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2016年4月18日 (月)

暴力を生むからくり

先日の朝日新聞にこんな記事があった。
「(ザ・コラム)謎解き「イスラム国」 暴力生むからくりを探れ 国末憲人
 どうしてそこまで残酷なのか――。
 国際社説の担当者として欧州や中東のニュースを追いながら、どうも戸惑いがぬぐえない。
 人質を斬首する。生きたまま焼き殺す。その動画をこれ見よがしに拡散させる。過激派組織「イスラム国」にかかわる若者たちは、よほどの悪人でもためらう行為を、いとも簡単に成し遂げる。パリやブリュッセルのテロでは、自分たちと全く縁のないはずの市民を容赦なく殺害した。
 「イスラム教徒への差別に対する強い怒りから」「揺るぎなき信仰心のため」などの説明を耳にするが、彼らとて現代文明社会に暮らす人間だ。そんな理由で一線を越えるだろうか。
 紛争や犯罪での集団心理を研究する九州大学の縄田健悟講師(32)を福岡に訪ねたのは、そのような疑問からだった。
 「宗教が理由ではありません。攻撃的な集団に属すると、誰でもこのような行為に走る可能性があります」
 そう語る縄田さんの謎解きを聴いた。
         ◇
 暴力が増幅していくメカニズムを探ろうと、縄田さんは公募で集めた学生69人を対象に心理学実験を試みたという。
 参加者を3人1組のチームに分け、1人ずつ仕切られたブースに入れて「モグラたたき」ゲームで敵チームと対戦させた。勝った人には「敵に対して上限500円で罰金を科せ」と指示した。
 参加者は、パソコンの画面に顔を出すモグラをクリックする。早く30匹仕留めた方が勝ち。これには仕掛けが施されていて、実は敵チームなど存在しない。だから、参加者は必ず勝つ。勝って罰金を科す際、状況次第で金額がどう違うかを調査した。
 罰金額が跳ね上がったのは、次の二つの条件下だった。通常に比べ、平均100円前後高かった。
 (1)チーム仲間の敗北を知らされた場合
 これは、心理学の用語で「集団間代理報復」と呼ばれる。仲間がやられると、仕返しをしようとする。より暴力的な態度に出て、罰金額も上がる。
 (2)自分が科した罰金の額が仲間に伝えられると知らされた場合
 他人の目を意識すると、人は過激な行動に出る。大胆に振る舞って「英雄として認められたい」と思うからだ。縄田さんはこれを「内集団観衆効果」と名付けた。
 「学校でのいじめも、仲間がいるとエスカレートしがち。自分の行為を称賛されたい意識は、どんな集団内にもあるのです」
 もちろん、実験がそのまま現実に当てはまるわけではない。モグラたたきとテロとの隔たりは大きい。ただ、集団が社会から孤立し、これらの心理が内部に定着すれば、時に、常軌を逸した価値観が支配する組織に発展する。暴力団は典型例だ。
 「テロ組織も、似た過程を経て生まれると考えられます」と縄田さんは話した。
         ◇
 ということは、「イスラム国」のテロリストも、元はごく普通の若者だったのだろうか。どこをどう経て、ブレーキが外れたかのような暴力に染まったのか。
 そのプロセスについては、立正大学の西田公昭教授(55)の分析を聴いた。オウム真理教地下鉄サリン事件や連合赤軍リンチ事件などにかかわった9人と面会した心理学者の西田さんは、それぞれの組織に共通する要素に気づいたという。
 ▼絶対的なカリスマ指導者の存在
 ▼自分たちが正しいと信じるあまり、敵を非人格化し、殺害を正当化する意識
 ▼組織の活動に自ら参加する責任感
 ▼訓練や戦闘、礼拝などに時間を奪われ、正常な思考力が失われる状態
 「テロや暴力をいとわない殺人マシンが生まれたのは、閉鎖的な集団内でこれらの要素が習慣となったから。『イスラム国』も同じでしょう」と西田さんは解説した。
 振り返ると、無差別殺人や目を覆うほど残忍な犯罪は、何も欧州や中東まで出かけなくても、身近に時々見いだせる。平和に見える日本社会にも、残酷さの芽が隠れている。
 一見えたいが知れない「イスラム国」も、私たちの日常と、どこかでつながっているのだろう。 (論説委員)」(
2016/04/14付「朝日新聞」p14より)

この論はなかなか面白い。
この話を読みながら、色々なケースが頭に浮かぶ。先日のアフリカの子ども兵の残虐さも(ここ)、この論で理解できる。ナチスの残虐さも、中国の文化大革命も、これらの集団での暴力の連鎖。

国会では、例の「黒塗り資料」のTPPの議論。今日はこんなニュースも流れた。
「江田憲司・民進党代表代行
 いまはTPP(環太平洋経済連携協定)の審議よりも、安倍総理は熊本の震災対応に専念すべきで、我々は国会審議で(首相を)拘束するつもりはないと申し上げた。
 だが政府、自民党の方から逆に「TPP審議を一歩でも前に進めたい」という申し入れがあり、開催に至った。TPP審議の特別委員会だが、我々としては開く以上は、震災対応について多くの時間を割かなければならないという思いだ。
 いま安倍官邸は、与野党の別なく震災対応に専念していくことが大事な局面だと思う。無理やりTPPを審議しなければいけない理由がよくわからないので、そういう(政権の)対応は理解に苦しむ。(記者会見で)」(
朝日新聞ここより)

一方、オスプレイが沖縄から熊本に駆け付け、防衛省の宣伝の臭いもしないではない。

現在の自民党政権を上の組織暴力の視点で見ると・・・
▼絶対的なカリスマ指導者(安倍首相)の存在??
▼(自民党議員が)自分たちが正しいと信じるあまり、敵を非人格化し、殺害を正当化する意識??
▼(自民党の)組織の活動に自ら参加する責任感??
▼訓練や戦闘、礼拝など(自民党の上層部からの指示)に時間を奪われ、正常な思考力(国民の代表という視点)が失われる状態??

熊本の被害も政争の具として使いかねない、したたかな暴力集団と写ってしまう現政権ではある。

160418naita <付録>「ジワジワ来る○○」より


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