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2016年6月13日 (月)

後退する日本の福祉~障害年金「等級判定のガイドライン」の導入と課題

先日、ある冊子で、こんな記事を読んだ。少々長いが、この記事はピックアップしておく必要があると思ったので記す。

障害年金「等級判定のガイドライン」の導入と課題
    フリーライター 中田礼二
 読者の皆さんは、障害年金の判定に「等級判定のガイドライン」(以下、ガイドライン)というものが導入されることをご存じでしょうか。
 これは、障害年金の支給率(申請者のうち何人に支給されるか)が都道府県によってばらばらで、最大6倍もの地域差があることを受け、全国的に判定基準を統一しようとするものです。
「年金不支給」と判定された人の割合を2010年から12年までの平均でみると、最少(最も支給率が高い)の栃木が4%だったのに対し、最多(支給率が最低)は大分の24.4%でした。ちなみに東京都は不支給が10.3%で、全国平均(12.5%)よりやや支給率が高い結果となっています。
 さて、このガイドラインですが、「地域差を是正するならいいことじゃないか」と思われるかもしれません。しかし、このガイドラインにより、これまで障害年金を受けていた人が受け取れなくなる(不支給になる)可能性が指摘されているのです。まずは、このガイドラインがどのようなものか見てみましょう。

 従来の障害年金の申請手続きでは、申請者(支給を希望する当事者)の生活能力について医師が評価した診断書を提出します。これを、認定医が読み込んで該当する等級を判定するという仕組みでした。しかし、この診断書に記載される内容や認定医の判断基準にばらつきがあり、結果として支給率が地域によって大きく異なりました。
160613syougai1  こうしたことの反省から、新しいガイドラインを軸とした申請の仕組みでは、診断書の記載内容をより統一し、記載される「日常生活能力の程度」と「日常生活能力の判定」の平均を組み合わせて等級の目安を出すことになりました。この「組み合わせ」は表・図の通りです。たとえば、「日常生活能力の程度」が(3)で、「日常生活能力の判定」の平均が2.6の人は、「2級又は3級」という等級の目安になります。この目安をもとに日本年金機構・事務センターの認定医がその他の要素も考慮しながら最終的な等級を決めるのです。診断書の記載内容は新たに作成される「診断書の記載要領」によってある程度統一され、それを「組み合わせによる目安」に掛け、さらに中央の日本年金機構の認定医がすべての認定を行うことで、地域差は人幅に解消される見込みです。
160613fukusi2_2  一方で、この「目安」がこれまで不支給率の高い地域の実態に寄せてつくられており、これまで年金をもらっていた人も不支給になるのではないかと懸念する声もあります。上に例示した、「日常生活能力の程度」が(3)、「日常生活能力の判定」の平均2.6の人の枠、あるいはその。つ下の伜は、地域で暮らす多くの知的障害のある人が該当する枠だと思われます。ここに「又は3級」、すなわち障害基礎年金の不支給の可能性が明示されていることは、そうした方々の中に「不支給」と認定されるケースが出てくることを意味します。
 ガイドラインの導入について検討した厚生労働省の専門家検討委員会でもこうした指摘がなされ、目安をそのまま機械的に等級として認定せず、それぞれの生活状況などを考慮して認定することになっています。たとえば、以前から年金の不支給や打ち切りが問題視されていた就労している知的障害のある人の場合は、次のような点を考慮すべきと例示されています。

○一般企業で就労している場合(障害者雇用制度による就労を含む)でも、仕事の内容が保護的な環境下での専ら単純かつ反復的な業務であれば、2級の可能性を検討する。
○一般企業で就労している場合(障害者雇用制度による就労を含む)でも、他の従業員との意思疎通が困難で、かつ不適切な行動がみられることなどにより常時の管理・指導が必要な場合は、2級の可能性を検討する。
○就労系障害福祉サービス(就労継続支援A型、就労継続支援B型)および障害者雇用制度による就労については、1級または2級の可能性を検討する。

 ちなみに就労と年金の関係については、「労働に従事していることをもって、直ちに日常生活能力が向しししたものと捉えず…(中略)…仕事の種類、内容、就労状況、仕事場で受けている援助の内容、他の従業員との意思疎通の状況などを十分確認したうえで日常生活能力を判断する」として、就労=年金不支給という判定がなされないよう釘が剌されています。
 また、その他の多くの知的障害のある人に関わるものとして、次のような例示もなされています。

○特別支援教育、またはそれに相当する支援の教育歴がある場合は、2級の可能性を検討する。
○療育手帳の判定区分が中度、重度(知能指数がおおむね50以下)の場合は、1級または2級の可能性を検討する。それより軽度の判定区分である場合は、不適応行動等により日常生活に著しい制限が認められれば、2級の可能性を検討する。

