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2015年9月15日 (火)

経済学者・浜矩子さんに聞く~日銀倒産!?~自ら墓穴掘るアベノミクス

先日、カミさんが買ってきた(ホームレスを支援するために駅前で売られている)「ビッグイシュー」(VOL.270 2015/09/01号)(ここ)に、こんな記事があった。長いが読んでみたい。

日銀倒産!?日本発の世界経済恐慌の可能性も
自ら墓穴掘るアベノミクス 市民はいかに向き合うべきか
浜矩子さんに聞く

2012年9月1日号の誌面で、浜矩子さん(経済学者)から「日本の課題の解決が世界のモデ150915bigissue ルになる時代」という提案がされた。それから3年、衆議院で強行採決された安保法制が参議院で審議されるなか、今の日本社会、そして日本の経済状況について、佐野章二(ビッグイシュー日本代表)がインタビューした。

富国強兵路線で放置される 格差社会の貧困問題
佐野 前回(198号/2012.9.1)、浜さんとお話させていただいてから3年になります。まず、この間の、日本や日本の経済の状況をどんなふうにご覧になっていますか。
 端的に言って、まずい状況になってきていますね。強い経済を取り戻すことを通じて強い日本を取り戻す「富国強兵」路線にしたがって、政策が展開される状況下にあって、まさに日本経済の二極化、格差問題があらわになっています。
 たとえば、株式市場の活況を盛り上げるために金と労力が投入される。それと対になって、明らかに円安を目指す政策的対応が進められていく。円安のせいで、国民にとっては生活費が上がり、中小零細企業にとっては生産費が上がる状況になっています。反対に、大手の輸出企業は円安のおかけで計算上の売り上げや収益が増える。だから彼らの株価も上がる。大企業の収入や収益が伸びれば、その結果として税収は増える。かくして、「ほれ、ごらんなさい。我々の政策のおかげで経済はよくなり、財政再建問題についても成果があるじゃないですか」と政府は胸を張る。これはまったく姑息な自作自演です。株高と円安を無理矢理に演出することで、無理矢理につかの間の税収増をひねり出す。蜃気楼ですね。
 ところで、この経済政策は「経済をよくすることで人々の好感を買っておいて、強権的・国家主義的な政治外交の方向性を是認させる策略だ」と言われたりするんですけど、実はそれよりはもっと質が悪いと思います。「強兵のための富国」を確かなものにして強権的な大日本帝国を取り戻すことに照準が当てられている。決して我々を喜ばせようということでさえもない。あくまでも強い国家をつくるための強い経済づくりが彼らの狙いです。そこを、しっかり見極めておく必要があると思います。
 この3年間、我々は最悪な政策環境の中に身を置くことを強いられてきたと言えますね。
佐野 今、浜さんが一番問題だと思われているところはどこでしょうか?
 そうですね。とてつもなく豊かな経済社会の中で、貧困者というふうに分類される人々がいることこそが巨大なる問題です。国全体が貧しいのであればしょうがない。でも、このあふれんばかりの豊かさの中に貧困があることは許されないこと。何はともあれ、まずはそこを踏まえておかないといけない。
 そのうえで、子どもの貧困率というのが問題になる。子どもがお腹いっぱい食べられない、このありえないことが放置されているということが実はもっとありえないことです。これを何とかしなければという切迫感が、まともな政策責任者ならあるはずなのに、そこの認識のすっ飛び方が本当に大きな問題だと思います。

