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2015年7月27日 (月)

企業の内部通報制度を考える

東芝の不適切会計事件も、トップ3人の辞任という局面を迎えたが、今朝(2015/07/27)の日経にこんな記事があった。
東芝、プライドが統治拒む
   統治強化への改善策は 内部通報制度を整備

 東芝は2003年に米国流の経営監視の仕組み「委員会等設置会社」に移行し「企業統治の優等生」と言われてきた。これが見かけ倒しであったことが露呈した。
 遠藤弁護士は社内監査の中核である経営監査部を取締役会にぶら下げる機構改革を提案する。従来は社長直轄組織だったため社長の意向に反する指摘ができなかった疑いがある。取締役会と距離感があったため、社外取締役が必要な情報を吸い上げることも難しかった。英米では取締役会の監査委員が社内の内部統制部門の人事にも関与し、強い連携がある。
 遠藤弁護士は内部通報制度が実質、機能していなかったことも問題視する。「社内で情報を隠蔽せずにガバナンスの担い手に伝える仕組みとして、実効性ある内部通報制度の整備が重要だ」
 久保利弁護士は欧米のように、弁護士資格を持つ法務担当役員(ゼネラル・カウンセル)が子会社や事業部門を監視する仕組みを提案する。「カウンセルに情報を報告しなかったら処罰対象になると社内規定で決めておけば不正情報が集まりやすくなり、内部告発も円滑に進む」
 増田弁護士は「(間接的な監督機能に重点を置く)モニタリングモデルの限界だ。会社法を改正し、監査等委員に監査役同様に単独で権限行使できる『独任制』を持たせ、常勤も義務付けるべきだ」と主張する。」(2015/07/27付「日経新聞」p15より)

ここ)によると、東芝の通報制度は、
通報制度
東芝では、法令違反を中心とするコンプライアンス違反に関する社内情報を収集し、自浄作用を働かせて自ら不正を正していくことを目的に、2000年1月に内部通報制度を設け、電子メール、電話などによって従業員から通報や相談を受け付けるようにしました。」

だという。
相当、上の人だと想像される今回の告発者。なぜ社内への通報ではなかったのか・・・。
それは“潰される”ことが分かっていたから・・・

どの会社も、上の東芝のような通報制度は備えている。しかし、会社のルール通りに通報した場合、通報者本人が“会社の敵対者”と見なされ、通報内容は秘密どころか、本人の上司などにいとも簡単に転送され、通報者本人はあっと言う間に左遷されてしまうことを知っている。だから、会社を辞めるときに、その置き土産に通報する位しか、通報制度の利用価値は無いことを、皆知っている。

週刊ダイアモンドで「“仏作って魂入れず”では無意味」と信州大学教授・真壁昭夫氏が指摘している通り(ここ)、どんな大企業でも、形だけ格好良い仕組みを作っているが、“仏作って魂入れず”で機能していないルールは無数にあり、内部通報制度はその代表格。
これは東芝に限らず他の会社でも同様であり、真に社内通報制度が機能している会社があったら、むしろ知りたい位だ。
会社によっては、通報先を外部の弁護士事務所にしている所もあるが、それでどれだけ通報者が保護されるか・・・。結局、今の日本の風土では、会社は血眼になって通報者を捜してブラックリストに載せるのが普通では??

それに、上の記事にあるように、経営監査部が社長直轄組織であれば、社長の意向に反する指摘ができないことは明白であり、最初から効果を期待できない制度上の欠陥であろう。

ふと、現役時代のYさんを思い出した。品質保証部検査課のYさんは、自分が検査して「不合格」と判断した製品は、決して出荷を許可しなかった。課長、部長、工場長から言われても、決して出荷しなかった。
「工場長でも何でも怖くない。検査不合格品を出荷しないのは当然!」の一点張り。正論であり正しいのだが、こっちは、輸送のトラックが待っているし、工事屋も現地で機器の到着を待っている。困り果てて、お客から“現地で直すことでOK”という言質を貰い、何とかYさんを説得して出荷にこぎ着けたもの。そして、“Yさんがいると仕事に差し支える”と、“どうしたらYさんを追い出せるか”を真剣に考えたもの・・・
しかし、その後は、Yさんとは誰よりも仲良くなった。
そんな気骨のある人も、今は居なくなった。どこもヒラメ人間ばかり。もちろん自分も・・・!?

そんな、内向きの企業風土の中では、上の記事は言う。
「久保利弁護士は欧米のように、弁護士資格を持つ法務担当役員(ゼネラル・カウンセル)が子会社や事業部門を監視する仕組みを提案する。「カウンセルに情報を報告しなかったら処罰対象になると社内規定で決めておけば不正情報が集まりやすくなり、内部告発も円滑に進む」」という指摘がこれからの道のような気がする。

正直者(通報者)がバカを見る日本の企業。「通報制度なんて、形だけさ」とうそぶく経営者。“ルールを守るのは当たり前”の組織を作るには、透明性の高い組織風土が必須。しかし、外部から組織内部を見る(監視する)ことは不可能。すると、自浄作用を期待するしかない。自浄作用で、違法を社員全員が許さない、という風土の醸成が必要。秘密を無くし、誰もが、自分の行動で何を通報されても困らない仕事をすること。つまりは、罰則を設けてでも、もし違法行為が見付かったら、それを通報させて皆無にする自浄の制度を作ることが必要な気がする。

東芝の今回の事件を糧に、何とか日本の企業の透明性が増すことを期待したいものだが、どうだろう?

150727shisenn <付録>「ボケて(bokete)」より


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