広告作品の中から広告主が応募した「広告主参加の部」では、樹木希林さんが「ハムレット」のオフィーリアに扮した宝島社の作品が最高賞に選ばれた。今回から読者が選ぶ「朝日新聞読者賞」も始まった。応募総数は一般公募の部で1306点、広告主参加の部で384点だった。

 ■朝日広告賞 宝島社<企業広告> 「いかに死ぬか」高齢化日本に問う
 深い緑の中、草花に埋もれて水面に浮かび、死にゆく乙女……は、ご存じ樹木希林さん。「死ぬときぐらい好きにさせてよ」のコピーが強い印象を残し、高齢化が進む日本社会に「いかに死ぬか」を問いかける。
160720takarajima  一見、何の広告かわからない。それが宝島社の企業広告だ。「商品だけでは伝えられない、企業としての問題提起、社会的なメッセージを発信したい」と山崎あゆみ広報課長は話す。審査会でも「世の中の問題を指摘していく態度がよく出ている」などと評価された。同社はこれまでも「おじいちゃんにも、セックスを。」(1998年)「国会議事堂は、解体。」(2002年)など、奇抜ながら核心を突く広告で話題になってきた。
 企業広告には蓮見清一社長の思い入れが強く、制作チームと共にアイデアを練り上げるという。「長生きばかり注目され、いかに死ぬかという視点が抜け落ちている」と話し合う中で、案が形になっていった。
 「人は死ねば宇宙の塵芥。せめて美しく輝く塵になりたい」とのコピーの一節は、樹木さんも気に入ったという。撮影にもこだわり、スタジオに本物の花や緑を用いてセットを組み、温水に浮かぶ樹木さんをフィルムで撮影した。
 毎年、企業広告は新聞のみ。「日々の政治、経済、社会などの記事が載り、様々な問題に意識の高い人がお金を払って情報を得ている新聞で、企業の考え方を打ち出すことを大切にしている」と山崎課長は話す。

世の中の「次」見据え伝える 審査評・原研哉(グラフィックデザイナー)
 世の中の次を見据えてきちんと守備についている企業がある。そういう企業は広告で表現された内容にも説得力があるとあらためて感じた。
 グランプリの宝島社の広告のテーマは「死」。ジョン・エヴァレット・ミレイの有名な絵画「オフィーリア」の情景を模したビジュアルで、「死ぬときぐらい好きにさせてよ」というコピーである。寿命というより医療の限界が今日における死であるような状況に対して物申す姿勢に、この会社の世の中への姿勢を重ね合わせている。樹木希林のキャラクターが重いテーマを見事に昇華していた。・・・」
(2016/07/20付「朝日新聞」p21より)

Wikiより「オフィーリア (絵画)
「『オフィーリア』(英: Ophelia)は、1851年から1852年にかけて制作されたジョン・エヴァレッ160720ophelia ト・ミレーによる絵画である。ロンドンにあるテート・ブリテン美術館に所蔵されている。オフィーリアはウィリアム・シェイクスピアの戯曲『ハムレット』の登場人物であり、この作品では彼女がデンマークの川に溺れてしまう前、歌を口ずさんでいる姿を描いている。この絵は初めてロイヤル・アカデミーに展示されたときには広く評価されなかったが、その後その美しさや自然の風景の正確な描写が賞賛されるようになった。」

この新聞の全面広告は、非常にインパクトがあり、ウチのカミさんなど、切り取って保管しているほど。本来は、パロディー的な写真だが、「死ぬときぐらい好きにさせてよ」というキャッチコピーと、左目を失明したガン患者・樹木希林だけに、説得力もあった。

世の中の理不尽、そして誰もが死に向かって歩んでいる“人生”というものについて、改めて考えさせられてしまった。

160720basasi <付録>「ボケて(bokete)」より


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