成長していないと心配 その時代感覚が安倍政権を支える
佐野 貧困問題について、まず第一に、解決責任のある人がそう思っていない。そういう政治家、リーダーがどうして生まれてきたと思われますか?
 うーん、DNAなんですかね(笑)。やっぱりそれは、彼らが育ってきた環境が大きいでしょうね。そういう集団が公共政策あるいは公共財というものを私物化し、ハイジャックしてしまっている、これが今の状況の悲劇だと思うんですよね。
 彼らは自分たちの目的である“戦後レジームからの脱却”つまり戦前に戻るということのために公共財の総動員体制を敷いています。
佐野 我々自身も含めて、高度成長ボケか、今の豊かさに慣れたがゆえの他者への無関心もありました。
 それはあります。ただ、今の豊かさに慣れきれていない。成長していないと心配でしょうがないという世代感覚がまだ人々にも残っていると思うんですよね。安倍政権の経済政策が、「三丁目の夕日は美しい」的な発想と時代感覚を持っている人たちにアピールしてしまったという面はあると思いますね。彼らはそこにつけ込んできた。
佐野 戦後70年間、平和な状況を維持したけれども、同時に安倍さんのような人たちを許容してしまうメンタリティもつくってしまった。
 でも、この状況を「平和ボケ」というように受け止めてはいけないと思うんです。ある意味では、平和ボケほど素晴らしいことはない。本当に世界中が平和ボケになれば絶対に戦争は起こらないわけで、それを悪いと言うのは筋が通らない話。とかく、「政治の質はそれを選ぶ者たちの質を反映する」といような言い方がされますが、あまりこれを言ってはいけないと思います。やはり、問題は選びの対象となる人々の方にある。どんなグルメでも、メニューが最悪なら、選択のしようがありません。
 それに、安倍政権を支持している一般の人たちも、のっぴきならない状況に追い込まれている面があると思うんです。もう失うものはすべて失ってしまったというような状況に追い込まれた中小零細企業の経営者、従業員、さらには構造的失業者たち。彼らは成果が出るまでは、安倍政権を支持し続けなければならないと考えざるをえない。背に腹は代えられない感覚で、致し方なく、今の状況を我慢している。逆に言えば、そういう人たちの本当の絶望がもたらす期待につけこんで、「株を上げて景気をよくしますよ」いう。この鉄面皮な犯罪性のほうこそ糾弾されるべきだと思うんです。
 最近一段と盛り上がってきた市民たちの反戦・反権力の動きの高まりの中で、活動している人たちを見ても、その民主主義的感受性というものは、選んだほうが悪いと言われるような性格のものではないと思うんですね。

強い国家を取り戻すためだけのアベノミクス
 「安保法制はだめ、もっと経済政策に専念してください」というような、あれかこれかはいけない。実際に自民党の中でもそういう言い方をしている人たちがいますが、もう全否定的にやっつけていかないといけない状況です
佐野 そのアベノミクスをつぶしていくと考えた時に、彼らの弱い環はどこなのでしょうか?
 彼らは経済が“売り”からではなくて、強い日本を取り戻すためにアベノミクスをやっている。特段それで得点を稼ごうとも思っていない。そこを見誤らないことが重要です。
佐野 得点を稼いでいるふうに見るという見方自身が、乗せられてしまっている?
 そうです。彼らとしては、経済全体がうまく回らなくてもいいんですよ。強兵路線に役に立ってくれる人たちに恩恵が及べばいい。多くの人々を不幸に陥れるような状況になった時に、本来のバランスを取り戻すのが経済政策の使命です。突き詰めれば弱者の救済の機能を働かすということです。そういう経済政策の本来の姿とあまりにも遠いものが、いわゆる「アベノミクス」なるものです。
 そして驚くべきことに、安倍さんは囗が裂けても格差という言葉は発しない。ようやく直近の施政方針演説の中に、貧困という言葉は出てきましたが。
佐野 「子どもの貧困」というかたちで使いましたよね。