 報道によると、このガイドラインを使った新しい障害年金等級判定の仕組みは、来年4月から導入される見込みとなっています(2016年1月27日、共同通信配信記事)。現在、年金を受給中の入加期間中に申請をやり直す必要はなく、新しい仕組みが導入された後に新規で申請する場合と更新・再申請する場合から対象となります。
 知的障害のある人やその家族等にとっての障害年金をめぐる問題は、地域差だけではありません。大きな問題の一つとしては、就労による年金減額・停止の問題があります。東京都育成会の事業所利用者からも、これまで年金を受給していた給与所得のある人が状態の変化がないのに支給停止となったケースや、一定の所得があることで医師が「支援の必要なし」と診断書に記載して支給停止になったケースなどが報告されています。家賃をはじめとして生活費が高い東京都の場合、給与所得があったとしても年金が打ち切られることで生活が成り立たなくなる人は少なくないはずです。
 また、いわゆる「水際作戦」として、年金事務所の窓口で就労や障害の程度を理由に申請書類すら渡してもらえないという問題も、これまで全国的に報告されています。こうした問題は、今回のガイドライン導入だけでは何ら解決しません。
 ある日突然打ち切られる、もらえるはずなのに不支給になった、そもそも申請すらさせてもらえない…。こうした事態が起きたら声を上げて是正を求めていくことが、今後も必要になります。」

国の福祉関係の関門が、時間と共にどんどん狭くなっているようだ。結局、国にお金が無いので、役人は“遵法での経費減”に頭をひねっているのかも・・・。
そう言えば、国民年金についても、必ず破綻するので、出来るだけ早く貰っておいた方が良い、と、巷ではまことしやかに言われている。

消費税が8%から10%にもし上がっていたら、福祉にどれくらい回るのか、“ググって”みたらこんな記事が見つかった。
どうも2%アップ分は、福祉には回らないようなのである。

社会保障財源、どこから取ろうとしているのか
   下関市立大学経済学部 教授 関野 秀明

前回私は、上位1%の大企業が持つ金融資産270兆円と上位2%のお金持ちが持つ金融資産241兆円、合計511兆円もの巨額の富の中からわずか0.6%、3兆円を社会保障給付に移転することで、医療、介護、福祉という国民の人権・生存権を守ることを提案しました。 このように負担能力に応じて課税し生存権を守る必要に応じて充分に給付する財政政策は「所得の垂直的分配」と呼ばれます。反対に安倍政権は、負担能力のない庶民に消費税増税を課し社会保障財源とする「所得の水平的分配」政策に囚われています。
<消費税増税分の大半は 既存財源との置き換え>
しかし、ここで2つの重要な事実が存在します。 第一に重要な事実は、政府の宣伝とは正反対に、消費税増税の大半が社会保障充実に使われないことです。図1は、消費税率引き上げにより予想される増収の使途を示しています。2014年度の税率8%による増収は5兆円です。そのうち1.3兆円は、「社会保障制度安定化財源」と言いながら、既存の財源(所160613fukusi2 得税や法人税から社会保障費に充てられている部分)と消費増税の財源とを単に置き換えるだけです。同様に2.95兆円は、「基礎年金財源の充実」と言いながら、2000年代後半に所得税・住民税の定率減税を廃止する庶民増税で生み出した既存財源と消費増税の財源とを単に置き換えるだけです。また2000億円は消費税率引き上げにより社会保障経費も3%増税分の経費が必要となる手当てです。
結局、わずか5000億円だけが社会保障充実財源ということになります。2017年度の税率10%による増収は9兆円強です。ここでも14年度と全く同様に、4兆円強が「社会保障既存財源の置き換え」、3兆円が「基礎年金既存財源の置き換え」、4000億円が「消費増税に伴う経費」であり、わずか1.8兆円だけが社会保障充実財源ということになります。
<社会保障充実をはるか に超える国民負担増>
そして第二に重要な事実は、14年度5000億円、17年度1.8兆円という社会保障充実をはる160613fukusi1 かに超える社会保障国民負担増、給付削減が実行されていることです。図2は、安倍政権がすすめる社会保障国民負担増、給付削減のメニュー一覧を示しています。これらの国民負担増、給付削減の総計は3兆2550億円にものぼります。これでは消費税を増税してもその税収は全く庶民には分配されないことになります。逆に、私が考えたような3兆円規模の「所得の垂直的分配」さえ実現できれば、現在実行されつつある社会保障の削減も消費税の増税も全て中止することが可能だということです。」(
ここより)

中止にはなったものの、消費税2%のアップは、福祉の充実に回るものだと、思っていた自分がバカだった。
世の中、時間と共に、福祉の予算はどんどん削られていくようだ。上の障害年金もそうだが、あらゆる福祉が、改悪されていく。
我々庶民は、“政府の宣伝”に惑わされず、現実を良く見極めながら、一票を投じないといけない。

●メモ:カウント~900万

160613matigai <付録>「ボケて(bokete)」より


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