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2015年8月25日 (火)

在日米軍の事故と日本国憲法

先日、米軍基地で、爆発事故があった。
米軍「保管ボンベ爆発」 相模原火災、市長は抗議文書提出
 相模原市中央区の在日米陸軍相模総合補給廠(しょう)の倉庫で起きた爆発火災で、市は24日、米軍側が「医療用、あるいは溶接用として保管してあった酸素、窒素などのボンベが爆発した」と市に説明したことを明らかにした。
 米軍は原因の究明を進める。在日米陸軍司令部広報室は「米軍の複数の組織が調査に当たる」としているが、組織名や調査期間のめどは明らかにしていない。
 日米地位協定により日本の警察や消防は捜査権を持たず、相模原市の加山俊夫市長は同日の記者会見で協定見直しを国に要請する考えを示した。
 加山市長は「施設内の検証で消防がなかなか立ち入ることができないと聞いている。今回、こういう事例が起きたので(日米が)相互連携を図れるよう、見直しを防衛省に要請したい」と述べた。
 また、同市長は在日米陸軍基地管理本部司令官に対し「ひとつ間違えば大災害となる極めて遺憾な事態で、強く抗議する。万全の対策を講じることを強く要請する」との文書を提出した。
 神奈川県の黒岩祐治知事も「基地周辺住民に大きな不安を与えた。県内には多数の米軍基地があり、早期の原因究明と再発防止策の徹底を強く求める」とコメントした。
 市消防局によると、爆発は24日午前0時45分ごろ発生し、平屋建ての倉庫1棟約900平方メートルを全焼、午前7時10分ごろに鎮火した。焼け跡に酸素ボンベなどが散乱。周辺住民が爆発音を聞いていた。同司令部広報室は「弾薬や放射性物質は保管していない」としている。〔共同〕」(2015/08/25付「日経」より)

こんな記事を読みながら、幾ら国内であっても、米軍基地は治外法権。日米地位協定は日本国憲法の上にあると、改めて認識。

先日、矢部宏治(著)「日本はなぜ、「基地」と「原発」を止められないのか」を読んだ。
その中に、こんな一節がある。
「・・・もともと日米安保条約などの条約は、日本の航空法など、一般の国内法よりも強い。上位にあるそうです。これだけでも私などは「えーっ!」と驚いたのですが、みなさんはいか150825naze がでしょう?
 これは憲法98条2項にもとづく解釈で、「日本国が締結した条約は、これを誠実に遵守する」ということが憲法で定められているからです。この点に関しては、ほぼすべての法学者の見解が一致しているそうです。
 その結果、どうなるか。条約が結ばれると、必要に応じて日本の法律(憲法以外の国内法)が書きかえられたり、「特別法」や「特例法」がつくられることになります。つまり下位の法律が、新しい上位の法律に合わせて内容を変えるわけですね。
 米軍機がなぜ、日本の住宅地上空でめちゃくちゃな低空飛行ができるのかという問題も法的構造は同じで、「日米安全保障条約」と、それにもとづく「日米地位協定」(在日米軍がもつ特権について定めた協定です)を結んだ結果、日本の国内法として、「航空特例法」という法律がつくられているからなのです。

アメリカ国務省のシナリオのもとに出された最高裁判決
 けれども、いくら条約(日米安保条約や日米地位協定)は守らなければならないといっても、国民の人権が侵害されていいはずはない。そうした場合は憲法が歯止めをかけることになっています。下の右の図の関係です。
150825kenpou  条約は一般の法律よりも強いが、憲法よりも弱い。近代憲法というのは基本的に、権力者の横暴から市民の人権を守るために生まれたものだからです。だから、いくら日本政府が日米安保条約を結んで、それが日本の航空法よりも強い(上位にある)といっても、もし住民の暮らしや健康に重大な障害があれば、きちんと憲法が機能してそうした飛行をやめさせる。これが本来の法治国家の姿です。
 ところが1959年に在日米軍の存在が憲法違反かどうかをめぐって争われた砂川裁判で、田中耕太郎という最高裁長官(前述したとおり、占領中の1950年から、独立の回復をまたいで、安保改訂のあった1960年まで在職しました)が、とんでもない最高裁判決を出してしまった。簡単に言うと、日米安保条約のような高度な政治的問題については、最高裁は憲法判断をしないでよいという判決を出したわけです()。
 するとどうなるか。安保に関する問題については、前ページの右下の三角形の図から、一番上の憲法の部分が消え、左下の図のような関係になってしまう。
 つまり安保条約とそれに関する取り決めが、憲法をふくむ日本の国内法全体に優越する構造が、このとき法的に確定したわけです。
 だから在日米軍というのは、日本国内でなにをやってもいい。住宅地での低空飛行や、事故現場の一方的な封鎖など、これまで例に出してきたさまざまな米軍の「違法行為」は、実はちっとも違法じゃなかった。日本の法体系のもとでは完全に合法だということがわかりました。ひどい話です。その後の米軍基地をめぐる騒音訴訟なども、すべてこの判決を応用する形で「米軍機の飛行差し止めはできない」という判決が出ているのです。
 そしてさらにひどい話がありました。それはこの砂川裁判の全プロセスが、検察や日本政府の方針、最高裁の判決までふくめて、最初から最後まで、基地をどうして日本に置きつづけたいアメリカ政府のシナリオのもとに、その指示と誘導によって進行したということです。この驚愕の事実は、いまから6年前(2008年)、アメリカの公文書によって初めてあきらかになりました。
 判決を出した日本の最高裁長官も、市民側とやりあった日本の最高検察庁も、アメリカ国務省からの指示および誘導を受けていたことがわかっています。『検証・法治国家崩壊』にすべて公文書の写真付きで解説してありますので、興味のある方はぜひお読みください。本当に驚愕の事実です。

