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2015年11月14日 (土)

「てんかん」における日本の人種差別

先日の朝日新聞に、こんな記事があった。
「(私の視点)てんかん医療 理解と支援の仕組みを 大槻泰介
 てんかんの治療を受けている人が自動車を運転し、死亡事故を起こしたとの報道を目にし、またかと思う読者は少なくないだろう。そして報道の多くは、薬を飲まずに運転する患者が悪いという論調に終始し、事故が繰り返される背景に思いを巡らせる余裕はないように見える。
 重大事故に結びつく原因はてんかん発作以外にも脱法薬物、居眠り運転、酒酔い運転など様々あるが、脱法薬物なら薬物の取り締まり、居眠り運転なら睡眠時無呼吸症候群の対策、酒酔い運転なら「飲んだら乗らないキャンペーン」など、マスコミでも背景を分析し、予防対策に結びつけようという動きが起きる。しかし、てんかんの場合は厳罰化、患者の自覚の二言ですべてが片付けられてしまうのはなぜなのか。対策には病気の診断と治療、すなわち医療の充実が本筋であることになぜ皆が気づかないのか不思議でならない。
 てんかんは、全国の患者数が約100万人と推定されるありふれた病気だが、日本では担当の診療科が不明確で内科、小児科、神経内科、脳神経外科、精神科など様々な診療科で治療されている。そのため、地域でどの医師がどのような診療をしているのか分かりにくく、治療が難しい患者をどこに紹介すればいいか分からない地域も少なくない。
 行政側も担当部署が不明確で、地域の医師に向けて発信される情報も極めて限られている。医学部時代や卒業後も診療の基本的技術を取得する機会を得られない医師が少なくなく、保健師、看護師、養護教員など患者にじかに接する職種にも正確な知識が伝えられているか疑問だ。
 過去の事故の中には、専門医が診療していれば手術などで発作を治せたのではないか、地域医療が充実していれば生活実態に即した指導ができたのではないかと思うケースがある。事故の背景には、日本のてんかん医療の貧困があるのではないか。
 厳罰化が事故を減らすとは限らない。患者は通報や罰を恐れて発作はありません、運転もしていませんと隠すようになり、医師が適切な治療や指導をできなくなるためかえって重大な事故を起こす危惧がある。
 問題解決の糸口は、てんかん発作があることを申告すれば罰や生活の破綻(はたん)ではなく、むしろ理解と支援が得られる仕組みをつくることだ。折しも今年5月、WHO(世界保健機関)総会は、社会啓発を含む組織的なてんかん医療の推進を各国政府に求める決議を採択し、日本も支持した。だが、WHOが決議で指摘した偏見や知識不足に基づく不十分な医療は途上国だけでなく、日本においても形を変えて存在する事実に目を向ける必要がある。(おおつきたいすけ 国立精神・神経医療研究センターてんかんセンター長)」(
2015/11/12付「朝日新聞」p17より)

先日、宮崎で歩道を車が暴走して、死傷者が出たが、このニュースが最初に流れたとき、自分も「また“てんかん”か・・・」と思った。その後、
「2015年10月28日、宮崎市の目抜き通りで歩道を軽自動車が暴走して2人が死亡、5人が重軽症を負った事件で、運転していた73歳の男性は数年前から認知症で治療を受けており、2日前まで入院していたことがわかった。」
というように、認知症、という報道が流れ、てんかんは無罪放免になった。

そうなのだ。このように、尋常ではない事故が起こると、人は直ぐに「またてんかん発作では?」と想像する社会になってしまっている。
これはある意味、人種差別的な発想では??

誰も、身近に関係者が居ないと、他人事として棚の上から物事を見る。
以前の認知症(痴呆)も同じだった。それが、段々と身近な存在になって、日本社会の理解が進んだ。つまり、自分の家でも、おじいちゃん、おばあちゃんが認知症になるケースが増え、または友人の家でのそんな話題を聞くに連れ、優しくそれを受け入れるようになった。
一方、てんかんはどうか・・・。まだまだ“メジャー”になっていないようだ。

上の記事によると、「全国の患者数が約100万人」とすると、国民の1%がてんかんだという事になる。
一方、認知症はどの位いるのだろう?
ここ)によると、
「厚生労働省は(2015年1月)7日、全国で認知症を患う人の数が2025年には700万人を超えるとの推計値を発表した。65歳以上の高齢者のうち、5人に1人が認知症に罹患する計算となる。
認知症高齢者の数は2012年の時点で全国に約462万人と推計されており、約10年で1.5倍にも増える見通しだ。」
とのこと。
4%か・・・。負けた!?

我が家でも、1年前の義母、及び2年前に亡くなったお袋も、晩年は認知症を患った。ごくありふれた病気で、誰もそれを「(歳だから)仕方がない」と受け入れている。
しかるに、てんかんへの偏見はどうしたことか・・・

現役のとき、ある部下が、会社の廊下で倒れたことがあった。てんかんの発症だった。本人もその時はビックリしただろうが、今でも何事もなかったように仕事をしている。
薬が良く効くてんかんと、治らない認知症とどちらが怖いか・・・
てんかんに限らず、自分も含めて、障がい者への「偏見」について、心の内を確認しておきたい・・・。

●メモ:カウント~810万

151114baniku <付録>「ボケて(bokete)」より


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