日本から始まる日銀倒産?!よる世界経済恐慌
 そうそう、あの時だけです。それも、貧困問題にどう対応するかという脈絡の中で語ったわけではなく、格差という言葉はついに使っていない。
 政策的には、彼の金融政策は限界に来ています。これもまた金融政策と言えないものです。要するに金融政策という名の下に、日銀は日本国政府に対する金貸し業をやっています。新発国債が発行される1.5倍のペースで市場から国債を買い続けて、日銀の財務状況は爆弾を抱えた状態になっています。
 中央銀行の倒産というのは概念的に成り立ちえないはずのことですけれど、あれだけ不良債権の山を抱えて、国債が暴落するような状況になれば、誰も日銀券を信用しないということになって、今のギリシヤよりもひどい状況になっていきます。
佐野 中央銀行が倒産すると、どういう状況になるんですか?
 ものすごくイメージしにくいですよね。理屈としてありえないことです。資産価値が大暴落すれば、普通の会社だったら借金を返せなくなって倒産します。ところが、日銀の場合の借金は日銀券なので……、しかし、日銀がもたないとなったら、円の為替レートが暴落し、誰も日銀券を持ちだからなくなる。日本株も大暴落する。端的に言えば経済活動がマヒして、日本経済が物々交換の世界に戻っていく。人々は金を買ったり、国外脱出したりとか。日本人だから略奪行為はないと思いたいところですが、物を買えなくなったら盗むしかないということになってしまうかもしれない。でもそこまでいくと大変だという名目の下で、統制経済になる。そこで国家に権力が集中され配給制などが導人されてしまう。
佐野 今、おっしゃったような状況は、日本の問題にとどまらない。ギリシャの問題でこれだけ波及力があるわけですから、日本がそういう状況になれば……。
 世界に冠たる債権大国ですから、日本のカネがグローバル経済を回しているという面がけっこうあります。ところがそこから資本が流れてこない、取引がぜんぶ干上がってしまうとなれば、これはもう大変な話ですよ。だからこそ、中央銀行が日本円という自国通貨の価値を守ることは、もとより唯一にして最人の責務だと言えるわけです。でも、今の日銀は、そのような認識をどこかに置いてきてしまったようです。
佐野 それはリーマン・ショックどころじゃないですね。日銀倒産の世界恐慌です。
 すると、彼らはその機に乗じて強引に経済的国家主義を確立してしまう。
佐野 そういうことに、私たち一市民も想像力をたくましくする必要がありますね。
 経済的混乱の世界は、権力を完璧に掌握する絶好のチャンスですからね。今こそ強いリーダーシップが必要という言い方になって。ヒトラーみたいな人物が出てくる。そういう素地ができあかってしまいつつあるということですよね。

ありえないはずの政策災害が起こっている
佐野 ご著書に出てくる「政策災害」という言葉も、今の状況を言いえて妙だと思いますが、この言葉を思いつかれたのは?
 この政権が発足したことによって、自分が囗にするとは思ってもみなかった言葉が出る場面が多くなってきました。絶対にありえないはずの、「中央銀行倒産」とか「中央銀行恐慌」とか。結びつくはずのない言葉が結びついて、四文字熟語ができあがる。「政策災害」というのも、つい囗をついて出てきた言葉なんです。
 たとえば先ほども申し上げましたけれど、円安をどんどん追求する結果として中小零細企業は生産コストが上がり、一般家庭の生活コストも上がる。両方とも、円安政策がもたらした災害の被害者となっています。また、労働法制問題についても同様です。派遣法の改正で、職場では派遣の事実上の無期化がすすめられてしまえば、労働者もどんどん政策災害の被害者と化していく。雇用に3年の期間制限をつけるというのは、人を人として見ていないからできる。彼らは労働者を労働力、技術者を技術力、国民を国力としか見ない。人を見ないで展開されている政策は自ずと人をいじめる、すなわち、人にとっては災害であるというふうになってしまうんですよね。
佐野 派遣法の問題が出ましたが、浜さんは働く人のエンプロイ・アビリティ(雇われ力)も問題にされていますね。
 そうですね。エンプロイ・アビリティがある、つまり“つぶしの効く人材”であるためには、ずっと働いている必要がありますよね。長く職場から離れていればスキルが錆びついたり、失業して無理な生活を送っていると健康を害して働くこともできなくなったりする。そんな状況に追い込まれた人たちは、完全に雇われ力が低下している。そういう状況が放置され、奇妙なかたちで人手不足になって、企業の人手不足倒産のようなことも起こっている。そうやって経済のバランスを崩していく彼らの成長戦略は、白ら墓穴を掘る方向に行きつつあると言わざるを得ません。
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社会を変える仕事したい若い人 安保法制反対をリードする学
佐野 浜さんは成熟した先進国の日本こそが世界のモデルになりうると言い続けておられます。
 経済の大人度ランキング、成熟度ランキングということで言えば、日本がダントツにトップで、前人未到の領域に達しています。ここからどういうふうに一段と成熟度を高めていくかということが注目されています。やっぱりあそこまで大人になると考えることが違うんだな、自分たちもああいうふうにやればいいんだな。そんな風に思ってもらえるようになるといい。シビックエコノミーはその答えの一つであると思って、たぶん間違いないだろうと思います。
佐野 日本はトップクラスの成熟を実現したけれど、その豊かさを安倍政権は権力的、暴力的に強兵富国というかたちで簒奪(さんだつ)をしようとしている。
 そういうことです。国家のために総動員しようとしているわけです。だから、彼らはそういう意味で本当のテロリストかもしれない。恐怖政治を敷きたいという意味でも、暴力的に人々の貴重な財産を奪うという意味でも。
佐野 一方で、今、若い人に、むしろ社会を変える仕事がしたいというような人たちが出てきていて、それが彼らの価値になっている。
 そうだと思いますね。実際に、私か勤務している同志社ビジネススクールでも、たとえば、クラウドファンディングを使ってソーシャルビジネスを立ち上げる、またはサポートするためのシステムづくりを学位論文のテーマにする人たちが出てきています。あるいは、図書館とか地域に根ざしたシビックサービスの円滑な拡充の在り方を考えるというようなテーマを追求する人たちも出てきました。ビジネススクールでの勉強を通じて、倫理的経営とか道徳的経営を身につけたいという感覚をもっている人もけっこう増えています。それなりに希望は見えていると思います。
佐野 本号でも特集しましたが、力強いのは安保法制反対を若い学生たちがリードしているということですね。立憲主義の考え方で、憲法こそが支配者を縛るんだと、憲法を背景に安倍政権と堂々と対峙しています。
 ようやく学生のところまできたっていうところが心強いですね。やはり、粘っていれば状況は必ず変わる。
佐野 長時間、ありがとうございました。