)正確には「日米安保条約のごとき、主権国としてのわが国の存立の基礎に重大な関係をもつ高度な政治性を有するものが、違憲であるか否かの法的判断は(略)裁判所の司法審査権の範囲外にあると解するを相当とする」(「判決要旨六」)という判決でした。」(矢部宏治(著)「日本はなぜ、「基地」と「原発」を止められないのか」P42~45より)

在日米軍と日本との関係は、かつての占領時代と何も変わっていない、という現実を、日本人はもう少し意識しなければいけない。
それを前提に世の中の動きを見ると、裁判も政治の動きも、理解出来る部分が多い。

我が家の上空も、毎日横田基地への飛行機が飛んでいる。もし我が家に墜落したら、米軍がすっ飛んできて、その周囲は治外法権化するのだろう。
嗚呼、アメリカ合衆国・日本州よ・・・

(関連記事)
在日米軍の殺人者を無罪にする役所間の連係プレー 

150825sabaki <付録>「ボケて(bokete)」より


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コメント

FM放送をハイレゾで録音する意味があるのかないのかネットで調べていてここにたどり着きました。FMアンテナを建てて高価なFMチューナーにつないでパソコンに録音しているのですが、ハイレゾは試してみる価値がありそうです。ところで在日米軍の話、もう10年以上も前から上に書かれているような認識をもっていました。この本も「矢部宏治 沖縄・米軍基地観光ガイド」も「前泊愽盛 日米地位協定入門」も重要な本です。法律の問題は法律で解決するしかありません。ドイツやフィリピンの例。そしてあのイラクでさえも米軍を追い出したのです。しかも日本のようにならないように日本に視察に来たんですね。今の状況は日本独特なんです。敗戦後、支配層が米国の言いなりになることによってその地位を確保できたことによりそのいいなりの法律を構築してきた付けが、いまの隷属をもたらしているんです。だから、それを断ち切るには自動継続になっている新安保条約を中止すれば自動的に地位協定も日米原子力協定も日米合同委員会の密約も無効になるでしょう。そして、はじめから契約をし直すことしか今の状況を抜け出す方法はないでしょうね。50年先になればその回答が見えてくると思います。

【エムズの片割れより】
何とも“重たい”コメントで・・・
戦後70年と言いますが、それは米軍との歴史なのですね。この手の本を少し読んでみようと思っています。新聞などのマスコミとは別の見方が出来るようになるかも・・・

FMとハイレゾとは、相容れないようにも思えます。自分の位置付けは、FMは「音楽を教えてくれるツール」。普通はNAC-HD1で録音して、それをPCMでHAP-Z1ESに落として聞いています。
そして本当に欲しい曲は、より良い音で聞くためにCDまたはハイレゾ音源を買ってくる・・・
FMの音も、HAP-Z1ESを通すと自分好みの音に変えてくれるので、音楽を聞くパターンがすっかり決まってしまいました。

投稿: 佃 邦夫 | 2015年8月26日 (水) 09:50

世の中には戦争が好きな人がいるのですねぇ。始末が悪いのは自分は高みの見物で、国民を勝手にこき使い死なせてしまうことです。
一番悪いのは兵器を作って金儲けをたくらむやから、その金を横流しさせて懐に入れる政治家。戦後の日本はさしずめアメリカの鴨というところでしょうか。貧しい国に軍隊を送るよりも、暮らしよい国にするための援助は何かを考える優れた人材を育成してほしいですね。
アメリカの軍事産業屋がどのくらいの資産をため込んでいるのか公表されると良いですね。

【エムズの片割れより】
本当に、裏舞台を知れば知るほど、腹が立つ。しかし対抗手段は・・・

投稿: 白萩 | 2015年8月26日 (水) 20:27

こんばんは。

「日本はなぜ、基地と原発を止められないのか」
読みました。
全て真実なら、日本は何処へ彷徨うのか、、、

>しかし対抗手段は・・・

選挙、デモ参加、地元の政治家の事務所に電話、(FAX)、さまざまなネット署名、パブコメを書く。

エムズ様もブログに記事を書いていらっしゃるじゃありませんか〜

立派な参加行動だと思います。

「小さな事からコツコツと」と言う事しかないんじゃないでしょうか。
歩みは遅いですけど。(笑)

【エムズの片割れより】
そうですか。読まれましたか。この本は図書館でも順番待ちで大変だそうです。
今回はカミさんからの回し読み。
知っている人は、知っていますが、自分のようなノンポリは、積極的に情報を取りに行かないと、こんな話は知らないうちに終わってしまいます。いやはや平和ニッポンの舞台裏は怖ろしい・・・

投稿: 白木蓮 | 2015年8月27日 (木) 23:41

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