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2016年5月20日 (金)

改めてNHKラジオ「アフリカは今」から聞く衝撃

1ヶ月ほど前に、「NHKラジオ「アフリカは今」が衝撃的」(ここ)という記事を書いた。
NHKラジオ第2「カルチャーラジオ 歴史再発見 アフリカは今~カオス(混沌)と希望と 松本仁一」という番組が始まり、その内容に衝撃を受けたという話。その続編である。
(そもそも当サイトで、同じ話を2回取り上げるのは珍しいが、それだけ重たい話だという事・・・)
このシリーズは、4~6月の放送で、現在第7回まで放送されたが、前に増して衝撃的な話である。

★第1回から第7回までの放送を(ここ)、第8回から第13回を(ここ)に置くので、出来れば聞いて欲しい。(2016/11/23改)

この番組のテキスト「歴史再発見 アフリカは今」から、一部を抜き書きしてみると・・・
第6回 他部族国家の問題~ジンバブエ p80より
・・・・
ついに部族内から反乱
 通貨が崩壊した09年、国連食糧計画(WFP)は、ジンバブエ1300万人の国民のうち510万人が飢餓状態にあると発表した。その年、ムガベ大統領は85歳の誕生日を祝うため、120万ドルをかけて大々的なパーティーを開いた。さらに同年、大統領はグレース夫人のため香港で580万ドルの大豪邸を購入した。
 こうしたことが相次ぎ、同じショナ族の中からさえ批判が強まる。中心になったのは、労組系の野党「民主変革運動」(MDC)だ。MDCは部族にとらわれない全国組織で、部族構成でいえばむしろショナ族出身者の方が多い。
 07年3月、MDC議長のモーガン・ツァンギライ(55)は容疑も示されずに逮捕され、取調べ室で暴行を受けた。頭を鉄棒で殴られ、入院は2か月に及んだ。今でも右目が不自由だ。ツァンギライは、翌08年3月の大統領選挙に立候補した。命をかけた立候補だった。
 ツァンギライもショナ族。「部族選挙」が崩れた。日本政府が派遣した選挙監視団までが「とても公平とはいいがたい」と評した選挙だった。それでもツァンギライが第1回投票で首位となった。しかし必要な過半数に足りず、決選投票となる。同時にツァンギライ攻撃が開始される。選挙期間中に交通事故に2度あった。いずれも対向車がぶつかってくる事故だった。ツァンギライは「生命が危険」を理由に撤退を表明。結局ムガベが「圧勝」で5選を決めた。ムガベは2013年に再選され、現在6期目だ。
 植民地化される前、アフリカの人々が最も強い帰属意識を持っていたのは部族だった。植民地支配が引いた国境線は、英・仏・ベルギーなど宗主国の力関係で引かれたもので、部族意識など無視された。国境線のままの独立は、アフリカに多くの「多部族国家」を作りだす。それは国民の帰属意識を形成するうえで大きな障害となった。アフリカのほとんどの国で、指導者は、自分の部族に国家の富を分配し、地位の安定を図る。その結果、国作りが放置された。・・・・」(NHKのテキストより)

第7回 石油資源の搾取の構図~ナイジェリア p89より
・・・・
「まとめて独立」-アフリカ共通の悲劇
 西アフリカのギニア湾に面するナイジェリアは1914年にイギリス領となった。アフリカの中では比較的遅い植民地化だ。もともとナイジェリアという一つの地域ではなかった。ハウサ族を中心とする北部地域、ヨルバ族を中心とする西部地域、イボ族を中心とする南東部地域。大きく分けてその3つの異なる地域があり、それぞれに文化が違った。唯一の共通点はニジェール川とその支流が流れていることだ。それで英国は「ナイジェリア」と名をつけ、ひとくくりにして支配した。
 アジアの植民地化とは、そこがもっとも違う点だ。アジアでは「インド」という一応まとまった地域があり、それを英国が植民地にした。「中国」「フィリピン」など、ほとんどがそうだった。独立後はそれぞれが「インド」「中国」「フィリピン」になった。しかしアフリカは違う。「ナイジェリアという国」がもともとあったのではない。英国がばらばらな植民地を支配に都合がいいように仮にまとめただけの、一体感のない地域だった。
 例えば、首都アブジャを中心とした北部ハウサ系の人々はイスラム教でハウサ語を話し、人口の29%を占める。西部のラゴスを中心としたヨルバ系の人々は、ヨルバ語を話し、キリスト教や伝統宗教で、人口の21%。南東部ポートハーコートを中心としたイボ系の人々はイボ語を話し、キリスト教や伝統宗教で、人口の18%だ。それぞれが他のグループに対し「彼らも同じナイジェリア人」といった親近感や同朋意識は持っていない。
 1960年、そのばらばらな地域を、英国は1つの国として独立させてしまった。ばらばらにすると、地域によっては利権をフランスなどのライバル先進国に奪われる恐れがあると思ったのだ。中央政府は、人口が多い北部のハウサ族が支配するようになる。選挙をすれば必ずハウサの候補が勝つためだ。ハウサだけが政権を握る状態が続くと、政府はたちまち腐敗した。ジンバブエと同じ経過である。
 少数派イボ族の不満が高まり、67年5月、「ビアフラ共和国」としてナイジェリアからの独立を宣言する。これに対して中央政府は軍事力で対応した。「ビアフラ戦争」が始まった。英国の支援を受けた政府軍がビアフラを包囲し、食料など生活物資の輸送路を遮断したため、ビアフラは飢餓状態に陥る。武器弾薬も底をつき、70年、ついに降伏。ビアフラは東部州として中央政府の支配下に入ることになる。この戦争でビアフラ側の民間人150万から300万人が死亡したといわれる。・・・」(NHKのテキストより)