はま・のりこ
1952年生まれ。一橋大学経済学部卒。経済字者。三菱総合研究所初代ロンドン駐在員事務所長として1990~98年英国在住。現在、同志社大学大学院ビジネス研究科教授。著書多数。」(「ビッグイシュー」(VOL.270 2015/09/01号)p8~11より)

今日(2015/09/15)は、国会で安保関連法案の中央公聴会が開かれ、SEALDsメンバーの奥田愛基氏(明治学院大学生)も発言していた。
発言の冒頭は、決してNHKが放送しないもの。
「あのー、すいません、こんなことを言うのは非常に申し訳ないのですが、先ほどから寝ている方がたくさんおられるので、もしよろしければ、話を聞いて頂けるようおねがいします。僕も2日間ぐらい緊張して寝られなかったので、僕も帰って早く寝たいと思っているので、よろしくお願いします。」と・・・
そして・・
「3連休を挟めば忘れるなんて国民を馬鹿にしないでください。」
そして最後の発言・・・
「最後に私からのお願いです。SEALDsの一員としてではなく、一人の人間としてのお願いです。どうかどうか、政治家の先生たちも、個人でいてください。政治家である前に、派閥に属する前に、グループに属する前に、たった一人の個であってください。自分の信じる正しさに向かい、勇気を出して孤独に思考し判断し、行動してください。
みなさんには一人一人考える力があります。権利があります。政治家になった動機は人それぞれ様々あるでしょうが、どうか政治家とはどうあるべきなのかを考え、この国の民の意見をきいてください。勇気を振り絞り、ある種賭けかもしれない、あなたにしかできない、その貴い行動を取ってください。日本国憲法はそれを保障し、何より日本国に生きる民一人一人、そして私はそのことを支持します。
困難な時代にこそ希望があることを信じて、私は自由で民主的な社会を望み、この安保法案に反対します。2015年9月15日、奥田愛基。」(
ここより)

まさに、今の国会は、歴史に残る日本の恥であろう。

150915syougi <付録>「ボケて(bokete)」より


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コメント

 倫理学者としてのアダム・スミスを教えてくれた「浜 矩子さん」愛称 ハマゴンとよび その発言に注目し 敬愛しています。
 さて今年4回目の国会前へ。とりあえず2泊3日の予定で出かけます。
これまでと違うこと。信州の「村デモ・町デモ」に続いてわが町でも隣の町でも地域の反対運動が盛り上がりそんな皆さんの一人として、みなさんの声に押されて国会前で反対の声を上げてくるんだと 確信をもって出かけます。
 1939年 渡邉 白泉が詠んだ 句 です。
 ・「 戦争が 廊下の奥に 立ってゐた」

この句を小さなプラカードにして国会前に立ちます。

【エムズの片割れより】
雨の中、お疲れさまです。

投稿: todo | 2015年9月16日 (水) 03:05

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