この番組の第2回は「かつて立派な王国があった」というタイトル。
つまり、アフリカはそれなりの歴史に基づく秩序があったが、それをヨーロッパのいわゆる列強が、自分たちの都合で、侵略し、支配し、そして放り出したため、今のアフリカの悲劇が生まれたという。
アフリカの人びとにとってみると、いつ終わるか分からない貧困が続いている。そして、一部の特権階級に富は偏る。
価値観は自分(の部族)さえ良ければ良い!?

先の東京五輪招致の賄賂疑惑も、贈賄相手のアフリカの実力者の顔を見ると、上のような日常から“ごく普通のこと”、と納得が行く。

なぜこのような政府の腐敗が止まらないのか。なぜ南アのマンデラのような指導者が現れて収拾出来ないのか? 結局、教育の貧困から人が育たないのが原因かも知れない。

日本にいると、遠いアフリカの国情には疎く、北朝鮮の独裁ばかりが目につく。しかし、世界を見渡すと、北朝鮮のような独裁国家はアフリカにはたくさんあるということらしい。

NHKのテキストは、放送内容がそのまま書かれている。放送を聞かないとしても、このテキストを読むだけでも価値がある。
放送は13回中第7回と、半分を過ぎた。この先の放送で、アフリカの現状を脱する明るい“解”の話が聞けるのか心配だが、じっと耳を澄ませて聞く事にしよう。
世界は広い・・・

(関連記事)
NHKラジオ「アフリカは今」が衝撃的 

●メモ:カウント~890万

160520aiaigasa <付録>「ボケて(bokete)」より


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コメント

こんばんは。

アフリカはまだまだカオスが続くのでしょうね。ハア〜溜め息が。
ヨーロッパも移民問題でイッパイイッパイのようですし。

まあ今の日本もオリンピック賄賂やら、政治資金疑惑とか、沖縄軍属の事件で混沌としてますが。

近い内に東京都知事選挙あるのでしょうか?
今日の舛添さんの会見を見てて、怒るよりも哀れで情けなくて、、、
潔く辞めた方が楽だろうにと思えるのに。
次は橋下さん?
ひぇ〜
(汗)

やっぱり、日本もカオスだわ。(笑)

なんだかんだ言っても、それでも世界から比べれば、日本はまだマシと言う事なんでしょうか。(^^;;

【エムズの片割れより】
日本はまだマシ、とは考えたくありませんが、自分の場合、北朝鮮の向こうにアフリカが見えなかったので、反省!というところです。
世界でひどい国は、北朝鮮だけではなかった・・・

投稿: 白木蓮 | 2016年5月21日 (土) 00:27

前回の記事にしてくだっさたのもあって以来、私もずっと聴いています。第3回を録音できなかったので、とても助かりました。まさかもう一度アップしてくださるとは思いませんでした。感謝です。
アフリカというのは本当に遠い存在で、一括りで考えてしまいがちなので、何度も聴き返し、勉強しています。
エムズさんと一緒に勉強しているようでちょっと楽しいです(笑)
先を見越して、目に見えないものに投資する事も大切ですね。

【エムズの片割れより】
自分もトシだけは取っていますが、世間を知らないこと甚だし。
死ぬまで勉強しないと・・・ね。

投稿: ロバです。 | 2016年5月25日 (水) 22:49

列強が自分たちに都合のいいように支配するため、
地元の部族の有力者に武器を与えて、ほとんど手を汚さずに侵略・支配したといったところです。
そして、「負け組」などのほうから奴隷として大量にアメリカなどへ連れてこられたということです。
そのせいで、貧困に陥ったというわけです。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160527-00000125-jij-soci
全く関係ない話ですが。

やっぱりやめますか。
スカイツリーへ移動しなかったのは、こういうことも想定していたからとも。
(ただし、第一の理由は放送大学学園法でタワーと決まっているため)
さて、そうなると地上波の28chとFMの77.1MHzはどうなるのやら?

【エムズの片割れより】
時代とともに、色々ですね。

投稿: マッノ | 2016年5月27日 (金) 23:07

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